テレメンタリー2014「地域医療の行方~福岡市医院火災から1年~」

テレメンタリー2014「地域医療の行方~福岡市医院火災から1年~」
2014年10月6日放送 テレビ朝日系列局

去年10月、福岡市博多区の診療所で火災があり10人の命が失われた。ずさんな診療所の管理実態が明らかになり立件に向けた捜査が続く。一方、火災から見えてきた別の一面。ベット数が19以下の有床診療所は入院基本料が病院と比べ3分の1程度に抑えられている。「三食介護付きでカプセルホテルより安い」。医療の世界に残る格差の現実だ。地域に密着する町医者を支えるのは使命感とプライド。地域医療の行方は不透明なままだ。

ナレーター:小山茉美
プロデューサー:野村友弘
取材・構成:井尻 崇
制作:九州朝日放送


・この2013年10月11日の診療所火災についてはブログでも取り上げた。立件に向けて警察は捜査を続けているという。亡くなった前院長は医学的にも地域にも実績を持った方であった。医院の再建を向けた地元住民らの嘆願書は11万人を超えるという。それは全国的に診療所の抱えている経営問題を背景にしたものであるとみることが妥当だろう。

1985年頃から有床診療所の経営に大きな転機があった。それは厚生省幹部らの病院への集中をめざす考えからで、それ以降は病院と有床診療所の診療報酬上の格差がひらいていく。有床診療所の数は、2014年7月末で8629施設。40年間で3分の1以下に減少しているという。

ところが厚労省は有床診療所の意義を見直し地域医療の推進に位置づけたいとしている。その矢先に起きた火災事故で明らかになった防火設備の不備。

番組では別の診療所の日常を通して地域が抱えている問題を描いている。それは地域に密着した診療を長年行ってきた地元住民からの信頼に拠るところが大きいと言える。番組は、町医者の使命感だけでは経営困難な現状を伝えた。

さて厚労省は病院の機能分化を推し進めており、病院を急性期医療や高度医療ができる病院に特化させて、症状が安定した患者は自宅か老人保健施設で面倒みるようにしたいという思いがある。

ところが老人保健施設にも入れない多くの患者が行った先が有料診療所であり、この火災を境にして防火施設の設置を義務づけるべく、さらなる経営を悪化させているのが現状である。そのためにベットをなくす診療所も増加することで地域の患者の受け皿がさらになくなっていく。

国は適正化の美名で今後かなり思い切った医療費抑制策をすると考えられる。それは消費税が例え上がっても、社会保障費用全体が鰻上りの現状では仕方ない面があろう。ただ現在でもある医療格差を拡大させ、住んでいる地域や資産によって受ける医療の質が異なることに国民の納得が得られるかが焦点となる。

今までは過疎の町で起こっていたと思われるような現象が都会でも普通に起きるようになっている。産科医、救急医、小児科医の不足が都市部でも当たり前に見られる。医療と介護は徐々に余裕をなくしているのが現状であろう。


患者ら10人死亡火災から1年 追悼
2014年10月11日 NHK

福岡市の整形外科医院で入院患者など10人が死亡した火災から1年になる11日、この医院を利用していた人などが現場を訪れ、献花台に花を手向けて犠牲者を追悼しました。

去年10月、福岡市博多区の「安部整形外科」で起きた火災では、入院患者など合わせて10人が死亡しました。

医院は全焼しましたが、建物は今も残っていて、火災から1年になる11日、現場に設けられた献花台を医院を利用していた患者などが訪れ、花を手向けて犠牲者を追悼しました。

警察のこれまでの調べによりますと、火元は1階の部屋のコンセントの周辺とみられ、煙や熱を感知して自動で閉まる防火扉が作動しなかったことで煙が一気に上の階に充満し、被害が拡大したとみられています。

また、この医院を巡っては、4年余り前に増築した際、福岡市に申請をせず、新たな基準に沿った防火扉に変更していなかったことが分かっています。

警察は医院の防火対策や管理体制に問題があったとみて、引き続き、業務上過失致死傷の疑いで捜査を進めています。



医院火災で院長を書類送検=10人死亡、業過致死傷容疑—福岡県警
2015年2月17日 時事通信社

 福岡市博多区の安部整形外科で2013年10月、入院患者ら10人が死亡した火災で、医院の防火管理を怠ったとして、福岡県警捜査1課などは17日、業務上過失致死傷容疑で安部龍暢院長(47)を書類送検した。同課によると、院長は「火災の責任は私にある」と容疑を大筋認めているという。

 火災は、同年10月11日未明に発生し、入院患者8人と同じ建物に住んでいた元院長夫婦が急性一酸化炭素(CO)中毒で死亡し、患者ら5人が重軽傷を負った。

 同課は、1階リハビリ室にあった加温器のコンセントプラグにほこりがたまり、ショートを起こし発火する「トラッキング現象」が出火原因と特定。煙や熱を感知して閉まる防火扉5枚が、感知器の経年劣化や紙をはさんで固定していたため、いずれも作動しなかったことで被害が拡大したと判断した。常閉式の防火扉も一部、ロープやストッパーで固定され、開いたままだった。



10人死亡の整形外科火災、院長を不起訴 福岡
2017年3月14日 朝日新聞デジタル

 福岡市博多区の安部整形外科で2013年10月、入院患者ら10人が死亡した火災で、業務上過失致死傷容疑で書類送検された男性院長(49)について、福岡地検は14日、不起訴処分にしたと発表した。地検は「起訴するに足りる証拠がなかった」と説明している。

 福岡県警などによると、13年10月11日未明、鉄筋コンクリート4階建ての1階にある医療機器の電源プラグ付近から出火。1、2階にいた入院患者8人と、3階に住んでいた元院長夫妻の計10人が死亡し、入院患者ら5人が負傷した。

 防火扉の一部が当時、閉まらないように固定されていたことなどから、県警は適切な防火管理を怠ったことが被害拡大を招いたとして、15年2月に院長を書類送検した。だが院内の検証や実験を重ねた結果、防火扉が正常に機能していたとしても被害を防ぐのは困難だったと判断したという。



火災不起訴の院長がコメント 「地域医療に身をささぐ」
2017年3月14日 中日新聞デジタル

 福岡市博多区の有床診療所「安部整形外科」で2013年10月、入院患者ら10人が死亡、5人が負傷した火災で、安部龍暢院長(49)は14日、自身の不起訴処分を受け「被害者のことを思い続け、死ぬまで地域医療にこの身をささげる」とのコメントを出した。

 安部院長はコメントで「ご遺族に本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と改めて謝罪した上で、「このような悲惨な事故が二度と起きないようにするためにはどうしたらいいか一生懸命考えています」と結んだ。弁護人によると、診療所は15年5月に場所を変えて再開し、院長も復帰した。(共同)


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