人生いろいろ:ヤジさん来たさん

† 国会で品位のないヤジが問題視されている。一議員のみならず最高指導者のヤジは答弁席側からは珍しさを超えて、ここまできたかと感じる。ヤジとは雰囲気の中で大勢ですれば誰が言ったか分からないので本人も保身をはかれるが、間が悪いヤジは声で誰かが特定できてしまうことがあり、言い逃れできない時に渋々認めている。発言者本人に本当に謝罪の気持ちがある訳でもなく印象として人間性まで疑われてしまっても仕方ないことだ。

‡ テロの犠牲になった日本人がおり、そのことを口実にしても強い国家を標榜する動きが一気に加速していく。米国で起きた9.11事件も、一部で陰謀説が流布されている原因は、一気に言論統制が進んだからである。その流れを批判する者はテロを称揚すると見做される雰囲気が醸成されて自己規制をかける。分かっていてもものが言えないという雰囲気を作ることが権力者にとって都合のよいことであることは明白だろう。人間の抑えがきかないのを見ると、その信念はどうであれ醜い様相を呈するものだ。日本は異常な雰囲気に包まれている。


首相のヤジ―敵意むき出し華もなし
2015年2月22日(日)付社説 朝日新聞

 先日の衆院予算委員会で、耳を疑う場面があった。

 民主党の玉木雄一郎氏が、砂糖業界団体の関連企業から西川農水相への寄付について、「脱法献金だと言わざるを得ない」と追及していた時のことだ。

 首相が自席からこんなヤジを飛ばした。

 「日教組!」「日教組どうするの、日教組!」

 玉木氏は「総理、ヤジを飛ばさないで」と繰り返し、見かねた大島理森予算委員長が「総理、総理も、ちょっと静かに」とたしなめた。

 NHKやネットで生中継されていた中でのこと。首相がどうしてこんなヤジを飛ばすのか、多くの人が首をひねったに違いない。

 首相の念頭には自民党が野党時代に国会で取り上げた民主党議員と日教組との関係があったようだ。翌日には民主党からの抗議に「今後、静かな討論を心がけたい」と語った。

 ヤジは「議会の華」という。ただし、これは言論を生業とする政治家ならではの絶妙な「突っ込み」をたたえる言葉だ。

 首相はよく、答弁中のヤジに「私が答えているんですから」と顔をしかめる。それなのに閣僚の疑惑を突かれたからといって敵意むき出しで言い返すのでは、行政府の長としての矜恃(きょうじ)や品位を自らおとしめることにしかならない。

 最近の首相発言でもうひとつ気になったのは、中東の過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件にからむ答弁だ。

 周辺国への2億ドル支援を表明した首相スピーチによって、人質に危険が及ぶかもしれないとの認識はあったのか。参院予算委での共産党の小池晃氏の問いに、首相はこう答えた。

 「小池さんの質問はまるで、ISIL(「イスラム国」)に対しては批判をしてはならないような印象を我々は受ける。それはまさに、テロリストに屈することになると思う」

 そうだろうか。むしろ逆に「首相の答弁はまるで、『イスラム国』と闘う首相に対しては批判をしてはならないような印象を我々は受ける」と返したくなってしまう。

 後日の衆院本会議で自民党議員が、共産党の志位委員長の質問中に「さすがテロ政党」とヤジを飛ばした。首相の意を忖度(そんたく)したのかどうかは知らないが、悪質なレッテル貼りとしかいいようがない。謝罪に追い込まれたのは当然だ。

 国権の最高機関の中での話である。あきれるしかない発言はお断りしたい。



【衆院予算委】安倍首相が事実誤認認め「遺憾」表明 「日教組」やじ巡る背景説明で 
2015年2月23日 産経新聞

 安倍晋三首相は23日の衆院予算委員会で、民主党議員に「日教組」などとやじを飛ばした背景に関する自身の事実誤認を認め「正確性を欠く発言があったことについては遺憾で訂正申し上げる」と述べた。

 首相は20日の予算委で、前日の審議中に民主党議員にやじを飛ばした理由について「日教組は補助金をもらっている」「(日教組の本部がある)日本教育会館から献金をもらっている議員が民主党にいる」などと指摘。しかし、日教組は補助金を受けていないことが発覚した。

 首相は民主党が否定する同会館からの献金についても訂正、遺憾の意を表明した。



首相「全く木鶏たり得ず」 やじへの反応を反省 
2015.2.23 産経新聞

 安倍晋三首相は23日の衆院予算委員会で、野党のやじに反応する自身の心持ちについて「『全くまだ木鶏(もっけい)たり得ず』だ。至らなさは反省する」と述べた。

 首相は、元横綱の双葉山が69連勝で記録が途絶えた際に知人にあてた電報「イマダ モッケイ タリエズ」を引用。「木鶏」は意気盛んで心が乱れていた闘鶏が、時を経て無の境地に至った状況をあらわしている。

 維新の党の松木謙公衆院議員が「やじに反応すれば墓穴を掘る。我慢した方がいい」と指摘したのに答えた。



首相ヤジ問題:「昔なら内閣が吹っ飛んだ」識者に聞く
2015年02月26日 毎日新聞 (一部分)

◇昔なら内閣が吹っ飛んだ−−森田実さん(政治評論家)

 安倍首相の言動に、1953年2月の衆院予算委員会を思い浮かべた。右派社会党の議員の質問に当時の吉田茂首相が小声でつぶやいた「バカヤロー」という言葉を偶然マイクが拾った。懲罰動議が可決され、さらに内閣不信任案の可決に発展、いわゆる「バカヤロー解散」の引き金となった。

 首相の発言はそれほど重いということだが、今回は面と向かって、しかも事実誤認であり、より悪質だ。本来は内閣が倒れるような問題なのに、直後に起きた西川前農相の辞任問題に世間の視線は向いてしまった。

 首相がヤジで言及した日教組の組織率は既に2割台だ。そんな組織への敵がい心に凝り固まっているとすれば、あまりに古い思考と言わざるを得ない。国会で政府を点検するという正当な行為を首相自らが妨害するのを許せば、行き着く先は弾圧だ。

 感情を抑制できず表に出してしまったことも問題だ。むきになる姿勢は国内政治に限らず外交的にもマイナス。それでなくても関係良好とは言えない中国や韓国が、敵がい心が強く感情的な首相の言動を信用するだろうか。

 一方、民主党の対応は残念だ。次の質問者が直ちに取り上げるといった臨機応変さが必要だった。首相への懲罰動議も提出すべきだ。国民と政治を結ぶという議会人としての自覚がもっと欲しい。

 「高慢は常に破滅の一歩手前にあらわれる。高慢になる人はもう勝負に負けている」とはスイスの思想家ヒルティの言葉だ。民主党議員を見下した首相の姿勢が目に付く。だが、それは自ら終えんに近づいているということだ。【聞き手・庄司哲也】

 <安倍首相ヤジ問題の経緯>
 19日の衆院予算委員会で民主党議員が西川氏の献金問題を取り上げた際、安倍首相が「日教組(日本教職員組合)はやっているよ。日教組どうするの」と閣僚席からヤジを飛ばした。首相は20日の同委でも「日教組は(国から)補助金をもらい、(日教組関連団体の日本)教育会館から献金をもらっている民主党議員がいる」と主張。だが、日教組が国から補助金を受けた事実はなく、民主党議員が日本教育会館から献金を受けたこともなかった。首相は23日、同委で「私の記憶違い」「遺憾で、訂正する」と発言を撤回、陳謝した。ただ同日も民主党議員の名を挙げ「日教組からダイレクトに献金をもらっていた」などと批判を続けた。


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