長崎の教会群を世界遺産に・・・政府が推薦文書を提出へ

長崎の教会群を世界遺産に・・・政府が推薦文書を提出へ
2015/01/14 ANN

政府は、長崎県にある大浦天主堂などの教会群を世界遺産に登録するよう、正式に推薦する文書を今月中にユネスコに提出することを決定しました。

新美潤国際文化交流審議官:「世界遺産推薦物件の推薦書の正式版をユネスコ世界遺産センターに提出する期限が2月1日に迫っていることに鑑み、主にこの手続きについてご議論頂き、閣議了解を求める決定を行いたい」

14日に開かれた政府の会議では、長崎県の大浦天主堂など、キリスト教伝来の歴史を伝える「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を世界遺産に登録するよう、正式に推薦する文書をユネスコに提出することを確認しました。近く閣議了解したうえで、今月中にユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出します。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が世界遺産に登録されるかどうかは、来年6月ごろの世界遺産委員会で決定されます。



長崎教会群など推薦を閣議了解=月内にユネスコ提出-世界遺産
2015/01/16 時事通信社

 政府は16日、2016年の世界文化遺産登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本)と「国立西洋美術館本館」(東京)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に正式な推薦書を提出することを閣議了解した。月内に送付し、今秋にもユネスコの諮問機関による現地調査が行われる。

 長崎の教会群は、現存する日本最古の教会で国宝の「大浦天主堂」(長崎市)や、島原の乱で一揆軍が籠城した「原城跡」(南島原市)など8市町の14資産で構成。キリスト教伝来後の文化交流や、徳川幕府が禁止した後250年もの潜伏を経て復活した特異な歴史などの価値を訴えている。

 国立西洋美術館はフランスの推薦枠を使った7カ国の共同推薦で、同館を含む仏人建築家ル・コルビュジエの建築作品17件を一括で申請。過去2度、登録が見送られて構成資産を見直しており、同館の審査は3度目になる。



かくれキリシタン:存続の危機 長崎・信徒発見150年
2015年03月14日 毎日新聞

 禁教時代を生き延びたキリシタンが幕末に宣教師に信仰を告白した「信徒発見」から17日で150年を迎える。節目を前に、舞台となった長崎では教会群が世界遺産候補になり、祝賀ムードが漂う。その一方で今も「かくれキリシタン」の信仰を守り続ける人々がいることはあまり知られていない。時代の変化とともに後継者が減り、存続の危機にある。【石塚淳子】

 長崎県平戸市の生月(いきつき)島壱部(いちぶ)地区にある川崎雅市さん(65)宅には弘法大師、仏壇と並んで、聖母子を描いたとみられる掛け軸が下がる祭壇がある。聖水の入った瓶も並ぶ。川崎さんは朝夕、祭壇の前のろうそくに灯をともして正座し、かくれキリシタンの祈り「オラショ」を唱える。「一日無事であるように、また、一日を無事終えられたことを感謝してマリア様に祈ります」と言う。

 同市生月町博物館「島の館」の中園成生学芸員は「かくれキリシタン信仰は仏教や神道と併存している。私たちが正月に神社に行き、結婚式は教会で、葬式は仏教でというのと変わらない」と話す。

 日本へのキリスト教伝来は1549年。以後、キリシタン大名が生まれ信徒数は急増したが、豊臣秀吉のバテレン追放令に続き、江戸幕府も禁教令を出し、信徒を弾圧した。キリシタンたちは表面上、寺の檀家(だんか)になりながら信仰を守り続けた。禁教令から250年の潜伏時代を経て、日仏修好通商条約の締結で幕末の長崎を訪れたフランス人宣教師が、かくれキリシタンから密に信仰を告白された。それが西欧諸国に伝わり「宗教史上の奇跡」とも言われた。

 信徒発見後、多くのキリシタンがカトリックに復帰したが、「かくれ」の信仰を維持した人々もいた。当時はまだ禁教が解かれず迫害を恐れたことや、潜伏時代から続く伝統を守りたいと考えたこと、寺への恩義から戻れなかったことなどが理由だったとされる。

 その後、禁教の解除後も「かくれ」信仰は守られたものの、今も伝承されているのは長崎県内の生月島(平戸市)、外海(そとめ)地区(長崎市)、五島列島の一部だけだ。生月島では1960年に約1万1500人いた人口の半数以上が信者だったが、現在は人口約6000人に対し約300人。若者が島から流出し「信仰の内容が厳しく信者をやめてしまう」と川崎さん。

 例えば、オラショは本来、キリスト教の復活祭前46日間の四旬節(しじゅんせつ)に当たる「悲しみ節」の間に師匠の家に通って口伝で習う必要があり、正式に唱えると40分ほどかかる。キリスト教の洗礼に当たる「お授け」を行う役職者は葬儀もつかさどり、いつ呼ばれるか分からない。組織存続の方策を探る話し合いはしているが、妙案はないという。

 長崎純心大学の宮崎賢太郎教授(宗教学)は、キリスト教が来世志向で教義中心なのに対し、かくれキリシタンの信仰は現世利益志向で儀礼中心であることなどを指摘し「キリスト教よりも日本の民俗宗教の特徴を持っており、日本人の宗教観を知る手がかりになる」と語る。

 世界文化遺産に推薦された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に含まれる平戸市の無人島・中江ノ島は、多くのキリシタンが処刑され、今もかくれキリシタンの聖地だ。今年は国際記念物遺跡会議(イコモス)が現地を調査する予定で、「かくれ」への注目度も高まりそうだ。

 ◇信徒発見
 1865年3月17日、「フランス寺」などと呼ばれていた長崎の大浦天主堂を潜伏キリシタン、杉本ゆりら十数人が訪れ「ワレラノムネ、アナタノムネトオナジ(私たちの信仰はあなたの信仰と同じ)」とベルナール・プチジャン神父に告白したとされる。キリシタン復活のきっかけとなったが、その後も江戸幕府、明治政府は弾圧を続けた。西欧諸国からの圧力で禁教を解除したのは1873(明治6)年になってからだ。



追記

「長崎の教会群」世界遺産の推薦取り下げ検討
2016年02月04日 読売新聞

 今年7月の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で審議される予定だった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本県)について、日本政府と地元が、推薦取り下げの検討を始めたことが4日、わかった。

 文化庁関係者によると、ユネスコ諮問機関として事前審査にあたる「国際記念物遺跡会議」(イコモス)が、推薦書の改訂を勧める報告を1月中旬に日本政府に届けたためという。イコモスが今年の審査から、遺産の推薦国に対して、審査過程での意見を伝えるよう制度を変更したことに伴うものだ。

 報告では、キリスト教禁教の部分をクローズアップすることなどを勧めているという。取り下げた場合、既に来年の世界遺産委員会に向けて、「『神宿る島』宗像むなかた・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)が推薦されており、再推薦できるのは再来年以降の委員会になる見込み。

 「教会群」は、大浦天主堂(長崎市)など14資産で構成されている。



長崎教会群の登録見送り=推薦取り下げ、再挑戦へ―ユネスコ世界文化遺産
2016年 2月9日 時事通信社

 今夏の世界文化遺産登録を目指していた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本県)について、政府は9日の閣議で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を取り下げることを決めた。 2018年以降の登録に向け、内容を見直して再提出する。

 長崎教会群は国宝「大浦天主堂」など14資産で構成。キリスト教伝来から徳川幕府による弾圧を経て明治以降に復活するまでの、一連の歴史的価値を訴えていた。

 文化庁によると、事前審査したユネスコ諮問機関は1月15日付の中間報告で、「日本のキリスト教文化の特殊性は2世紀以上にわたる禁教期にあり、禁教の歴史的文脈に焦点を当てるべきだ」と、内容の見直しを要望。「登録」など4段階ある勧告のうち、下から2番目の「登録延期」に相当する表現だったという。

 一方で、資産が普遍的価値を含むことは認め、日本への有識者の派遣など、速やかな再推薦に向けた助言と支援を提案。同庁は「今年にこだわらず、再検討した方が早期登録の可能性が高い」と判断し、地元自治体と協議し取り下げを決めた。



追記 2016/09/01 登録推進会議で正式決定

潜伏キリシタン関連遺産に
2016年8月30日 長崎新聞

 2018年の世界文化遺産登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(本県、熊本県の12資産)について、県と関係自治体が「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」と名称変更する方向で最終調整に入ったことが29日、分かった。

 県と熊本県、構成資産を持つ6市2町は来月1日に「世界遺産登録推進会議」を開催。各自治体の首長の意見を聞いた上で新しい名称を決定する見通し。

 教会群をめぐっては、世界遺産登録を事前審査する国際記念物遺跡会議(イコモス)が1月下旬に政府に示した中間報告で、キリスト教の信仰が禁じられた時期に焦点を当てて再推薦するよう提案した。県は世界遺産としての価値を、仏教や神道を装いながらひそかに信仰を継続する過程で育まれた「潜伏キリシタンの文化的伝統」に転換。文化審議会は先月、再推薦を了承した。

 県とアドバイザー契約を結んだイコモスは「潜伏キリシタン」などの文言を使い、世界遺産としての価値を端的に表す名称に変更するよう指摘。県は有識者でつくる長崎世界遺産学術委員会のメンバーから意見を聞き、新たな名称を検討していた。


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