NHKスペシャル 女性たちの貧困 ~"新たな連鎖"の衝撃~

NHKスペシャル
調査報告 女性たちの貧困
~"新たな連鎖"の衝撃~
2014年4月27日 NHK総合

10代20代の女性の間で深刻化する貧困の実態を描いた今年1月のクローズアップ現代「あしたが見えない」。放送後、番組サイトが異例のページビューを記録した。通常8千程度のページビューが、60万を超えたのである。そして、寄せられたのは「他人事では決してない」という切実な声だった。いま、若い女性たちの間で何が広がっているのか。取材を進め見えてきたのは、親の世代の貧困が、子の世代へと引き継がれ、特に若い女性たちに重くのしかかるという“現実”だった。番組では、厳しい生活にあえぐ若い女性たちの知られざる実態のルポを通して、“新たな貧困”を見つめていく。

国谷裕子キャスター
ゲスト:宮本太郎(中央大学法学部教授)
取材協力:一橋大学院 山口研究室、岩田正美
ディレクター:宮崎亮希、丸山健司、旗手啓介


・貧困の連鎖が特に若年女性に影響を与えているという。昔見たドキュメンタリーを思い出して、また同じ展開かと思った。貧困状態にある人の生活の一部を映して問題提起をする。

高給取りのNHK取材スタッフが果たして分かるのだろうか。そんな思いが、過去の生活保護行政の矛盾を描いた番組で考えたことだ。

内容的には、その時の状況と同じだろう。貧困から何とか抜け出すために疲れ切っている女性たちが紹介された。

生活がきついというのは経験してみないと分からない。こうした支え合いの生活は、どこかで歯車が狂うとだめになる。女性や高齢者、障がい者らにシワ寄せがいくのが現実で、それは生活保護問題に如実に出ている。

一日1900円で長期滞在ができるネットカフェで生活する女性たち。カップめんをすすり缶詰から食べる映像は確かにインパクトあるのだが、そうしたものの奥にあるものを感じる。彼女らが、生活を放棄し生きることを放棄しないのだろうかと不思議に思えてくる。

いろいろな事情で生活が困難となり、それを契機として自転車操業のような生活を繰り返す。それが健康的ではないのは事実だろう。

それにしても、いつの時代でも子どもたちは親思いである。それは変わらない。一心に我慢し抑圧しながら生活する。それは親の愛よりも大きいのではないかと思うほどである。

取材ではなかったが、例えば犯罪すれすれの生活をしている女性もいるだろう。身を持ち崩す女性や精神を病んでいく女性もいるだろう。こうして取材に応じられる方はまだましかもしれない。

国が推進している政策が、大きく格差社会を招いていることは確かであり、その矛盾が表れている。こうした現実の一方で、富める人たちがいるのも現実だろう。私がスーパーで見る女性たちは、ショッピングカートに一杯に買い物をしていく。

最近、若い女性たちの結婚願望が増えているようだ。普通の生活でいいと漏らす言葉に嘘はなく、それほど厳しいのである。

いろいろな制度もあるが、それを縦割り行政が阻み有効に連携されていないという説明がゲストからあったが、そんな説明は聞き飽きたように思う。

私の子ども時代にも貧困家庭があった。その女の子はみすぼらしい恰好で、あばら家に住んでいた記憶がある。親が亡くなってしまったことで、彼女は小学校の学期途中で引っ越しして行った。養子になったんだと思う。

その彼女の名前を今でも覚えている。彼女は、その後幸せになったのだろうか? ふと、彼女のことを思い起こすことがある。

貧困の連鎖という社会学上の用語が大事なのではなく、健全な社会にあるように再起できるチャンスのある社会を作らなければ社会は分断されていく。

取材した女性たちが、例えば生活保護制度や雇用関係の制度を使えば、マシに生活できると思うのだが、そうした知識も十分でないことは分かる。そうした教育を受けたこともないはずだから。

この4月からの増税の影響は、彼女らに直撃だろうが、そんなことには一切触れていなかった。あくまでも社会という実体のないものに訴えることの虚しさを取材者らは感じているのだろうか。

貧困研究の第一人者である岩田先生の名前が協力者にあったが、彼女の後を継げる研究者は育っていないのだろうか。

それから、○○の衝撃といような安易なタイトルの付け方が多いが、もっと考えた表現を考えてもらいたい。

この番組が終わってから次回の番宣があり、華やかな宝塚歌劇を描く内容(「宝塚トップ伝説~熱狂の100年~」)であり、この番組内容との落差を嘆いた!


NHKの2番組に批判殺到、なぜNHKは社会保障の問題点を批判できず、世間とズレる?
2014年05月09日 ビジネスジャーナル

 NHKの2つの番組がインターネット上などで話題になっている。

 1つ目は4月27日放送のテレビ番組『NHKスペシャル 調査報告 女性たちの貧困~“新たな連鎖”の衝撃~』(NHK総合)だ。同番組は、ネットカフェで暮らす家族(母と14歳と19歳の姉妹)や、病気で収入の少ない母親を含め家族4人の生計を月8万円のアルバイト料で支える19歳の女性など、貧困状態にある女性たちの現実を明らかにした。

 生活保護問題対策全国会議事務局次長である司法書士の徳武聡子氏は、自らのブログの中で『NHKはなぜ生活保護のことを伝えないのか~NHKスペシャル「女性たちの貧困」を視て』と題し、NHKの番組づくりに疑問を呈している。

「(番組に登場した)たいていの家庭が、生活保護を利用できる(制限以下の)所得であるように思える。NHKは、なぜそういうことを伝えないのだろうか。(略)もし、最低生活費以下で生活しているのなら、本来は生活保護を利用できるはずだ。生活保護の利用に至ることなく貧困に陥っていると、少なくとも、そこまで放送しなければならないんじゃないのか」と、行政の責任についての視点が完全に抜け落ちていると指摘する。

 また、国家公務員一般労働組合は、4月28日付ブログ紹介サイト「BLOGOS」で、『ネットカフェで2年半暮らす母親姉妹にチャンスと詰寄るNHKスペシャル女性たちの貧困のパラドクス』で、「生活保護で生存権を保障することが必要なのに、そのことを一切指摘しなかった番組内容に怒りを覚えます」と批判。番組の結論も「何とかして自らの力で困窮した生活から抜け出したい」と頑張る女性たちの「自ら働いてつかんだスタートライン」などと、安易な新自由主義者的な自己責任論に終始したことに疑問を呈している。さらに、番組で「ピンチをチャンスに」「資格を取るなど努力している女性に未来を感じる」「女性を活用しよう」などというような抽象的な指摘に終始した宮本太郎中央大学教授を「優しい新自由主義者」だと斬って捨てている。

 低所得者向けの家賃補助制度があるイギリスでは、生活保護も充実している。世界的なベストセラー『ハリー・ポッター』シリーズ(静山社)の著者、J.K.ローリングは離婚し、生活保護(イギリスの所得援助)を受け、母子家庭で子どもを育てながら毎日喫茶店で『ハリー・ポッターと賢者の石』の原稿を執筆。それが世界的なベストセラーになり、女性高額納税者の世界ナンバー2にまでなった。「イギリス政府は多額の税金をそこから取れたわけで、年間たかだか150万円くらいの生活保護費を出したおかげで、数十億円の税金を取り戻せた」。一方で「母子世帯で30代の母親だったら真っ先に就労支援の対象になります。『毎日、就活しなさい』『月給5万円でも働いた方がマシです』」という姿勢の日本の行政は国民を搾取するだけではないかと、同記事は指摘する。

●問題点のズレるNHK
 話題になっている2つ目の番組である4月28日放送の朝の情報番組『あさイチ』(NHK総合)では、「奨学金が返せない!?」と題して、日本学生支援機構(以下、支援機構)の奨学金の問題を取り上げた。有利子の奨学金を借り、大学卒業後に1年契約の非正規職員となった若者が、生活の見通しが立てにくい中で、長年にわたって返済の負担を背負わざるを得ない状況を紹介したのだが、この内容に関して支援機構が、「奨学金について著しく誤解を招きかねない内容があった」とホームページで反論文を掲載するなど、物議を醸している。

 ネット上では、「いいテーマの番組なのに、ほとんど突っ込みなし」「学費が高すぎる、返済なしの奨学金がない、不安定雇用は、構造的問題」などの書き込みが見られたように、NHKの問題意識は視聴者とずれがあった。本来、奨学金問題で取り上げるべきは、返還期限の到来した未払い元金がある場合、その未払い元金に対して、毎年10%の延滞金が発生し、返済をすると延滞金にまず充当されるために、未払い元金はなかなか減らない消費者金融並みのビジネスモデルを持つ支援機構の利潤追求一辺倒の姿勢と、「失われた20年」で大量に生まれた低賃金の非正規雇用などの問題なのだ。

●NHKが抱える問題点
「女性の貧困」問題では生活保護を解説せずに、自己責任論に終始。「奨学金」問題でも、利潤追求一辺倒の支援機構の姿勢には触れない。このように、奥歯にモノが挟まったようなジャーナリズムしかできないNHKの問題はどこにあるのか。

 2つの理由が考えられる。1つ目は取材記者たちが社会保険に疎いという単純な現実だ。確かに、自分たちはNHKというぬくぬくとした環境にいれば、生活保護に思いが至らないこともあるだろう。しかしそれはNHKだけではない。例えば、社会保険労務士が執筆した『知らないと損をする 国からもらえるお金の本』(井戸美枝著/角川SSC新書)の中でも、国からのおカネが完全網羅されているように見えて、生活保護の解説は見当たらない。

 2つ目として、安倍政権の影響が挙げられる。「自己責任」「利潤追求」という新自由主義的な思想は日本政府が1980年代以降、アメリカから着々と輸入しているものだ。現在の安倍政権は、その思想を忠実に反映させようとしている。安倍政権の露骨な人事介入を受けるNHKが、新自由主義的な思想を批判することは難しいのではないか。

 この2つの理由がややこしくからまって、現在の社会保障制度を批判しないようにしているのではないかと邪推したくなる。

 さて、最近、そんなNHKの職員にも読んでほしい、日本の社会保障を考える上で重要な本が出ている。『誰も知らない 最強の社会保障 障害年金というヒント』(中井宏監修/三五館)だ。「もしも、あなたやご家族が病気やケガが原因で仕事を失った、いや失ってはいないけれど、もはや限界だ、日常生活に大きな支障が出ている。そうした状況に陥っているのであれば、どうか『障害年金』という制度を知ってください、請求してください。自分を責めるのはもうやめて、まわりにいる味方とともに、手続きの一歩を進めませんか?」という、世間にあまり知られていない障害年金の受給マニュアルのような本だ。

 三五館は一時期の出版不況による大リストラの後、裏モノ的な出版物にウェイトを置いているので、「賢く儲けよう」という狙いの本かと思っていたが、執筆者は年金制度に詳しい社会保険労務士陣だ。

 監修の中井氏は家族支援協会代表理事を務めている人物で、「私自身も、脳脊髄液減少症という病の患者なのですが、自分が障害年金を請求する資格があった発症当時、その存在を知りませんでした。(略)行政からの案内もなく、自分で請求しないかぎり、誰も教えてくれないのです。年金事務所に相談に行っても、職員ですら制度の内容をきちんと理解しておらず、間違った情報を教えられるケースが後を絶ちません。(略)障害年金の受給者は195万人と推定(2012年3月末現在)されていますが、受給要件を備えているにもかかわらず、受けていない人はその数倍ともされています」と出版理由を明らかにする。

 うつ病、糖尿病、がんといった症状でも、要件(初診日要件、保険料納付要件、障害状態要件)を満たせば受給できるという。

「障害年金は、国が定めた制度であり、一定の障害の状態に該当すれば、受け取る権利があるのです。人は皆幸せに生きる権利があるのですから、自分らしく、希望をもって生きていける社会であってほしい(略)当たり前に正々堂々と障害年金を請求することができる世の中になることを望みます」(同書)

 特定の対象者だけを救う「選別主義」ではなく「普遍主義」への転換を促す同書にならって、NHKがこの「障害年金」を特集して、世間に広く認知されることを望む。
(文=松井克明/CFP)


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