テレメンタリー2015 審判だって甲子園に行きたい~夢に挑んだスリランカ人~

テレメンタリ―2015
「審判だって甲子園に行きたい~夢に挑んだスリランカ人~」
2015年5月18日放送 テレビ朝日
2015年5月23日 名古屋テレビ

2015年3月、1人の外国人が甲子園のグラウンドに立っていた。選手としてではなく、審判として。スジーワ・ウィジャヤナーヤカさん(31)は、スリランカ人で初めて高校野球の甲子園大会で審判を務める事になった。野球と出会って13年、日本に来て9年が経っていた。「夢は叶うということを見せたい」内戦で傷付いた母国スリランカの子どもたちのため、そう語った男は高校球児の夢の舞台で何を思い、その先に何を見据えているのか・・・。

技術協力:放送技術社
制作:OAB大分朝日放送
ナレーター:笹野高史
取材・構成・編集・ディレクター:岩本和也


・過去に放映された資料映像と今回の取材映像を加えた構成である。スジーワさんの72歳審判の師との交流や地道に行っている母国スリランカ野球への貢献などを通して、夢を叶えていく道程を描いた。

実は私自身、高校野球にまったく興味がなく、このタイトルを見た時も意味不明でした。「審判だって甲子園に行きたい」!? つまり、題名の付けかたでも内容が分からず見ないで終えた可能性が高い。審判さんがチームを作って甲子園で試合でもするのか・・・!? そして見だしたら全く面白くて一気に見終えた。題名はもっと工夫があってもいいだろう。

視聴後に関連を調べたら記事が多く出てきた。つまり主人公は、ちょっとした話題になっていたということだ。高校野球に関心のある人ならば、彼の存在も知っていたろう。高校野球の全国大会で審判をした外国人は珍しいということだ。

今回、ディレクターは主人公が審判に選ばれるだろう前後からカメラを回して決定の電話が入る瞬間をとらえた。ところが高野連の取り決めで審判に対する取材は全国大会の試合前、2週間は禁止されるということで取材ができなかった。穴埋めとして主人公のメールを映したのみ。一番決定的な時間を取材していないことは致命的だ。

そして春の選抜大会映像で主人公の審判する初試合を使った。試合後に彼のマスコミインタビューの場が設けられていたが、多くの取材カメラが回っており、大きな話題であったことが理解できる。彼への取材は多くのマスコミが行っていたようだ。

このように独占取材というわけでもなく密着取材というわけでもないのだが、最大の収穫はずばり!主人公のキャラクターなのだ。謙遜で朗らかスポーツマンらしい屈託ないものを全身から感じさせられる。母国のために野球道具を送り続ける姿勢や野球を通して学べるものを伝えたいという思いは共感する。

常々思うのだが、ジョーゼフ・キャンベル教授の言う通り、生き生きした人間が大勢いることが社会を向上させるだろうということだ。あまりにも日常生活に埋没し自分の人生を呪って生きている人が多すぎます。だから主人公はじめとする生き生きと生をまっとうする人が社会に活気を与えて勇気づけ、社会を変えていく原動力となるのです。

ドキュメンタリーの一つの役割は、社会の不条理・不公正を描くことですが、もう一つは生き生きとした人間を描くことです。そして後者こそが、見る人に力を与えるのではないでしょうか。だから伝えるべき魅力のある人の発掘と寄り添いこそ、制作者に求められることだと思います。


さらにYoutubeでの映像を調べると・・・

2010年にOAB大分朝日放送で特集されと思う番組映像がYoutubeにあった。この延長でOABは彼の活動を記録し始めたのだろう。その後2012年の野球場建設、そして今回とつながったということだろう。このような映像の蓄積が、今回のドキュメンタリー構成の要素となっている。


Sujeewa on TV (OAB)Jan 26th 2010


テレメンタリ―2011「白球よ、母国へ届け」OAB大分朝日放送

 スリランカ野球 ( スジーワ ) ~白球よ、母国へ届け!~ 2011年10月2日
 https://www.youtube.com/watch?v=IWZqda0_yuw

「広がれ野球の輪! 日本・スリランカ 6000㎞のキャッチボール」BS朝日

 スリランカ野球 (スジーワ) ~広がれ野球の輪~  2014年3月23日
 https://www.youtube.com/watch?v=1iMuPNn5MXU

ドキュメント九州「夢は二つの甲子園 野球に魅せられたスリランカ人」テレビ西日本

 スリランカ野球 (スジーワ) ~夢は二つの甲子園~ 2014年4月13日
 https://www.youtube.com/watch?v=_gfm1gDi5jE

ということで、主人公を題材にした番組はいくつもあり、高校野球関係の取材にも旺盛に応えている。だが天狗になることなく仕事もきちんと審判もきちんと母国への気配りも欠かさない。彼の性格なのだろうが凄いことだと思う。


DREAMS COME TRUE - 志をかたちにする卒業生
APU 立命館アジア太平洋大学

夢の甲子園で堂々ジャッジ スリランカ人、二塁塁審に 「野球を通じアジア結ぶ」
2015/3/24 日経新聞

 21日に開幕した選抜高校野球で外国人審判が登場した。23日の仙台育英(宮城)―神村学園(鹿児島)で二塁塁審を務めたのがスリランカ出身のスジーワ・ウィジャヤナーヤカさん(31)。「スコアボードに名前が出ていて涙が出るくらいうれしかった。今日は忘れられない日」。念願の甲子園デビューを果たして感無量の面持ちだった。

 憧れの聖地で、きびきびとした動作や冷静なジャッジを繰り返した。「選手とともに私も胸を張って一生懸命できた」。見せ場がやってきたのは三回裏2死一、三塁。神村学園が仕掛けた二盗で堂々とアウトをコールした。「自信があったし、よく見えていた」。際どいタイミングだったが判定に迷いはなかった。

 高校時代に母国で野球を始め、2006年に立命館アジア太平洋大学に留学。選手としての道を断念して本格的に審判を志した。「ルールを勉強することで母国のレベルアップにもつながると考えた」

 5年前に選抜大会を観戦して感銘を受け、甲子園で審判員を務めることが目標に。都市対抗野球などで実績を積み、今回、所属する福岡県高校野球連盟の推薦を受けて派遣された。審判に関する記録はないが、外国出身者が務めるのは珍しい。スジーワさんは「ほかの外国人にも夢を与えることができた」とさらに外国人審判が続いてくれることも期待する。

 クリケットがさかんなスリランカに野球道具を届けて野球の普及に努めるなど国際交流にも貢献してきたスジーワさん。「今日は大きなスタート。野球を通じてアジアや世界を結ぶ力になりたい」。甲子園で得た大きな経験を糧に、新たな夢を追う。 (渡辺岳史)



憧れの甲子園でジャッジ スリランカ出身の審判、スジーワさん
2015年03月24日 西日本新聞

 23日に行われた第87回選抜高校野球大会第3日の仙台育英(宮城)対神村学園(鹿児島)戦で、福岡県高校野球連盟から派遣されたスリランカ出身の審判委員スジーワ・ウィジャヤナーヤカさん(31)=福岡県春日市=が二塁塁審を務め、初めて甲子園球場でジャッジをした。海外から来た外国人が大会で審判を務めたのは異例。「忘れられない日。楽しかった」と感慨に浸った。

 1999年に野球を始めたスジーワさんは、立命館アジア太平洋大(大分県別府市)の留学生として2006年に来日し、審判を志した。09年の選抜大会で初めて甲子園で試合を観戦。華やかな大会を見て「審判として、このグラウンドに立ちたい」と憧れを抱いた。

 福岡県朝倉市のホテルにある飲食店の店長として働く傍ら、アマ野球の審判を務めた。都市対抗や全日本大学選手権など日本一を争う大会も経験したが、「高校球児の聖地」での審判を前に「(5日に)派遣が決まってから長かった。試合前の夜はなかなか寝付けなかった」と緊張していた。グラウンドに入り、スコアボードの「スジーワ」の文字を見て「涙が出そうになった」。一回表、仙台育英の2番打者が放った右中間三塁打で、両腕を水平に広げるジェスチャーをしたのが最初の判定。「盗塁時の選手のプレーがよく見えた。自信になった」と振り返った。

 今大会ではあと数試合審判に入る予定。「許してもらえるなら甲子園の土を持って帰りたい」。スリランカでは国で初めての球場建設に尽力するなど野球の普及に努める。「野球を通して日本、スリランカ、世界の平和に貢献したい」と目を輝かせた。


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