NHK文化講演会「現代と仏教~豊かに生きるための知恵~」

文化講演会
「現代と仏教~豊かに生きるための知恵~」
2015年6月14日 NHKラジオ第2放送

講演:町田宗鳳(広島大学大学院教授)比較宗教学

僧侶であり、宗教学者としても活躍している町田さんは、20年の仏道修行のあと、アメリカで比較宗教学を修めた。混迷を深めていく現代において、生と死、老いること、愛することとはどういうことか?「十牛図」を参考にしながら、いま、豊かに生きるための「知恵」について、お話いただく。

参考:「十牛図」は次の十枚で構成。
第一図:尋牛  第二図:見跡  第三図:見牛  第四図:得牛  第五図:牧牛  第六図:騎牛帰家  第七図:忘牛存人  第八図:人牛倶忘  第九図:返本還元  第十図:入塵垂手

録音:2015/4/18 NHK文化センター神戸教室


・比較宗教学者だが、禅寺の小僧・雲水を経て渡米しキリスト教神学を学び、比較宗教へと進んだ経歴の持ち主。それだけでも宗派に対するこだわりが少ないことは理解されよう。

話の冒頭で、宗教とは何かと問われれば、あなたのうちにあるものと答えるという。つまり20人いれば20通りの宗教があると、このあたりから考えが柔軟であることが理解できる。

最近は、結びの思想にたどり着いて、神と人を結ぶ、自然と人を結ぶ、男と女を結ぶ・・・二つのものを結びつけると新たな価値を作り出すものだという。そこで十牛図を用いて新たな思いを与えてくれると期待してみた。

通常は禅の悟りを牛に例えて、悟りに至る道程を表したものとされる。町田先生は、その牛について、お金や地位、名誉、家庭の幸せでもいいという。その牛を見つけて、関わっていき、対象と同化し、牛そのものを忘れて当たり前に生きていくこと。

ただ、1時間の講演を聞いていて何かしっくりとこないものを感じてしまった。町田先生のあるところまでは同じところだが、そこから違っていく。十牛図の解釈は誰がやっても同じようなことになろう。その例え方がしっくりとしない。

つまり、第十図にあるカリスマのような人格となることが人間の目的なのだろうか。私は人間心理に関しては、かなりいい加減ものだと感じている。だから行きつ戻りつしながら、悟りや智慧などもどうでもいいと思っている。

町田先生の開発したという「ありがとう禅」だが、座禅とお題目を合体させたものらしく、それで大勢の人が抱える問題が解決したそうだ。思うに、町田先生はやはり学問の人なのだろう。座禅を極めているならば、もう少しことばに生活感があり重心が低いものだ。意識と無意識を融合してモノを見ることが簡単にできるわけもなく、そこに大きな飛躍を感じた。

宗教を論ずることは難しいことで、それはつまり自分自身の好みを大きく反映させたものに過ぎない。絶対的な生き方を示すことができるはずもない。その点を、どのように自戒しつつ、人々に合わせた説き方をし異なった次元を一瞬でも感じさせることができれば十分であり、それぐらいしかできないのではないだろうか。宗教哲学も比較宗教学も個人的には好むのだが、それがいかに個人の生き方に沿ってあるものかを示すことがなければ机上となってしまう。ああ難しいことだ。


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町田宗鳳
1950年、京都市に生まれる。幼少期はキリスト教会に通ったが、14歳で出家。以来20年間を京都の臨済宗大徳寺で修行。34歳のとき寺を離れ、渡米。ハーバード大学で神学修士号およびペンシルバニア大学で博士号を得る。プリンストン大学助教授、国立シンガポール大学准教授、東京外国語大学教授を経て、現在は広島大学大学院総合科学研究科教授。


町田宗鳳 WEBサイト (ありがとう禅・断食道場・公開講座)  http://www.arigatozen.com/


関連 過去のNHKラジオ放送
ラジオ深夜便
明日へのことば「愚かさの再発見」
放送日時:2012年2月1日~2日
広島大学大学院教授 町田宗鳳(そうほう)

参考 上記番組の要旨
明日への言葉
2012年2月1日水曜日・愚かさの再発見  http://asuhenokotoba.blogspot.jp/2012/02/blog-post.html
2012年2月2日木曜日・愚かさの再発見2  http://asuhenokotoba.blogspot.jp/2012/02/2.html

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