介護主夫日記:徘徊と行方不明・事故

† 認知症の症状に徘徊があり、その実態をNHKが全国取材した。結果は連日ニュースで放送され5/11にNHKスペシャルで現状を伝える。今回は、家族や関係者に直接取材することで資料上数字としか把握できていない現実を見据える上で重要な内容であろう。本気で国や自治体が認知症対策をしているとは全く思っていない。すでに家族介護は限界を超えているから、こうした問題が起きる。加えて独居で認知症という方が少なからず地域で生活しており、詐欺や安全上の不安を抱えて放置されているのが偽らざる実態だろう。

‡ 私も介護していて行方不明になったことがあり当時は本人に携帯電話を持たせていなかったために全く所在が分からなくなった。行動範囲内を探したが見つからず、徐々に日は暮れて暗くなっていく段階で近くの交番に相談してから110番通報。親族や介護事業所にも手伝ってもらっていたが、幸いに本人は自宅へ帰ってきた。私が想像していたところとは全く違う区域に間違えて行ってしまい、シニアカー(電動車いす)が道路の溝にはまって動けなかった。近所の方が気づいて助けてくれた。その後暫くは、外出する時は携帯電話を所持させ必ず同行し見守るようにしていた。現在では位置情報を示すサービスもあるだろう。現在は足が不自由で徘徊の心配はないにしても、足腰がしっかりしている認知症の見守りには神経を使うことは理解できる。地域のつながりが希薄になったことがさらに拍車をかけている。


認知症で行方不明 1年で1万人近くに
20104年4月16日 NHK

認知症やその疑いがあり、「はいかい」などで行方不明になったとして警察に届けられた人が、おととし1年間に全国で延べ1万人近くに上り、このうち死亡が確認されたり行方不明のままだったりする人が合わせて550人を超えることが、全国の警察本部への取材で分かりました。

こうした実態が明らかになるのは初めてで、専門家は「まだまだ氷山の一角で、国は詳しい分析を行い有効な対策を打ち出す必要がある」と指摘しています。

NHKは、ことし2月、おととし1年間に認知症やその疑いがある人が「はいかい」などで行方不明になったケースについて全国の警察本部を対象にアンケート調査を行いました。

その結果、行方不明になったとして警察に届けられた人は全国で延べ9607人に上ることが分かりました。このうち、川に転落したり交通事故にあったりして死亡が確認された人は351人に上りました。さらに、その年の末の時点でも行方不明のままの人も208人いたことが分かりました。

都道府県別で死者数が最も多かったのは大阪で26人、次いで愛知が19人、鹿児島が17人、東京が16人、茨城が15人となっています。

行方不明のままの人の数は愛媛が最も多く19人、次いで愛知が17人、兵庫が16人、東京が15人、大阪が14人となっています。

警察への届け出はいずれも延べ人数で、家族などから通報があれば原則受け付けている大阪が最も多く2076人、次いで兵庫が1146人に上りましたが、最も少ない長崎で7人、山梨が8人と大きな開きがありました。

正式な届け出前に保護されたり死亡が確認されたりする人もいるほか、神奈川、千葉、埼玉の3つの警察本部では、いち早く捜索を行うため、正式な届け出前に電話などでの連絡と同時に一時的所在不明者として受理する制度もあり、実際の死者や行方不明者の数はさらに多いとみられます。

こうした実態が明らかになるのは初めてで、認知症の問題に詳しい認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子部長は「今回明らかになったのはまだまだ氷山の一角で、今後、認知症による高齢者は増え『はいかい』の問題はより深刻化していくことが予想される。国は、正確な実態を把握するとともに詳しい分析を行って、有効な対策を打ち出していく必要がある」と話しています。

はいかい 国の施策は
「はいかい」は認知症の症状のひとつです。自分のいる場所や時間の見当がつかなくなる認知機能の障害が主な原因とされ、長年の生活習慣などと結びつき、いろいろなパターンの「はいかい」を引き起こすとされています。

初期のころは、方向感覚が薄らいでも周辺の景色をヒントに道を間違えないで歩くことができますが、暗くなると道に迷うこともあります。症状が進行すると、近所で迷子になったり、夜、自宅のトイレの場所が分からなくなったりするほか、到底歩いていきそうにない距離を歩いて出かけようとすることもあります。さらに不安や緊張などが加わるとその傾向が一層強くなり、自宅で暮らし続けることが難しくなるケースもあります。

国は、認知症になっても病院に入院せずできるだけ自宅で暮らし続けられるよう、訪問介護や訪問看護のサービスの充実やグループホームなどの施設の整備を進めています。

さらに行方不明になった場合、警察や行政、それに地域が連携して地域ぐるみで捜す「SOSネットワーク」と呼ばれる取り組みも行われています。この取り組みは、平成7年警察庁が全国の警察本部に呼びかけたことをきっかけに全国的に広がり、厚生労働省も自治体に財政支援をするなどしてネットワーク作りを促しています。

しかしネットワークの中にはほとんど稼働していないケースもあり、認知症の人が安心して外出できる街をどのように実現していくのか課題となっています。

おととし時点で高齢者の15%と推計
厚生労働省の研究班によりますと、国内の認知症の高齢者はおととしの時点で462万人に上り、高齢者の15%に達すると推計されています。

また、認知症の予備軍とされる「軽度認知障害」の高齢者は400万人に上ると推計され、国内の認知症とその予備軍の高齢者は合わせて860万人余り、高齢者の4人に1人に上っています。

厚生労働省によりますと、このうち介護サービスを利用する認知症の高齢者は305万人と推計されています。高齢化が進むにつれて今後も増え続けると予測されていて、来年には345万人、6年後には410万人、団塊の世代が75歳を迎える11年後、2025年には470万人に増加する見通しです。

認知症で行方不明後に死亡 約3割が独居
2014年4月17日 NHK

認知症やその疑いがあり、はいかいなどで行方不明となる人が年間1万人近くに上っている問題で、NHKが、行方不明となり死亡した人の家族などを取材した結果、1人暮らしの人が全体のおよそ30%に上ることが分かりました。専門家は「認知症になっても自宅で暮らし続けられるようにしようという、国の政策が実現されていないことを示すもので、早急な対策が必要だ」と指摘しています。

認知症やその疑いがあり、はいかいなどで行方不明になったとして、警察に届けられた人は、おととし1年間に全国でおよそ9600人に上り、このうち351人の死亡が確認されています。

NHKは詳しい実態を調べるため、過去5年間に全国で行方不明になったとして警察や自治体に届けられた、およそ400人について取材しました。このうち死亡が確認された112人について、家族や介護関係者などから当時の状況を詳しく取材した結果、1人暮らしの人が33人と、29%に上ることが分かりました。

なかには、症状から1人暮らしが困難だと介護関係者が判断したものの、すぐに入所できる施設が見つからず、そのまま自宅で暮らした結果、行方不明となり死亡した人もいました。

国は、認知症になっても精神病院に入院せず、できるだけ自宅で暮らし続けられるよう、訪問介護や訪問看護のサービスの充実や、グループホームなどの施設の整備を進めていますが、こうした国の対策が、増え続ける認知症の人を十分に支えることができていない実態が浮き彫りになりました。

これについて、認知症の問題に詳しい本間昭医師は、「国の政策を実現するための手立てや資源が不足し、現場が追いついていないことを示している。早急に対策を考え、問題を解決していく必要がある」と話しています。

認知症で不明 まず身近な場所捜して
2014年4月18日 NHK

認知症やその疑いがあって行方不明となる人が年間1万人近くに上っている問題で、NHKが、行方不明となり死亡した人の家族などを取材した結果、自宅から1キロ以内の比較的近い場所で遺体が見つかったケースが全体のおよそ60%にの上ることが分かりました。専門家は「先入観を持たずに、身近な場所から丁寧に捜してほしい」と指摘しています。

認知症やその疑いがあり、徘徊などで行方不明になったとして警察に届けられた人は、平成24年の1年間に全国で1万人近くに上り、このうちおよそ350人の死亡が確認されています。

NHKは、この5年間に全国で行方不明となり、そのあと死亡が確認された人のうち、家族や自治体などから当時の詳しい状況を取材できた94人について、遺体の発見状況を分析しました。その結果、自宅と遺体の発見場所の距離は、1キロ以内と比較的近い場所が55人と最も多く、全体の59%に上ることが分かりました。次いで1キロから5キロ以内が22人、5キロを超えたのが17人でした。

また、見つかった場所の中には、水がほとんど流れていないふたが閉まった用水路の中や、住宅と塀の間の狭い場所など、通常、入り込むと思わない所で見つかるケースも少なくないことが分かりました。

認知症に詳しい認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子部長は、「認知症の人は、症状によっては狭い場所に入る傾向もみられるため、捜す際はこんな所に行くはずがないと先入観を持たずに、まずは身近な場所から丁寧に捜してほしい」と指摘しています。


参考 認知症徘徊者が事故を起こしたら賠償責任は家族に・・・杜撰な裁判判断!?
くらし解説 「どうする?認知症の人の徘徊事故」
2013年11月06日 NHK 解説委員室ブログ 飯野奈津子解説委員


関連参考

認知症男性:身元不明のまま仮名で2年 大阪の路上で保護
2014年4月19日 毎日新聞

 2年前に大阪市の路上で警察に保護されたが、名前や住所など身元が全く不明のまま、仮の名前が付けられ介護施設で暮らす重い認知症の男性がいることが分かった。男性は自分の名前が分からず、該当する行方不明者届もない。専門家は「高齢化が進み、今後このような人が増えていくのでは」と危惧している。

 大阪市は男性に対し、保護された場所にちなんだ名字に「太郎」という仮の氏名を付けた。福祉の保護を受ける手続きなどで必要なためだ。容姿などから70歳と推定して仮の生年月日も決めた。現在推定72歳になったが、入所する同市内の介護施設の職員には「実際はもう少し若いかもしれない」との見方もある。

 記者は4月上旬、介護施設を訪ねた。「お元気ですか」と声をかけると、太郎さんは「ああ」とうなずき笑顔を見せた。判断能力が不十分な人を守る成年後見人に、市長申し立てで選任された山内鉄夫司法書士らによると、太郎さんの要介護度は3。言葉を発するのが難しくトイレも介助が必要だが、足腰は丈夫でひとりで歩くことができる。

 2012年3月11日午前8時前、日曜の朝だった。同市西部にある住宅街の歩道でしゃがんでいたところを警察に保護された。水色のダウンジャケットにグレーのスエットズボン、黒の運動靴。身なりに汚れはなかった。お金や所持品はなく、名前を尋ねても「分からん」と答えた。

 保護された際にはズボンの下に介護用の紙パンツをはいており、保護前に介護を受けていた可能性がある。介護施設の職員も「介護なしで生活ができるレベルではなかった」と話す。

 その日のうちに大阪市による緊急一時保護の手続きが取られ、太郎さんは市内の保護施設に入所した。規定の保護期間(14日間)を過ぎても身元が分からず、同年3月末から現在の介護施設に入った。

 介護施設は通常、本人の経歴や病歴、家族構成などを踏まえてケアにあたる。例えば夕方に歩き回る人がいれば「子供の夕食を作るため家に帰ろうとしているのか」と理由を推測し、不安を取り除くよう努める。だが、太郎さんには保護前の情報がない。山内さんによると、30ほどの施設が入所を断り、受け入れ先は容易に見つからなかった。

 太郎さんは特殊なケースなのか。認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子研究部長は「超高齢社会では人ごとでなく、同様のケースが身近で増えることは確実だ。これまでも太郎さんのような存在と対面しているが、実態把握も対応も進んでいない。一刻も早く本名を取り戻し家に戻れるように、国や自治体が本格的に対策に乗り出すべき時期だ」と話している。【銭場裕司、山田泰蔵】



特養待機52万人 「椅子取りゲーム」状態…曖昧な要件が競争生む
2014年4月20日 産経新聞

 特別養護老人ホーム(特養)の入所待機が全国で52万人に上ったとの報道を受け、読者からさまざまな手紙が届いた。今国会に提出されている法案が通れば、特養の入所は来年度以降、原則要介護3以上の人に重点化される。合わせてお伝えする。(佐藤好美)

 ◆椅子取りゲーム

 特養の入所が「要領の良いもん勝ち」の競争になっていると感じている人は多い。

 西日本在住の女性(61)は「軽いうちから申し込んでいる人や、あっちこっちに申し込んでいる人もいる。『椅子取りゲーム』状態で、軽い人が入ると、後の人はなかなか入れない。要介護度が重く、今すぐにでも特養入所が必要な人が待たされるのは気の毒やと思う」と言う。

 女性の母親は80代で要介護3。今までは介護サービスもほとんど使わず、1人暮らしをしてきたが、最近、調子を崩して入院。生活の見直しをしなければならなくなった。

 当面は介護保険のサービスを使って1人暮らしの予定だが、不安は大きい。日中はリハビリの手厚い施設でサービス(デイケア)を受けて過ごしてもらおうと考えたが、施設側から「要介護3では毎日は使えません。デイケアの前後に訪問介護を組み合わせると、限度額をオーバーします」と言われた。在宅の生活も難しく、かといって、適切なタイミングで入所できる感じもしない。

 「虐待を受けた人はすぐに入所できると聞きます。でも、要介護度が軽いなら、そういう人が集まって暮らせる場所があれば、代わりに重い人が特養に入れるかなぁと思ったりします」と話す。

 京都市の男性(66)からは「希望があれば、軽い人でも重い人でも、すぐに特養に入所できるように施設整備をすべきだ」という声が届いた。10年ほど前に認知症の母親の介護をした。「軽い人でも入れるようにしないと、家族は働くこともできない。その結果、日本の経済も衰退する」

 ◆必要性の高さとは

 特養は本来、「待ったら入れる」ものではない。必要性の高い人が優先的に入所するのが原則。自治体ごとに入所基準があり、要介護度や緊急性の高さで点数化されている。

 だが、施設側にも事情がある。「重い人ばかりだと、介護職が疲弊してしまう。手のかからない人も一定程度いないと運営できない」(ある特養の施設長)のも現実。また、「全く面識のない人よりも、できればデイサービスやショートステイで本人と家族の状況がある程度分かる人を入れたい」(同)という意向もある。

 このため、利用者や家族からは「顔つなぎのためにデイサービスやショートステイを使っている」「いざというときのために施設のケアマネジャーと親しくしておく」という声が絶えない。膨大な待機者リストの背景には、入所が激戦で、要件が透明化しきらないこともありそうだ。

 ■自治体で異なる整備率と入所状況

 厚生労働省の調査では、特養の待機者は全国で52.4万人。同省は特に「要介護度4、5」の重度で、自宅にいる8.7万人の待機が問題とする。

 「もっと特養を」との声もあるが、特養の整備率は自治体によって事情が大きく異なる。65歳以上の高齢者1人当たりの定員を見ると、不足が著しいのは、愛知、千葉、大阪、埼玉、東京、神奈川などの大都市が並ぶ。地価が高く、高齢化のスピードが遅い地域で施設整備が遅れたためだ。だが、この地域は今後、急速に高齢化する。

 都道府県によって、新規入所者に占める要介護度の軽い人の割合も異なる。奈良県や北海道では、要介護1、2の人が新規入所の2割を超えるが、富山県や愛媛県では5%に満たない。

 軽い人の入所で多い理由は、(1)認知症で常時の見守り・介護が必要(2)家族による虐待がある(3)老老介護で経済力がない(4)独居で孤独感があり、本人も家族も入所を希望する-などが挙がる。だが、地域差の理由ははっきりしない。

 厚労省はこうしたデータを踏まえ、特養の利用を要介護度が重い人に重点化したい考え。今国会に提出中の法案に、入所を原則要介護3以上の人に重点化する方針を盛り込んだ。ただし、「やむを得ない事情で特養以外での生活が著しく困難と認められる」場合は例外とした。具体的には先の(1)、(2)のような事例のほか、知的障害・精神障害などがあって地域での安定した生活が困難なケースなどを挙げる。今後、詳細を検討し、指針を作成する。

 法律が成立すれば、来年4月から実施されるが、既に入所している要介護度の軽い人に退所を求めることはしない。

 特養も変わりつつある。複数の利用者が交互に特養の1ベッドを使うことで家での生活を支える施設もあれば、大規模施設を分散化した所もある。在宅サービスの充実や低価格の住まいの整備に並んで、柔軟な施設利用も課題になっている。



緊急一時保護:認知症高齢者ら546人 5人が「仮名」
2014年04月22日 毎日新聞

 認知症などの疑いで警察に保護された高齢者らのうち、名前が分からないために自治体が介護施設に暫定入所させるなど「緊急一時保護」の対象となった人が、2008年度からの約6年間に少なくとも546人いたことが毎日新聞の調査で分かった。本人が氏名や住所を話せず、引き取る人も見つからないために取られた措置で、年間の対象人数はこの間にほぼ倍増していた。大半はその後、身元が判明するが、現在も身元不明のまま仮の名前が付けられた人が少なくとも5人いることも判明した。

 毎日新聞は2〜3月、全国の政令市と県庁所在地の市、東京23区の計74自治体を対象に緊急一時保護の実態を尋ねた。

 現在も身元不明のままの人は、大阪市で12年3月に保護されて「太郎」という仮名が付けられ毎日新聞が情報提供を呼び掛けている男性のほか、目黒区で保護された男性、葛飾区の女性、横浜市の女性、松山市の男性。認知症や記憶障害などの疑いがあり、緊急一時保護の期間(自治体ごとに異なりおおむね1〜2週間)を過ぎても身元が分からず現在は生活保護などを受けて施設や病院で生活している。

 緊急一時保護が実施されたのは32自治体の計546人。認知症以外の病気や詐病と判明した人なども一部含まれる一方、豊島区、川崎市、名古屋市など統計的に実施件数を把握していない自治体も多いため、実際の人数はさらに膨らむ可能性が高い。

 内訳は、23区中14区の計315人と、12政令市と政令市ではない6県庁所在市の計231人。23区は新宿126人(一部に高齢者虐待対応も含む)▽北54人▽葛飾28人▽荒川24人−−の順で、新宿はターミナル駅の新宿駅近くの交番で保護される人が多い。市は大阪71人▽神戸49人▽横浜46人▽福岡20人−−など大都市に集中していた。

 年度別にみると、08年度は65人で、以後は09年度76人、10年度87人、11年度85人、12年度111人。13年度(14年2月までの集計)は122人に増加した。

 ◇家族、引き取り拒否も
 道に迷った高齢者を家族が引き取りに来るようなケースは大半が警察の保護段階で解決しており、緊急一時保護に至るのは、氏名が言えないほど症状が重く身近に家族がいないなどさまざまな事情が重なった場合だ。ある自治体の担当者は「身元判明後は親族らに引き継ぎ、その後の生活は把握できていない。在宅生活を続けることが難しく施設に入る人が多いのではないか。家族や元々いた施設に引き取りを拒否されたこともある」と話している。【山田泰蔵、銭場裕司】

 ◇緊急一時保護

 道に迷った高齢者などを見つけた警察は法令上、原則24時間を超えて保護できない。それを超える場合は、自治体が健康と安全を守るため施設に預けるなどの対応を取っている。「徘徊(はいかい)高齢者緊急一時保護」などと呼ばれるが、法律に明確な定めはなく、自治体がそれぞれの手法で対応している。介護施設に最大1〜2週間の預かりを頼むケースが多く、病院や一時宿泊所を使う場合もある。

 ◇緊急一時保護され現在も身元不明でいる仮名の人

保護年月   保護場所 性別
11年 9月 横浜市  女性
12年 3月 大阪市  男性
 同  6月 目黒区  男性
 同 10月 葛飾区  女性
13年 6月 松山市  男性
(記憶障害などの人も含む)



認知症 鉄道事故で64人死亡
2014年04月23日 NHK首都圏放送センター

認知症やその疑いがあって行方不明となる人が年間1万人近くに上っている問題で、NHKが鉄道会社が国に報告した鉄道事故を分析した結果、認知症の人が徘徊するなどして起きた事故は、この8年あまりの間に少なくとも76件にのぼり、このうち64人が死亡していたことがわかりました。

認知症やその疑いがあり、徘徊などで行方不明になったとして警察に届けられた人は、おととし1年間に全国で1万人近くにのぼり、このうちおよそ350人の死亡が確認されています。

NHKが鉄道会社が国に届け出た鉄道事故の報告書を情報公開請求して分析した結果、「認知症」ということばが使われるようになった平成17年から去年までの8年あまりの間に、認知症の人が徘徊するなどして起きた事故は、少なくとも76件にのぼり、このうち64人が死亡していたことがわかりました。

さらに死亡した人の遺族を取材した結果、少なくとも9人の遺族が、事故のあと鉄道会社から振り替え輸送などの名目で、数万円からおよそ720万円の損害賠償を請求されていたこともわかりました。

このうち、愛知県で起きた事故をめぐっては、JR東海が死亡した認知症の男性の遺族に賠償を求めて裁判を起こし、1審は、去年家族が注意を怠ったなどとしておよそ720万円の支払いを命じ、認知症の人の家族などの間には「24時間見ていることはできず、実態を理解していない」などという波紋が広がっています。

これについて東北大学の水野紀子教授は「家族の責任が問われると、認知症の人を外出させなくなるおそれがある。社会全体の問題としてどう負担するか考えていく必要がある」と話しています。



“認知症”で行方不明 何度も繰り返す実態
2014年5月11日 NHK

認知症やその疑いがあって行方不明となる人が年間1万人に上っている問題で、NHKが、行方が分からなくなったことがある120人余りの家族にアンケートした結果、行方不明になった回数は平均で6.3回に上り、何度も繰り返されている実態が明らかになりました。

認知症やその疑いがあり、はいかいなどで行方不明になったとして、警察に届けられた人は、おととし1年間に全国でおよそ1万人に上り、このうちおよそ350人の死亡が確認されています。

NHKは詳しい実態を明らかにするため、行方が分からなくなったことがある全国の125人の家族にアンケートを行いました。その結果、行方不明になり、警察に通報したり家族などで捜したりした回数は、平均で6.3回に上ることが分かりました。また、全体の78%が行方不明を複数回経験していて、最も多いケースで70回あったと答えるなど、行方不明が何度も繰り返されている実態が明らかになりました。

また、捜す際、警察や周囲に協力を求めることに、ためらいがあるかどうか尋ねたところ、「大いにある」と「どちらかと言えばある」を合わせると74%に上りました。実際、警察のほかに誰に協力を求めたか複数回答で尋ねたところ、「家族・親戚」が68%と最も多くなっているのに対し、「ケアマネージャー」や「近所の人」といった家族以外はいずれも20%台にとどまっていました。

認知症に詳しい、認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子部長は、「行方不明が繰り返されているにもかかわらず、SOSを出せず苦慮している家族の姿が浮き彫りになった。問題を家族だけに押しつけず、社会全体で解決を図っていく本格的な対策を、国や市町村は急ぐべきだ」と話しています。


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