訪韓中の法王ミサに元慰安婦出席 直接接触はない見通し

訪韓中の法王ミサに元慰安婦出席 直接接触はない見通し
2014年8月14日 産経新聞

 ローマ法王フランシスコが14日に訪れた韓国は、国を挙げた歓迎ムードに包まれている。法王が滞在中に行うミサには、元慰安婦の女性が出席する予定だが、関係者らが期待する直接の接触は実現しない見通しだ。

 18日に開かれる「平和と和解のためのミサ」には、カトリック信者の元慰安婦の女性5、6人が出席する予定だ。慰安婦問題を担う韓国女性家族省を通して、韓国の教会が招待した。

 訪韓前からメディアの間では、法王が、元慰安婦を訪問し対話するなどの“期待論”も流れていた。法王の訪韓に世界が注目する中、対話が実現すれば、慰安婦問題を国際社会に宣伝する絶好のチャンスとなる。

 ただ、元慰安婦が暮らす施設が法王の施設訪問を韓国の教会を通して要請したものの、断られたとの話もある。法王は訪韓直後、朴槿恵大統領に対し、朝鮮半島の平和への願いを胸にやってきたとの意を伝えたとされ、慰安婦問題との過度の関わりは避ける見通しだ。

 法王はミサで女性や子供など社会的弱者の権利擁護に言及するとみられる。(ソウル 名村隆寛)


・ローマ法王が訪韓中である。日本では話題にならないが、多数の信者を擁する韓国では一大イベントであろう。またカトリック以外の新教信者も含めるとキリスト教に対する好意は、恐らく人気低迷の韓国政権より大きいに違いない。

政治的な発言を控えることでバランスをとりたい法王庁と、慰安婦問題も含めて政権の推進力としたい政権側の思惑は違う。

ただキリスト教会へ抑圧を続ける中国に対する法王庁の意志疎通の思いもあり、中国と蜜月にある韓国にも後押しを期待したい旨もあるだろう。

法王の一声で何かが変わる時代ではないし、目下バチカンの旧体制の改革をしている立場では、信者が増加しているアフリカ、南アメリカ、アジアに目配せする姿勢を保つことが最善なのだろう。

法王の目指す清貧の態度がどこまで末端まで浸透できるのか、それが新たな教会像を打ち立てるのか期待されよう。

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<ローマ法王>韓国に出発 元慰安婦の女性らミサに
2014年8月13日 毎日新聞

 フランシスコ・ローマ法王は13日夕(日本時間同日深夜)、初のアジア訪問国・韓国に向けて出発した。滞在最終日の18日には、元慰安婦の女性らが法王のミサに出席する。韓国政府で慰安婦問題を担当する女性家族省を通じて、韓国の教会から招待を受けたという。韓国の政府と慰安婦支援団体は最近、国際社会への宣伝強化で日本への圧力を強めており、元慰安婦のミサ出席もそうした宣伝攻勢に使う狙いがあるとみられる。

 元慰安婦10人が暮らすソウル郊外の施設「ナヌムの家」によると、ここで暮らすカトリック信者の女性を含む6人程度が法王のミサに出席する見込み。法王は社会的弱者に寄り添う「貧者の教会」を掲げている。法王庁のロンバルディ報道官は、韓国カトリック教会による元慰安婦の招待についても「貧者の教会」路線の反映との見方を示した。

 ナヌムの家の安信権(アン・シングォン)所長は「ミサに招待されたが、法王と元慰安婦が対話するというようなことは聞いていない」と話す。

 ただ、慰安婦問題を巡っては、バチカンと韓国の間に微妙な温度差も見え隠れしている。

 ナヌムの家は韓国の教会に対し、法王の地方視察にナヌムの家を入れてほしいと要望したが、断られたという。法王の日程には、地方の障害者施設へのヘリコプターによる訪問も入っており、ナヌムの家の訪問は不可能ではなかったはずだ。カトリック関係者は「バチカンは(慰安婦問題に関する複雑な事情を)よく分かっている」と話す。法王庁が慰安婦問題への過度な肩入れを避けた可能性もありそうだ。

 バチカンの通信社アジアニュースのベルナルド・チェルベレッラ編集長は「法王は女性や子供の搾取について話し、元慰安婦にあいさつすると思うが、慰安婦問題はアジアの歴史における傷の一つにすぎない。根本的な問題は南北朝鮮の和解だ」と指摘した。

 ミサには、北朝鮮のカトリック信者も招待されたが、北朝鮮側からは否定的な回答が来ているという。【ローマ福島良典、ソウル澤田克己】



<ローマ法王>ソウルで80万人ミサ 殉教信徒たたえる
2014年8月16日 毎日新聞

 韓国訪問中のフランシスコ・ローマ法王は16日、朝鮮半島で18~19世紀に迫害を受け、殉教したキリスト教カトリックの信徒ら124人を最高の崇敬対象である「聖人」に次ぐ「福者」とする大規模野外ミサをソウルで開いた。

 福者となったのは、最初の殉教者とされる尹持忠(ユン・ジチュン)パウロら「第1世代」の信徒123人と中国人神父1人。朝鮮人最初の神父ら「第2世代」103人の殉教者はすでに1984年に聖人に列せられている。

 朝鮮半島でのカトリック信仰は宣教師によって伝えられたのではなく、1784年に北京で洗礼を受けた信徒が帰国して広めた。当時、儒教を支配原理とする朝鮮王朝はキリスト教を反体制思想として危険視し、迫害していた。法王はミサの中で「信徒たちこそが最初の使徒だったのだ」と述べ、信仰を伝え、死守した信徒の勇気をたたえた。

 法王はアジアへの布教を推進してきた修道会イエズス会の出身。禁教下の江戸時代に聖職者不在の中、信仰を守り通した長崎の潜伏キリシタンに関心を寄せている。

 ミサはソウル中心部の光化門広場で開かれ、推定約80万人が参列した。法王はミサ会場で、今年4月に起きた客船セウォル号沈没事故で子供を失った遺族と言葉を交わした。

 法王はミサ後、韓国中部・忠清北道(チュンチョンプクド)陰城(ウムソン)郡にあるカトリックの福祉施設「コットンネ共同体」を訪れ、障害者らを励ました。法王は社会的弱者に寄り添う「貧者の教会」を掲げ、昨年7月のブラジル訪問ではスラム地区、今年5月の中東歴訪ではパレスチナ難民キャンプに足を運んだ。【ソウル福島良典】



ローマ法王、信徒獲得アピール アジアでは3% 中国意識、習氏に「ご加護」
2014年8月16日 産経新聞

 ローマ法王フランシスコは今回の韓国訪問を機に、アジアでの布教活動を本格化させる。成長著しいアジアで存在感をアピールし、新たな信徒獲得につなげる狙いだ。国交がない中国との関係もカギとなる。

 ローマ法王の訪韓は25年ぶり。アジア訪問も先々代の故ヨハネ・パウロ2世のインド訪問以来、15年ぶりだ。ローマ法王庁(バチカン)報道官は訪問に先立ち、「アジアの重要性は誰もが認識しており、福音の伝道者はその可能性に目を向ける」と強調した。

 欧州では信徒の比率が下がるなど、カトリック教会にとって信仰の普及は重要な課題の一つだ。信徒の総数は約12億人ともいわれるが、世界人口の6割を占めるアジアでは約3%にとどまり、大きな潜在力を秘めている。

 なかでも韓国は、この約30年で信徒が500万人超と倍以上に増えた有望な国だ。

 米調査機関によると、法王に好感を持つ韓国国民は8割以上で、法王がメッセージを発信するにはうってつけの舞台といえる。

 法王は来年1月にはスリランカとフィリピンも訪問する。欧米メディアは韓国訪問について、「欧米の法王人気がアジアに広げられるかの試金石」とみる。

 法王は訪韓に伴い、中国への対応も意識しているとされる。台湾との関係を保つバチカンと、別の公認組織を持つ中国側は司教の任命などで対立してきた。法王に忠誠を誓う信徒の信仰の自由が確保されない現状は大きな懸念材料となってきた。

 法王は韓国に向かう航空機が中国の領空を通過した際、習近平国家主席に「神のご加護を祈る」とメッセージを送った。通過国へのメッセージは慣例だが、中国が法王機の通過を認めたのは初めて。「緊張緩和の兆候」とみる専門家もいる。

 ただ、ロイター通信によると、韓国での式典に出席しようとした中国の信徒100人超のうち、約半数が参加不可能になったという。関係者は「中国内の複雑な事情」だと語り、一部は当局に逮捕されたとも伝えられる。【ベルリン=宮下日出男】



<ローマ法王>来年の訪日に意欲 アジア外交を強化
2014年8月19日 毎日新聞

 5日間の韓国訪問を終えたフランシスコ・ローマ法王は18日、バチカンに帰国する特別機中で毎日新聞など同行記者団との記者会見に応じ、来年中の訪日に意欲を示した。また、可能であれば在位中に中国を訪れたいとの意向を表明し、訪韓で本格始動したアジア外交を一層強化する姿勢を打ち出した。

 来年は、江戸時代末期に長崎の潜伏キリシタンが約250年ぶりにカトリック司祭と出会った出来事「信徒発見」の150周年にあたる。この機会に長崎を訪れ、日本の信徒と共に祈りをささげる可能性を問う質問に、法王は「そうなれば、とてもすばらしい」と2度繰り返した。法王訪韓中、日本司教団は改めて訪日を招請した。

 法王は訪韓中、北京から朝鮮半島にカトリック信仰を伝え、朝鮮王朝の迫害を受けながらも信仰を守り抜いた一般信徒の勇気をたたえた。バチカンのロンバルディ報道官は「日本の潜伏キリシタンと朝鮮の教会の始まりには類似点がある」と指摘している。

 また、バチカンと国交のない中国との関係改善について法王は、「教会が求めているのは布教の自由だけだ。他の条件はない」と政治的意図がない点を強調。「明日にでも(中国を)訪れたい。バチカンは中国の人々に敬意を払っており、接触に前向きだ」と述べた。

 一方、18日にソウルのミサで初めて対面した元慰安婦7人の印象について法王は「侵略下、少女時代に兵舎に連れてこられ、搾取され、奴隷状態に置かれた。いずれもむごいことだ。だが、彼女たちは今も人間としての尊厳を失っていない」と述べた。【法王特別機中・福島良典】


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