ユダヤ教ラビとの質疑応答

ユダヤ教ラビとの質疑応答
2010年1月26日 ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーン市にある「イスラエル文化センター」には2人のラビ(ユダヤ教宗教法律学者)が従事しているが、その1人のラビ、シュロモ・ホーフマイスター師と25日、30分間会見できる機会があった。「ホロコースト(大量虐殺)犠牲者を想起する国際デー」(International Holocaust Remembrance Day)の27日をまじかに控え、ユダヤ教で分らない問題や疑問について、単刀直入に聞いてみた。以下は、同師との30分間の会見内容の概要だ。

 ――明日はホロコーストの追悼日だが、ホロコーストはユダヤ人の信仰にどのような影響を与えたか。「神は死んだ」として無神論者になったユダヤ人もいたと聞く。
 「ホロコースト後、無神論者になったユダヤ人は数少ない。ホロコーストゆえに、神を捨てたと主張するユダヤ人の多くは、その前からその信仰は危機に直面していたはずだ。多くのユダヤ人はホロコースト後、その信仰を失うということはなかった」
 ――ホロコーストは単なるポグロム(ユダヤ人虐殺)ではない。600万人のユダヤ人が組織的に殺害されたのだ。その出来事がユダヤ人の信仰に何も影響を与えなかった、とは信じ難い。
 「ユダヤ人にとって信仰より重要なことは『知る』ことであり、『学ぶ』ことだ。ユダヤ人は過去3000年間、さまざまな理由から迫害されてきた。ローマ帝国時代には神殿が壊され、10万人以上のユダヤ人が殺された。全ての罪は神からではなく、人間によってもたらされたものだ。神は人間に自由意思を与えられた。それを人間は悪用し、多くの罪を犯してきた」
 「歴史的に説明するならば、ヤコブはユダヤ人の祖先だ。ヤコブにはエサウという兄がいた。エサウは弟ヤコブと完全には一体化できず、最後までヤコブを憎んでいた。そのエサウからバビロニア、ローマ、ギリシャなどの文明が生まれ、エサウの文化圏が広がっていった。その後もエサウの霊性は絶えることなく生き続け、ユダヤ人迫害となって現れていったのだ」
 ――ラビの話を聞くと、ユダヤ人の歴史的迫害はエサウから始まり、エサウの末裔であるローマ人らによって繰り返されてきた、ということになる。
 「簡単にいえば、その通りだ。ユダヤ世界とは異なり、エサウの文化は善か悪かの二元論の世界だ。自分たちが善とすれば、相手側は悪だ。ローマを拠点するカトリック教会はその流れを汲む。彼らは自分の教えを善とし、ユダヤ教徒を悪として迫害してきたのだ」
 ――キリスト教の一部では、選民ユダヤ人は救い主イエス殺害の罪を償うためにホロコーストの犠牲となった、と解釈している。
 「イエスの話はキリスト教が作り出したもので、ユダヤの聖典にはイエスという名前は一度も出てこない。先述したように、ユダヤ人への迫害はイエスの登場前からあった問題だ」
 ――ところで、ユダヤ教は宣教しない。
 「イエスの教えを伝道するキリスト教とは違う。ユダヤ教に関心があれば、経典を学べばいい。ちなみに、ユダヤ人と非ユダヤ人の婚礼は推薦できない。ユダヤ教にはきめ細かい日常生活の教えがある。非ユダヤ教の妻、夫はそれを理解でないだろう。結婚しても難しくなる婚姻には賛成できない」
 ――最後に、バチカン法王庁は現在、ローマ法王ピウス12世(在位1939~58年)の聖人化への手続きを進めているが、ユダヤ世界から激しい批判が聞かれる。
 「難しい質問だ。ローマ法王は当時、ナチス政権がタッチできない唯一の機関だった。だから、法王がナチス政権でその見解を表明すれば、大きな影響を欧州諸国に与えたことは間違いない。しかし、ピウス12世はその権限を行使しなかった。それによって、どれだけの多くのユダヤ人がナチス政権の犠牲となったことか。その意味で、彼は聖人に値しない人物だ。カトリック教会には素晴らしい聖職者がまだ多くいる。彼らの聖人化を進めるべきだ。ピウス12世ではない」



・ユダヤ教のラビの話

こうした話を聞くと自分の知識の乏しさを思う。ユダヤ人の生活と信条を理解していると言えば嘘になる。互いに学んでいくしかない。

関連記事
スポンサーサイト

コメント


トラックバック

↑