人生いろいろ:神経心理ピラミッドと「気づき」

† 高次脳機能障害についてパンフレットを見ていたら、とても面白い模式図を見つけた。こうしたものは初めて見た。神経心理ピラミッドとするもので、いろいろと集めてみたのでご覧頂きたい。その頂点部分が「気づき(Self Awareness)」である。宗教の目的は「気づき」「平和」と、このブログで書いてきたが、では「気づき」とは何かについては難しいことなのだ。この模式図は、脳の機能が障がいされることで出現する症状を表したもので、病気・事故などにより脳の統合が困難になることを意味する。その頂点が、自己認識=気づきということなのだろう。関連情報を調べていき、この図を見ながら考える。つまり「気づき」は高度の脳活動であり全体が低層部から調和して初めて達成されることなのだ。「気づく」とは単に分かったという閃きではないようだ。

‡ さて、この図を紹介したのが以下の音楽学者であることが分かった。彼女はピアノ伴奏理論を専門としているが、米国でリハビリの研修を受けて脳機能障害にも関心を持ったようだ。その経緯は不明だが、この模式図が医師・リハビリ医でなく音楽学者によって紹介されたことは面白い。むろん音楽は脳活動とも言えるわけであり関連がないわけではない。近年、発達障がいと称してコミュニケーション能力の著しい欠如を訴える人たちが増えている。その点で、「気づき」を目指す宗教の本来的な役割は全人格的な発達を促すといったことをも含んでいるように感じる。この神経心理ピラミッドと宗教の関係を論じたものを他では見たことがないので、こうした指摘は有意義なことだろう。

追記 
神経心理ピラミッドだが、下記の模式図が一部改変された2008年9月以降に使われているモデルがあり、最上位は「自己同一性 Ego Identity」「受容 Acceptance」となった。その他の項目にも微細な変更がある。

以前の一番上の「自己の気づき」の項目は、「受容」と「自己同一性」の2つの階層に分けられた。受傷による「自己の変容や制限を受け入れた」うえで、「それでも以前と同じように自分を好きでいられる」、あるいは「新しい自分を自分として認められる」といった自己同一性を確立することを神経心理ピラミッドの頂点としている。『前頭葉機能不全 その先の戦略』59頁


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参考プロフィール
立神 粧子 (たてがみ しょうこ)
フェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科教授
専門分野:共演ピアノ(歌曲伴奏・室内楽)、音楽学、脳の認知機能研究

1976年フェリス女学院高等学校卒業。東京藝術大学卒業後、国際ロータリー財団奨学生として渡米。シカゴ大学大学院にて修士号を取得後、南カリフォルニア大学大学院にて共演ピアノ(歌曲伴奏・室内楽)の博士号を取得。全米名誉音楽家協会(Pi Kappa Lambda)会員。

2004年よりNY大学医療センター・ラスク研究所にて脳損傷患者の機能回復訓練を研修。『総合リハビリテーション』に体験記を連載、『前頭葉機能不全その先の戦略―Rusk通院プログラムと神経心理ピラミッド』を医学書院より出版(2010)。神経心理ピラミッドを日本に紹介し、医療の現場で注目されている。日本各地で講演多数。

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