テレビドラマ「ぶらり信兵衛 道場破り」(高橋英樹主演)

・フジテレビ系列で放映されていた懐かしい時代劇ドラマを見ることにした。インターネット上で全50回のうち22回を無料視聴してみた。放送当時の記憶が残っているが主題歌がとても印象的だ。

このドラマはDVDで市販されていないが衛星放送専門チャンネルなどで再放送されたようだ。一部に時代に合わないセリフがあり少なからず音声がカットされており、放映時の状態で見られる状況にはないのが残念である。

登場する浜木綿子、渡辺篤史、葉山葉子など現在もテレビ界で活躍する役者はいる。ただ準レギュラー陣でも現在名前を聞かない人が多い。見ていない回も含めてゲストスター陣の質が高くて、当時の映画界の俳優陣の層の厚さがはっきりと見て取れる。

時代劇では異色とされる脚本で、高橋英樹主演の浪人役・松村信兵衛は道場破りを生業としながらも貧しい庶民と暮らすことを楽しむ、笑い哀しみと人情の深い内容となっている。そのために人を殺したりする時代劇とは一線を画する。

世の中の悪を退治するというような痛快な時代劇も見終わってスッとするには違いない。ただ見終わってじっと心が温かくなるようなものが求められているし、日本人にある人情をベースとしたものは深い共感をもたらす。

信兵衛は、長屋の店子たちがお金に困るとせっせと道場破りをして稼ぎ、彼らのために使う。他ドラマにあるような悪人を立てて、ぶった切ることもなく、ヒーローが登場してめでたしで終わることもない。

つまり日常に近い話題の中で、貧しい庶民が助け合って、泣き笑いしながら共に暮らしていくという中で、適度な距離感を保とうとする信兵衛は大人である。

そう大人の物語なのだ。長屋の噂を囃し立てるシーンでは軽快な音楽とともに日本人本来が抱く野次馬根性とともに何か役立つことはないかというお節介根性も垣間見られる。それが適度であれば心地いいし居心地が悪い訳ではない。

現代では、隣近所のつきあいが希薄になり問題があっても個人で抱え込んでしまってより厳しい状況に追い込まれている。プライバシーと集団の力のバランスをどう保つかという問題はもっとドラマのテーマとなってもいいのではないだろうか。

また貧しさと助け合いというテーマを描くには、現代人には遠くて近い江戸時代を描くことは親近感がある。

22作を見終わって、どれも水準以上の出来栄えであり、個人的にはゲストスターの違った側面が見られたことが収穫であった。そして根底に流れているのは弱い人間を応援する態度だろう。また劇中で語られるセリフには、人生に対する真面目な教訓が織り込まれており勉強にもなる。


ぶらり信兵衛 道場破り
原作:山本周五郎「人情裏長屋」
主題歌 ポニー・ジャックス「信兵衛長屋」(作曲:渡辺岳夫)
放送期間:1973年10月4日 - 1974年9月26日

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