散骨場に住民反発、条例施行で問題は解消へ?

散骨場に住民反発、条例施行で問題は解消へ?
2014年8月27日 JIJICOジジコ

熱海市議会、散骨場の規制を可能とする条例改正案を可決、施行

静岡県熱海市の山林で計画されていた散骨場に対し、住民らが反対運動を展開していた問題で、熱海市議会は今月、散骨場の規制を可能とする条例改正案を可決、施行しました。改正された条例案では、散骨場のような墓地に類似する施設の開発については、規模にかかわらず事前協議や審査が必要になることなどを定めています。

現状、散骨(火葬後の焼骨を撒く葬送方法)を明確に規制する法律はありません。また、散骨は、論理的には、刑法190条の「遺骨の遺棄」に当たる可能性もありますが、現時点において葬送としての散骨に刑法190条を適用した事例はないでしょう。

むしろ、散骨が葬送方法として行われる場合には、葬送の自由として憲法が保障する基本的人権に含まれる可能性があります。もっとも、無分別に散骨がなされた場合には、焼骨の性質上、周辺住民の生活や感情に大きな影響を与え得るため、公共の福祉による規制も避けられません。

今回の熱海のような散骨場の条例での規制では、このような2つの権利自由の調和の観点が重要になると思います。散骨場を規制する条例は、2005年の北海道長沼町のケースを最初として、各地で制定されてきています。仮に、今後も民間業者が散骨場の計画を次々に進めた場合には、このようなトラブル、条例による規制は増加するものと思われます。

葬送の問題と、住民の権利をいかに調和させていくか

今回の熱海のケースを具体的に見てみると、当初の計画では、パウダー状にした焼骨を、水や植物の栄養剤と混ぜジョウロで散布するということで、地面に浸透し風で舞うことはないと業者側は説明していたと言います。しかし、その後、住民らの反対運動などを受けて計画を変更。熱海沖に散骨した後、くみ取った海水を区画内に埋めた竹筒の中へ遺影・遺品と一緒に入れる形にしたようです。

この形であれば敷地に焼骨は入らないとも思われ、そもそも「散骨場」に当たらない可能性も出てくるでしょう。しかし、熱海市が条例で規制するのは「墓地類似施設」のため、変更後の計画でも条例の規制対象となるというのが熱海市側の主張のようです。

同時に、熱海市は、多数の遺族からの大量の焼骨を霊園施設以外の場所に散布する行為は、節度のある葬送とはいえないとの観点から、墓埋法に基づく墓地の経営の許可の取得も求めたとのことですが、海洋散骨は既に多数の業者が営んでいる中で、「節度の有無」という抽象的な概念の議論には、異なる立場からのさまざまな意見がありそうです。

散骨場に限らず、葬儀施設全般は社会的に嫌悪施設ともいわれ、故人を悼む誰にとっても必要なものでありながら、近隣に計画が立ち上がると住民から反対運動が起こることが多いのが現実です。その中で、墓埋法制定当時と異なり、散骨など葬送方法について新しい需要が生じている中で、今後、故人や遺族の尊厳にもかかわる葬送の問題と、住民らの権利をいかに調和させていくか、自治体には難しい舵取りが迫られそうです。(永野 海/弁護士)


・経緯は以下によるが、熱海市では民間事業者が計画している自然葬(散骨霊園)に対してストップをすべく条例改正を行った。そこには住民の反対運動があったわけで、事業者は計画内容の変更で対応するつもりだが、熱海市側は改正条例に沿って事前協議の対象とすべきものとしているが事業者は難色を示しているという。

法律的な問題が大きいので検討すべきことは多く、記事にあるように国民の基本的権利の問題にまで波及する。遺骨の扱いについてはグレーゾーンがあり、事実上散骨は広く行われていると思います。それを事業化していきたいとする民間業者が現れても不思議なことではありません。

一方で、迷惑施設で風評被害があると感じる住民感情との大きな差は埋まらないようです。

国が方向性を示していくならば規制も可能であると考えますが、自然葬や散骨という選択肢を求めるニーズはあるわけで、グレーゾーンをなくせば解消するという単純な話ではないと思います。

国民感情として、葬儀・葬送方法・埋葬などが過渡期にあり混乱しているのが現状で、具体的に身近なところで散骨が行われるということに違和感を感じることは自然でしょう。事業者は、恐らく風光明媚なところで自然に還るというキャッチフレーズで温泉地・熱海への集客を期待してのことだと思います。

私自身は、こうした散骨の民間事業者の営業について関心はなく調べたことはありません。ただ、自然葬にしても墓地に埋葬するにしても、亡くなった方の遺志や家族の意向を踏まえて一般常識に逆らわない形で実施することを願うものです。

もう火葬場で骨を拾わない、遺灰すら持ち帰らない人もあるということを最近、聞きました。そうすれば自然葬も墓地への埋葬という問題すら起きないことにもなりそうです。それを個人として、住民として、日本人としてどう考えるかという難しい判断であろうと思います。

ヒットした秋川雅史『千の風になって』だが、多くの賛同者がいると思うが私は関心がない。日本語訳の詩の内容は分かるのだが、それで遺骨や墓が不要!?のような印象を与えてしまうのではないかと思うからだ。

遺骨や墓を偶像視することは勧めないにしても、それがあることで死者を意識する時間・空間を得られるという日本人は多いのではないだろうか。むろん千の風や何かになっているというポエジーな印象も悪くはないが、「墓にいない、眠ってなんかいない、死んでなんかいない」とするのはエグイ感じがします。

いろいろな見方・感じ方で葬送文化を考え、先人たちのことを思いつつ、今の時代の人を考え、来たるべき人たちに思いを馳せる、それが宗教の言わんとするところでしょう。


熱海市まちづくり条例の一部を改正する条例について  外部リンク
平成26年8月8日施行
熱海市 観光建設部 まちづくり課 土地対策室

改正では、開発事業について墓地とペット霊園に加え、墓地に類似する区域(墓碑や石碑などを設ける区域)を設置。①墓地、墓地類似施設、ペット霊園は、面積にかかわらず事業着手前に開発事業の事前協議書を市長に提出②駐車場施設は、施行区域内に設置し、開発事業の規模などから算定した台数としている。

今回の改正により、開発事業には説明会や審査が必要となり、違反した場合は6カ月以下の懲役や50万円以下の罰金の罰則規定を設ける。

散骨場の経営許可に対する条例案は、9月定例会に提出予定。



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http://sonae.sankei.co.jp/

インタビュー
秋川雅史さん(3)「お墓にいない~」。でも、お墓否定の曲ではありません
2014.7.24

『千の風』の歌詞には「お墓にいません」とあります。でも、自分の解釈として、「お墓にいません」という言葉は「いつもあなたの側にいるんですよ」というのを言うため、比喩的に表現していると理解しています。(秋川雅史)


経過

熱海市、散骨規制条例制定まで秒読みか
2014年06月30日 仏事オンライン

熱海市は26日、散骨施設の設置を規制する罰則付きの条例案を近日中に公開すると明らかにした。パブリックコメントで意見を求めた後、確定条例案を検察庁と協議し、9月定例議会かその前の臨時議会に提出する。

同市熱海の風致地区で散骨場建設を計画し、市から墓地埋葬法に抵触するとして事実上中止を求められた自然葬・不動産会社「DAICHI」は11日、遺灰を計画地の区画に散布せず、海洋散骨して海水を持ち帰り埋める方式へ変更した。説明書を受け取った市は「再度検討する」としたが、同社の社長は海洋散骨だと同法に触れないと、ホームページでの営業を再開する旨を伝えていた。

DAICHIの変更後の案に対して、斉藤市長は「(当初と)違う事業形態なので、ストップをかけられるかどうかも含めて検討している。できるだけ早く回答したい」と述べた。また「(海洋散骨でも反対だという)住民の意思は尊重したいが、根拠がなければできない。簡単な話ではない」と付け加えた。DAICHI案への新条例の影響を田辺副市長は「内部検討中」としたが、「用意している条例案は最終チェック段階だ」と説明している。



熱海市、散骨問題で改正条例施行 「墓地類似施設」規制
2014/8/ 9 静岡新聞

 熱海市議会は8日、8月臨時会を開き、「墓地に類似する区域の設置」に必要な手続きなどを明確化する目的で市が提出したまちづくり条例の改正案を全会一致で可決した。即日施行し、市は「海洋散骨霊園」事業を計画する民間企業に対し、改正条例に基づく手続きを求める文書を出した。

 改正で「墓地類似」施設にも、開発事業の事前協議書の提出や利害関係者への説明会開催が義務付けられ、駐車場などの審査基準に適合する必要がある。整備すべき駐車場の基準台数は、区画数の4%以上を念頭に置く。

 文書は、企業が変更した事業を「墓地埋葬法への抵触の観点から支障となる焼骨を『霊園』の外に散布するもの」と指摘し、「国民の宗教的感情に適合し公共福祉に問題を生じさせないよう、相当の節度を持って行うものとは言えない」とした。まちづくり条例の手続きが必要な事業に当たると結論付け、違反時は中止勧告や是正命令などを行い、さらには罰則について告発する可能性も伝えた。

 斉藤栄市長は一連の散骨問題を捉えて「無秩序な中で一定のルールが示せた。現時点で考えられる最善の策」と述べるとともに、「全国で起こり得る問題。国が一定の規範を設ける時期」と提起した。

 事業に対する反対署名活動は市内全域で続き、11日に市へ提出される。企業の社長は静岡新聞社の取材に対し「応じない」とした。


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