介護主夫日記:特養待機者

† 最近発表された特養待機者数だが、よくある記事には複数応募しているから実際は少ないとか現在は順番でなく家庭の状況によって入所が決まるという言い訳が書かれていることがある。そうした誤魔化しには騙されない。厚労省は、もう施設は作らないし民間住宅を施設化して安上がりにしようという意向は確かなことだ。以下の記事にあるように老老介護も含めて綱渡り状態の人たちは多いに違いない。その個人的な努力にも限界がある。

‡ 私もかなり以前に施設入所の希望を出したことがあるが、当時は順番待ちであり施設からは何ら連絡ないままに立ち消えになってしまった。本当は施設がいいと感じていても、どうせ死ぬまでには入所できないと予想できてしまい応募すらする動機も失せた。つまり特養待機者の数字に含まれていない、そうした諦めて応募もできない一群の人たちも多く存在すると考える。


「大弦小弦」
2014年4月29日 沖縄タイムス

7、8年ほど前、介護の取材で本島中部の90代の女性宅を訪ねた。思ったより元気で明るい表情に少し安堵(あんど)し、熱いお茶を出してもらって話を聞いた。その方は、同じ90代の姉を家で介護していた▼ヘルパーの力も借りてはいたが、ベッドで寝たきりの姉と2人きりの時間は多い。「助けてくれる人もいるから、何とか大丈夫よ」。気丈に話す姿に、帰り道で気持ちは沈んだ▼高齢の夫婦やきょうだい、老老介護の現状は過酷だ。認知症があればなおさらで、感情の起伏が激しくなったり、徘徊(はいかい)や昼夜逆転なども起こると支える側の負担は一層、重くなる▼そのつらさを抱えても在宅で介護せざるを得ない要因の一つは行き場のなさだ。厚生労働省によると、今年3月末の特別養護老人ホーム入所希望者は全国で52万2千人、09年より10万人増えた。県内でも5153人が待機中だ▼有料施設は県内に約280カ所あるが、月額10万円以上かかる場合も多い。わずかな年金を頼りに暮らす高齢者は、厳しい現状に取り残されていく▼愛知県では電車事故で死亡した91歳の夫の監督義務を怠ったと、当時85歳の妻が賠償を命じられた。認知症の夫を支えてきた妻を思うと心が痛む。超高齢化時代に待ったはない。「何とか大丈夫」と浮かべた笑顔が、寄って立つ足元は、あまりに危うい。(儀間多美子)


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