素・極意ぃ~:映像 池田晶子(文筆家)


生きていることとは何だろう? 池田晶子 当たり前だけど不思議なこと


・書評誌の読者プレゼントで送られてきたのが池田晶子『事象そのものへ!』(法藏館、1991年)だった。池田にとっては話題となった最初の書籍で彼女の直筆サインが入っていた。単に姓名を書いただけの簡素なものだった。2007年に46歳で病死されたということで大きな印象がある。

その後、活躍の場が拡がったようでマスコミにも取り上げられるようになった。『14歳からの哲学―考えるための教科書』(トランスビュー、2003年)が話題となりニュースステーションに出演したのだろう。

映像を見ると自分の言葉を探そうという姿勢が垣間見られ結論を即断しないという方なのだと分かる。それが哲学者らしいのかもしれないが既存の哲学に拠らずに生きるという難しい問題を思い続けることはなかなか大変なことだ。テレビ出演なので事前の打ち合わせ・進行が決まっていたろうが、彼女の考えるペースはいささかも変わらないように見える。

自分の言葉で語ることは大事である。難しいことはあれともこれとも言える。その辺りを割り切って分かったように話す評論家の類がほとんどの時代にあって稀な存在だったのだろう。マスコミに登場する方に私たちが期待するのは、論拠のある分かりやすい切り口と結論である。そうした方が評価されて視聴率も取れることは間違いない。

とくかく余裕のない社会になり、ゆっくりと考えることもできなくなってしまった。結論を急ぎ、責任を追及し外野を決め込む。そうした傍観的な生き方しかできなくなった。ただ考えてみるべきことは、AかB、どちらに選択しようかという単純な問題ではなく、なぜ・どうしてなのだろうという複雑極まりないことが多い。

テレビの中で長く沈黙し言葉を選ぶことを許さない時代。より大事な本質的なこととは何かを彼女は示していたのだろう。私たちは生きるということにもっと直面しないといけないのではないだろうか。

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