「星の子アルフェ」 <字幕スーパー>

「星の子アルフェ」 <字幕スーパー>
2014年3月23日 NHK・Eテレ

フランス語題:Alphée des étoiles/英語題:Alphée of the Stars
制作:カナダ国立映画制作庁(NFB)、Esperamos Films 2012 82分

2013年の第40回日本賞で福祉教育カテゴリーの最優秀賞を受賞したカナダ制作のドキュメンタリー映画。ユゴー・ラチュリップ監督が障害のある娘の成長を1年にわたって記録。

映画監督ユゴー・ラチュリップが、娘アルフェとの日常を愛情豊かに描き、教育とは何かを問うドキュメンタリー。アルフェは極めてまれな遺伝子障害のために発達が遅れている。父ユゴーは、アルフェを普通学級に入れようとするが果たせず、特別学級には入れず、スイスのアルプスに一家4人で一年間移り住み、大自然の中で娘の成長を見守ることにした。大自然の中、保育園で同年代の子供たちに溶け込むうちに、アルフェは徐々に知的能力や社会性を伸ばしていく。父親である監督の、娘に対する優しく辛抱強い視線は、日常生活の中で忘れがちな世界を想い出させ、あらゆる子どもの可能性を信じ、受け入れることの大切さを訴えかける。


・2010年8月から2011年6月までの記録である。カナダのケベックからスイスに行きへ一年余り暮らした。主人公は現在9歳ということで、撮影当時は5-6歳くらいであったろう。

彼女はスミス・レムリ・オピッツ症候群(「Smith-Lemli-Opitz症候群」)という非常に稀な常染色体劣性遺伝子疾患であり、むろん治療法は確立されていない。このために身体的・精神的な障がいが出てくる。日本でも患者は極少ないとされている。

さて、この作品が受賞した理由を考えながら見ることにした。上記のような展開は予想できたので、何を描くのかが気になった。

監督が気にしていたのは、やはり成長が進んでいる娘に対する発達の遅れと住んでいるカナダの環境に違和感を感じたからだろう。それで妻の実家があるスイスに一年間行き、自然と触れあえるような環境で育ててみることで何かをつかみたいという思いがあったのだと思われる。

82分で描かれていることは、主人公が言葉を獲得していく場面であり、家族・友達との触れあいである。それが雄大なスイスの田舎の風景と相まって美しく表現されていた。

この監督夫妻が持っていた遺伝子により発病したということで、やはり責任を感じているという印象があった。そして、特に何か専門的な療育法を実践しようということもなく、ただ自然と触れあえるようなゆったりとした環境で、夫婦ともどもじっくりと主人公に向かい合い、これからのことを考えようとしたのだろう。

監督自身が感じたことは、娘の病気について異常ではないこと、つまり自然の創造の一つであることを認識しえたこと。また将来の困難を想いながらも目の前にある時間を大切にする姿勢だろう。

一般的にいえば、受容ということになる。障がいの受容、人生の受容である。それをじっくりと考えた時間を持てたことと田舎の自然の中でじっくりと向き合えたことが大事なことなのだろう。

私たちは有り余るほどのものの中から選択しながら生きているが、本当は足りないと思われる人やものの中に本当の価値を見直すものがあるということを知らせてくれる。それは障がいであり病気であり貧困である。それに向き合う時に、世間で大事とされる考え方から解き放たれることもできると分かる。

映画のエンドロールでスタッフ等が書かれていたが、この作品を作るためにも単に撮影にあたった監督だけでなく、多くの人たちが作り上げたことを想う。何か家族ムービーのようであるが、きちんとした構成と音楽を伴っており受賞すべき素地はあるのだと感じた。

日本のドキュメンタリー作品は、お涙頂戴という盛り上げ箇所を挟む癖があるようで、何かトピックがなければ作品にならないという錯覚があるようだ。ところが日常とは単に生活の繰り返しに過ぎず大きな喜怒哀楽を感じているわけではない。そこを視聴者にも飽きずに見させる腕が必要であろう。

録画してあるので何か必要のある方は連絡頂くといい。


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2017年02月22日(水) 21時24分 | | 編集


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