なぜ女はスピリチュアル・占いにはまるのか

なぜ女はスピリチュアル・占いにはまるのか
2015年4月16日 プレジデントオンライン  PRESIDENT 2013年9月2日号 掲載

■理性を麻痺させる脳のメカニズム

こんな出来事があった。振り込め詐欺に騙されている母親が銀行員や警察が制止したにもかかわらず「私は親だから間違いなく本人だとわかる」と言いながら銀行で大金を振り込んでしまったのだ。ここに人が騙されるメカニズムをみることができる。

人間は極度の不安や恐怖を感じると、脳が扁桃体優位の状態になる。つまり扁桃体がアドレナリン放出の信号を出し、ストレスを回避する行動を促すのだ。その結果「理性」を司る前頭前野の働きが弱くなり、冷静な判断ができなくなる。詐欺師は経験的にこの現象を知っており、それを巧みに利用して人を騙すことができるのだ。

また女性が男性より騙されやすいというのも紛れもない事実である。先の振り込め詐欺の事例もそうだが、騙されるのはほとんどが女性である。そして「占い」にはまりやすいのも女性である。

この理由は実にシンプルである。それは、騙される経験が少ない、ということだ。これは脳科学的な要因という以前に、文化的な要因が大きいといえる。女性のほとんどが男性よりも社会に出ることが少なく、男性よりも騙される経験が圧倒的に少ない。したがって、騙しの技術を持つ悪人にとって女性はいとも簡単に騙すことができる相手なのだ。

たとえば「占い」について言えば、よく当たる占い師でも、「当たる確率は25%だ」という。こんな確率では株でも大損してしまう。なのに、多くの女性は「当たる占い師」だと信じてしまう。なぜ信じるのか。それは、コールド・リーディング(信じさせる技術)などを使い、“当たったかのように思わせ”られているからだ。

冷静に考えれば「当たる占い師」など存在しないことはわかる。本当に当たるなら、株をやって大儲けしているはずである。儲かっていれば1時間1万円程度の「占い」の商売をしているはずがない。よく考えればわかるはずなのに、騙された経験値の低い女性は占い師の言いなりになってしまう。だから占いの商売は成り立っているといえる。

私自身のケースを取り上げたい。私はかつて、三菱地所の財務担当をしており、ロックフェラーセンター買収にも携わった。一般的にみれば百戦錬磨の経験を積んでいるようにみえるだろう。しかし、三菱地所を辞め、会社を創業した後、多くの詐欺に遭い、果ては会社を乗っ取られてしまった。自分の会社を取り戻すのに4年もかかったのだ。三菱地所時代は総務や弁護士に守られていたことを痛いほど思い知らされた。もちろん今ではもう騙されることはないが、社会経験を積んでいると思っているビジネスマンも要注意なのだ。

以前、大手企業の社長の家族から相談を受けたことがある。社長が変な占い師にはまってしまい、冷静な判断ができなくなっている、というのだ。上場企業の社長といっても実力で這い上がってきたわけではない。長年在籍して、たまたま社長の椅子が回ってきた「偶然」の賜物である。しかし、それを認めようとせず超自然的な「運」を信じようとし、それにつけこんだ占い師にまんまと騙されていた。大企業のトップでさえも、その上をいく詐欺師にはコロッと騙されてしまうものだ。

ではどうやって騙す者から身を守ればいいのか。それは「ほどほどの欲」=「中庸」である。欲を強く出しすぎると前頭前野の働きが弱くなり冷静な判断ができなくなるからだ。いかなるときも「ほどほどの欲」に抑えることで、冷静さを保つことができ、騙す悪人から防衛することができる。これは不透明な時代を生き抜くビジネスマンにとって必須の考え方である。

認知科学者 苫米地英人(とまべち・ひでと)
1959年、東京生まれ。上智大学卒業後、三菱地所入社。カーネギーメロン大学で博士号取得後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長などを歴任。


・女性が騙される理由として、単純に女性が社会に出る機会が少なく騙される経験不足という。あまりに単純化されているので、それだけではないだろうと感じる。

例えば、男性であってもパソコンなどのブラックボックスがあるものは専門家以外は分からない。だからインターネットでトラブルに巻き込まれる。知らない世界は誰もが同じ環境にあるといえる。

騙されることは誰もが避けて通れないことだが、それに気づくような冷静さを持つような報道や教育が必要だろう。日本人は平和ボケとか戦後象徴されるが、争乱で難民化し全てを失った上で命まで亡くすという世界各地の情勢からも、平和であっても危機的な事態を想定したあり方を必要とする。

なお、地下鉄サリン事件から20年、そして逃亡犯の公判があり宗教教団の稀なる犯罪に一つの区切りがつこうとしている。

以下の記事では、洗脳状態が簡単に抜け切れないことを、救出に携わった脳科学者が語っている。この脳学者は一方で、脳活用を宣伝する商業活動を活発に展開しており、何か辻褄が合わないようにずっと感じている。つまり彼は脳のプログラミングにおいて、どちらの立場にもいかように振る舞えるという存在なのだ。

洗脳とは特別なことではなく、広く言えば、子どもの時から大人から教え込まれるすべての常識というものも人間を縛っている。日本では戦争で負けたことで、欧米の価値観を注入される際に大きな葛藤を国民に与えたことが契機として、こうしたことが表面化したに過ぎない。

それほど人間を縛るものの正体に気づくことが、本来の宗教の役割なのだが、今は宗教こそが人を縛る元凶の一つとなってしまっている。

信じていた思想から脱却することが難しいのは当然である。ただ、私自身経験として、自分が信じたのか、それとも信じ込むように操作されていたのかが大きな課題として残った。自分が信じたと思っていたことだったが、それは巧みに計略されたもので、人間だれしも同じような閉塞的な環境下で繰り返し教育されると信じてしまうものなのだ。戦時中はまさにそうだった。だからこそ恐ろしい。

オウム真理教事件という一つの象徴なのである。それは他の全ての社会制度・思想にまで拡大し、本当に信じることとは一体何だろうかと疑問を感じざるを得ない。だからオウム真理教事件を特異な人たちによる狂信的な事件と考えるのは大きく的を外すことになる。

ステレオタイプ的に、男女、年齢差、地域差から判断することは止めて、一人の人間がどのような過程で何をつかみ信じて生きてきたのかを冷静に分析し判断することが大事であろう。社会経験がなくとも何かおかしいと感じることは少し訓練を積めば誰もができることだ。


脱洗脳カウンセラー「オウム教祖を法廷で罵っても悪の教義は今も信じている信者」
2015年3月20日 dot.  ※週刊朝日 2015年3月27日号

 尊師の「ポア(殺せ)」という指示で凶悪なテロをためらいもなく実行した実行犯たち。事件直後から、オウム信者の脱洗脳を手掛けてきた脳機能学者・苫米地英人氏がその動機を語る。

「サリン事件は、オウムにとって“ヴァジラヤーナ”という教義に基づき、教えを実践したまでのこと。麻原は最終解脱者で、他人の魂を解脱させて転生することができ、人々はカルマ(悪業)を積んでいるから、苦しめば苦しむほど、より良い転生ができる。つまり、サリンをまいて苦しめて殺すことが、人のためという危険な教義だったのです」

 苫米地氏は、重罪を免れ、社会復帰した一部の幹部らは今も確信犯とみている。

「元幹部らオウム信者の多くは麻原を否定しても、ヴァジラヤーナを全く否定していない。やはり、オウムに対し、破壊活動防止法で組織を壊滅させるべきだったと思います」(苫米地氏)

 実行犯・高橋克也被告の裁判で、林泰男死刑囚や林郁夫受刑者はかつての尊師を罵った。 「本当に洗脳が解けているかは極めて怪しい。薬物を使った洗脳は簡単に解けるものではない。ずっと刑務所にいて自然に解けたなんてあり得ません」(同)

 苫米地氏は、十数人の元信者の脱洗脳に成功したが、当時の苦労をこう話す。

「隔離して専門的な技術を使って脱洗脳を行い、やっと解けたのです。その中の一人の正悟師のMは、現在刑期を全うし、OLとして社会復帰をしています」

 麻原死刑囚が収監されている東京拘置所(葛飾区)の周辺は、「麻原のエネルギーが強い」という理由から、信者の間では“聖地”とされている。ぶつぶつと何かを唱えながら巡礼する信者が近所の人の間で、たびたび見かけられている。

「麻原の死刑が執行されても神になるだけ。オウムの闇は今も解明されていないことが多いのです」(同)

 だが、未解決事件を掘り起こしてほしくない人がいるようだと、苫米地氏は指摘する。 「國松(孝次元警察庁)長官狙撃事件も、K(元巡査長)が証言をしても、証拠が次々と消されて隠滅されてしまった。サティアンがあった旧上九一色村に、核廃棄物がいまだに埋められているという話も、当局は調査しようとさえしなかった。高橋被告の審判が終わり次第、麻原から順番に死刑が執行されて、問題がなかったことのように、闇に葬られようとしています」(同)

(本誌取材班=上田耕司、牧野めぐみ、原山擁平、福田雄一/今西憲之)



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