NHKこころの時代 「すべては風の中に」カトリック司祭・井上洋治

こころの時代~宗教・人生~ アーカイブス「すべては風の中に」
2014年4月27日 NHK-Eテレ

先月逝去したカトリック司祭の井上洋治さんは、西洋で育まれたキリスト教を、日本人の心情に基づいてとらえ直し、イエスの教えを心に響く形で伝えることに生涯を捧げた。

青年のころ、避けては通れぬ「死」の問題をきっかけに虚無感に苦しめられた井上さんは、修道者の道を歩み始める。フランスの修道院で修行、ローマで神学を学ぶが、西洋人の神や信仰のあり方がどうしても自分の身に合わない。東方教会の伝統や日本人の精神風土をたずねた井上さんは、生きとし生けるものとともに神の風に身を委ね、憩うという独特の信仰を見いだしていく。そのたどり着いた境地をうかがう。(2006年4月23日放送)

【出演】カトリック司祭…井上洋治
【きき手】山田誠浩


・井上さんの話を聞きながら、いろいろな発想がでてきて集中しなかった。斜め読みのような印象が残った。極めて理知的にきちんと話をされ人柄がよく番組からも伝わってくる。

遠藤周作氏や井上さんのような問題意識を持つことが、いまの私は当然だと思っているのだが、「お互いに完全に孤立していた」との言葉からも、正統的な潮流からは離れた厳しい位置にあったのだというのは分かる。

井上さんが西欧の個の感覚について語っていたように、まずモノがあって、モノとモノとの関係を考える西欧流について馴染めないという肌感覚からして、日本人はちょっと違うという意識が働いた。

そして法然の生き方を知って、キリストを含めて流れている寄り添いの眼差しを持つことが大事な視点であろうと認識。

悩み苦しみを持つ人たちに対して「一緒に苦しむ以外には多分何もできない」という言葉、そして宗教を自分自身の生き方の問題ときちんと捉えているゆえに、余りにあやふやな考え方はできないという厳しさが印象に残った。

今回は話の要約はする気持ちがないのだが、それは井上さんの話には何も説教じみたところがなく、自然に納得できることで改めて自分の知識として残すことでもないと思うからだ。

井上神学なるものが存在すると考えるかもしれないが、そうした知的な作業をするよりも、風に任せる、つまりすでにイノチに包まれている生きている自分を生きるということに結実するだけではないのだろうか。

宗教クサい人たちが世の中にはいっぱいといる。特に日本でクリスチャンとなのる人たちには違和感を感じる。

それに対して遠藤周作氏にしても井上さんにしても、自分の肌感覚と合わない点をきちんと見据えて追究し納得していく作業を誰もがしないといけないのではないかと感じてしまう。

問題は、こうした柔軟とも言える考え方をできる人たちが少なくなっていくこと。宗教を何か教条を覚え込むものと考えてしまうことや生活文化の一つの様式としか捉えられないことだろう。

井上さんの話にあったように自分の生き方の基本に据えるものとして、例えばキリストのような生き方をめざすことが生きることは大事だろう。それは学問のためでも宗教組織のためでもない、どこまでも自分の問題とする求道的な厳しい生き方でもある。

人間は先人たちの生き方・思いを受け継いで生きる他ない。残された宗教的な古典から学び、自分自身の感性を大事にしながら生きる他はない。その意味で、井上さんは自分に正直生きられた方だと思った。

なお著作の多くがカトリック系出版社以外から出版されていることで、井上さんの置かれた立場が分かる。

大まかに西洋と東洋という見方も私たちはするのであるが、どちらが優っているわけでもなく、それぞれの比較から学ぶことも多い。単純に一神教と多神教といような見切り方、また哲学的な見切り方では捉えどころないのがイノチ。

分析する対象ではなく、思考の末にあるのでなく、生きることのなかに具現されていくのが宗教なのであろう。

遠藤周作氏や井上さんと同じ発想ができる人は、これからも出現するだろう。何も残さない、残らないものにイノチを感じることも、生き方としては野垂れたい私にはグッとくるものがある。


1950年東京大学文学部哲学科卒業と同時に渡仏し、カルメル会修道院に入会。リヨン大学、リール大学で哲学、神学を学ぶ。1957年帰国。

東京教区司祭 十字架のヨハネ 井上洋治神父様は、西東京市・保谷厚生病院において、3月8日(土)午後1時10分、脳出血のために帰天されました。(享年86歳)

故 十字架のヨハネ 井上洋治 神父様の略歴
1927年 3月 27日 生まれ
1948年 3月 27日 受洗
1960年 3月 18日 東京カテドラルにて司祭叙階
1960年 ~ 1970年 世田谷、洗足、豊田教会の各教会において司牧
1970年 ~ 1973年 カトリック神学院モデラトール
1976年 ~ 1986年 真生会館理事長
1986年 ~ 2010年 風の家主宰
2014年 3月 8日 帰天(86歳)



こころの時代へようこそ すべては風の中に 全文・文字起こし (外部リンク)
 http://h-kishi.sakura.ne.jp/kokoro-314.htm

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