ローマ・カトリック教会の“老い”

ローマ・カトリック教会の“老い”
2009年12月26日 ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ローマ法王べネディク16世(82)が24日、クリスマス記念礼拝のためサンピエトロ大聖堂に向かって歩いていた時、1人の若い女性が法王に向かって飛びつき、警備員が即、女性を倒し、その勢いで法王も転倒した。法王は怪我はなく、礼拝は予定通り行われた。拘束された女性は「精神状況が不安定」という。
 バチカン放送によると、女性は25歳、イタリアとスイスの国籍を有する。「法王、襲われる」というブレーキング・ニュースが流れた時、世界11億人のカトリック信者たちは驚いたことだろう。
 ところで、バチカンからの外電を読んでいると、ドイツ出身の法王が転倒した時、随伴していたフランス人枢機卿も転倒し、骨折し、病院に運ばれたという。当方はこのニュースにもっと衝撃を受けた。
 ローマ・カトリック教会の階級では、枢機卿は法王に次ぐ最高位聖職者で、バチカン法王庁の政策を決定する最高意思決定機関に属する(法王が倒れた場合、次期法王を選出するコンクラーベが招集されるが、80歳以下の枢機卿が投票権を有する。現在、有資格者の枢機卿は112人だ)。
 当方が衝撃を受けたのは、ローマ法王を筆頭に世界のカトリック教会を指導する枢機卿たちが高齢者集団であるという事実を改めて知らされたからだ。枢機卿たちは信仰歴も長く、牧会経験も豊富だが、いつ倒れ、怪我をしても不思議ではない高齢者が多い。今回骨折したフランス人枢機卿は87歳だ。“空飛ぶ法王”と呼ばれ、強靭な体力を誇った前法王、故ヨハネ・パウロ2世も風呂場で倒れ、腰の骨を折ってからは、完全には体力を回復できずに終わった。
 平信徒の教会刷新運動「われわれは教会」のように、ローマ・カトリック教会の改革を求める声は世界至る所で聞かれる。聖職者の独身制の廃止運動もその一つだ。しかし、70歳、80歳台の枢機卿たちが教会の頂点にたつ現教会体制では新鮮な考えや斬新な改革案は飛び出さないだけではなく、健康問題という爆弾を常に抱えている。
 ローマ・カトリック教会の現体制は旧ソ連連邦の崩壊直前のそれと似ている。レオニード・ブレジネフ書記長の死後(1982年11月)、ユーリ・アンドロボフ、そしてコンスタンティン・チェルネンコの高齢指導者の短命政権が続き、ソ連国民からは「健康で若い指導者待望論」が飛び出したことがあった。
 「女性がぶつかり、法王が倒れ、随伴していた枢機卿も転倒して、骨折した」というニュースは、当方にはローマ・カトリック教会が抱える“老い”を強く感じさせた。





・報道された動画で、女性が法王に突っ込む場面が映し出されている。
この女性は以前にも同様の行為をしていたという。何らかの病を抱えているのかもしれない。

この記事の指摘するところは、カトリックの頭脳は年齢・健康問題を抱えているという点だ。
歳をとれば保守化するとは断言できないが、新しい風を知り大胆に変革する気持ちが失せるのは想像できること。
この事件が世界的ニュースになったのは、バチカンの持つ政治・経済力がいかに大きいかということだ。

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