「復活祭」後のカトリック教会

「復活祭」後のカトリック教会
2010年4月6日 ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 キリスト教で最も重要な祭日、復活祭(イースター)が5日の聖月曜日で終了する。イエスの十字架、そして復活後、キリスト教が始まる。キリスト教は聖誕祭(クリスマス)からではなく、復活イエスからスタートする。そのため、全世界のキリスト教ではイースターの聖週間を最重視するわけだ。世界最大のキリスト教派、ローマ・カトリック教会のイースター前後の状況を掻い摘んで報告する。
 アイルランド教会を皮切りに、ドイツ、オランダ、オーストリア、イタリア、スイスなど欧州の各地で聖職者の未成年者への性犯罪が発覚し、教会の信頼性が大きく震撼している中で、カトリック教会は復活祭を迎えた。
 聖金曜日にはカプチン修道会のカンタラメッサ修道士がローマのサンピエトロ広場の説教で、「カトリック教会は今日、反ユダヤ主義と同じように、中傷キャンペーンにさらされている」と述べ、世界のユダヤ人から「加害者でありながら、犠牲者と同列に置く発言だ」と厳しく非難されたばかりだ。もちろん、バチカン法王庁は即、同発言を「個人の見解であり、教会の考えではない」(ロンバルディ報道官)と一定の距離を置いたが、その発言内容はメディアを通じて全世界に流されてしまった。
 イースターの4日、ローマは小雨が降り続いていた。サンピエトロ広場では世界各地から訪れてきた多くの信者たちが傘をさしながら、法王の姿を追っていた。世界のカトリック信者たちの多くは、べネディクト16世が4日のイースターのメッセージで聖職者の性犯罪に言及し、教会の刷新をアピールすると期待していたが、法王は同日、聖職者の不祥事には一切言及しなかった。そのため、信者たちからは失望の声が聞かれたほどだ。
 一方、アイルランドのダブリン大聖堂では4日、イースターの行事中、聖職者の性犯罪に抗議する信者たちが大聖堂に侵入し、子供の靴を祭壇の上に置き、「教会は子供たちに性的虐待を繰り返した」と叫ぶ、といった事態が生じた。
 オーストリアのウィーン大司教区ではシェーンボルン枢機卿が「痛みが伴うが、教会は浄化されなければならない」と述べ、聖職者の性犯罪問題に言及し、教会の刷新に乗り出す意向を表明している。ドイツ、ベルギーでも同様、聖職者の性犯罪問題の全容解明と教会の再生を期待する高位聖職者の声が報じられている。
 今年の復活祭は終わった。カトリック教会が新しく生まれ変わることが出来るか、それとも泥沼に沈み、這い上がることできなくなるか、16日に83歳の誕生日を迎えるべネディクト16世の前には歴代の法王が経験しなかった重い課題が待ち受けているわけだ。
 バチカン法王庁が法王の責任を問うメデイアの報道を「法王中傷キャンペーン」と捉えているようでは、教会の再生は覚束ない。バチカンは「法王擁護キャンペーン」を止め、聖職者の未成年者への性犯罪問題を冷静に検証すべきだろう。



・復活祭を挟んだ形で、今年は例年になく異常な年となった。それはメディアの過熱報道を静める意図があったのだろうが、被害者たちや教会に信頼を置いてきた信者たちにとってはスッキリとしないものだろう。法王の権威というものが、どういうものかは信者になってみないと分からないかもしれないが生きていく上での精神的な支柱であることは間違いない。今回の問題が抱えている闇の部分を見つめなければ宗教家としては失格であると感じる。
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