<ローマ法王>「世直し」で存在感 「格差是正」人気背に

<ローマ法王>「世直し」で存在感 「格差是正」人気背に
2014年12月27日 毎日新聞

 ◇米・キューバ仲介 中東に積極関与

 世界に約12億人の信徒を擁するキリスト教カトリックの総本山・バチカン(ローマ法王庁)のフランシスコ法王(78)が、国際政治で存在感を高めている。イスラム過激派は容赦せず、米国とキューバの国交正常化のための橋渡し役も果たした。世界版・水戸黄門のごとく、弱きを助け「世直し」を実践する原動力は何か?【ローマ福島良典】

 「クリスマスにも多くの人々が涙を流している。(戦争や迫害で)殺された子供たちに思いを寄せる」。法王は25日、バチカンのサンピエトロ大聖堂のバルコニーから談話を発表し、イスラム過激派によるキリスト教徒の「残忍な迫害」を糾弾した。

 カトリック史上初の中南米出身法王となって1年9カ月。戦争被害者や難民に救いの手を差し伸べる「貧者の教会」路線を掲げ、独自色を打ち出してきた。6月にはイスラエルのペレス大統領(当時)とパレスチナ自治政府のアッバス議長をバチカンに迎え、平和を祈願。米国とキューバの電撃的接近も法王が仲介していた舞台裏が明らかになり、「バチカン外交が復活した」(外交筋)。

 先々代のポーランド出身の故ヨハネ・パウロ2世は東欧民主化を後押しして冷戦終結に道を開いたが、2005年から約8年間在位したドイツ出身のベネディクト16世(87)時代はスキャンダルが相次ぎ、目立った外交成果はなかった。

 プロテスタントが多数派の米国でも、シンクタンクの12月発表の世論調査による法王の支持率は78%。オバマ米大統領(45%、ギャラップ社の最新調査)を上回っている。「人気がカトリック教徒にとどまらないのは平和や、貧富の格差是正を訴えているからだ」。法王の評伝を著したアルゼンチン紙ナシオンのエリザベッタ・ピケ記者が解説する。歯に衣(きぬ)着せぬ発言もメディアを動かす。

 フランシスコ外交の3本柱は「平和、貧困撲滅、懸け橋」(バチカンのパロリン国務長官)。そこにあるのはキリスト教徒の安全を守るという使命感だ。キリスト教徒を保護してきたアサド・シリア政権への武力行使には反対したが、キリスト教徒を迫害する「イスラム国」への空爆は黙認する。イスラエルとパレスチナの和平交渉を促すのも、中東からのキリスト教徒流出の危機感からだ。

 「欧州出身の法王と違って、フランシスコ法王は『南の法王』。アジアへの布教に取り組んできた修道会イエズス会の出身で、DNAにはアジアがあり、東アジアと中東に照準を合わせている」。米インターネット紙ハフィントン・ポストのバチカン専門記者、ピエロ・スキアバッツィ氏(56)が分析する。

 「(神学生時代)日本に宣教に行きたかったが、健康上の理由でかなわなかった」と語る法王。第二次大戦終結70年を前に「人類はヒロシマ、ナガサキから何も学んでいない」と核軍縮の遅れを嘆く。友人に「心の中には日本がある」と打ち明けており、来年か16年に訪日する可能性がある。

 法王のアジア重視には、欧州でカトリックの地盤沈下が進み、信徒数拡大はアジアなどが頼みの綱という事情もある。今後の焦点はバチカンと国交のない中国との関係改善だ。法王は来年1月中旬、スリランカとフィリピンを訪問するが、「中国に南沙諸島問題の解決を促す平和メッセージを発する機会」(フィリピン人信徒)とみられている。法王外交の「次の一手」を世界が注視している。

 【経歴】
 1936年、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス生まれ。イタリア系移民の両親を持ち、21歳でイエズス会に入会。アルゼンチン管区長時代は貧民街でミサを開き、未婚の母やエイズ患者に手を差し伸べた。2001年に枢機卿になった後もアパート暮らしだった。


・ローマ法王のニュースがとても多くあった一年である。チェンジと叫んだ大統領が失速したのに比べて、改革を期待することは少ない宗教保守組織では異例な存在感である。

これも宗教組織の内部問題が大きい。最近の問題をテコにして勢力を維持したいという事情があるにしても、キリスト教の原点に立ち返る機会にはなっている。

マザー・テレサではないが、貧しいものと一緒に生きることしか宗教者の道はないのではないか。講壇から難しい説教をしても、宗教家が事業家としてしか映らない現状は打破したいものだ。

シンボルとしての存在は、裏表のない平和な質素なものを求めたい。来年も、混迷する時代に経済・政治の抑えとして宗教が本来の姿勢に少しでも近づくことを期待したい。


バチカン、15の病 法王、官僚主義体質を批判
2014年12月24日 朝日新聞

 「自らを批判し、改善できない法王庁(バチカン)は病気だ」。ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は22日、枢機卿らに向けたクリスマスのあいさつで、バチカンの官僚主義的で内向きな体質を厳しく批判した。

 例年ならば一年の労をねぎらわれる場で、トップから強い「内部批判」が飛び出した。法王庁の問題点を「陰口というテロ」や「物欲」「虚飾に走る」など、15もの「病気」に例えて、改善を促した。

 法王はまた「聖職者とは飛行機のようなものだ」と語りかけた。「ニュースになるのは落ちた時だけだ。だが一人が落ちれば、教会全体が傷つく」と述べた。

 昨年3月に就任したフランシスコ法王は「貧者のための清貧な教会」を掲げる。機密文書の流出や、教会の資産を運用する機関のマネーロンダリング(資金洗浄)問題など、醜聞が噴出した法王庁の改革に取り組んでいる。信者からは高い人気を得るが、法王庁内には倹約思考への不満もあるとされる。(ローマ=石田博士)


関連記事
スポンサーサイト

コメント


トラックバック

↑