魔女狩りマニュアル

ナショナルジオグラフィック
魔女狩りマニュアル
原題:Ancient Secrets: Witch Hunter's Bible
2010年 ナショナル・ジオグラフック 45分
日本語版プロデュース:FOX JAPAN

史上初めて、国際調査チームが15世紀に書かれた論文「魔女に与える鉄槌」の謎に迫る。この論文は、悪に対する世界の認識を変えた。魔女の見つけ方から、どう迫害し罰すべきかまでが、細かく記されており、何世紀にもわたって世界中に処罰や虐殺を起こさせた。番組は、研究者のインタビューを通し、視聴者を狂気じみた世界へ連れて行く。そして「魔女に与える鉄槌」の歴史を探るとともに、その出所や正当性を見極める。


・中世魔女狩りのマニュアル本というべき書物『魔女に与える鉄槌』の成立の謎に迫ったドキュメント。この書物刊行以前から魔女狩りはあったが、それに理論を与えてお墨付きを与えたものとして有名なのだという。

この魔女狩りの期間は200年にも及ぶために膨大な資料と研究があるものと推測される。そのために実際に魔女狩りの犠牲となった被害者の数も、番組では4~6万人とアバウトな数字を紹介していた。

著者である異端審問官ハインリヒ・クラマー(Heinrich Kramer)の異常なまでの性格が本書を稀に見る問題の書物に仕上げていった道筋を考察していった。

彼が自論のお墨付きを得るために、教皇文書を入れたり、権威ある教授との共著としたり、大学神学部の推薦を受けたようにし権威を高めることで一般に流布したことが研究から分かってきているという。それらは巧妙なトリックであったということらしい。

番組を見ていて感じたことは、問題を詰め込み過ぎており45分番組としては厳しいものになっていた。いろいろと詳細に知りたいことが出てくるが紹介程度になっていた。それを知ろうとすれば膨大な関連事項を調べないといけなくなるだろう。

魔女狩りの仕組みを知れば、現代的には冤罪発生装置のようなもので、目をつけた人間は拷問によって自白させられると同時に共犯者をでっちあげられることでさらに被害者増えることになる。こうした集団心理は現近代でも見受けられることだ。

加えてこの時代は、古いものに新しいものが生まれる過渡期の混乱期にあたり中世のヨーロッパでは終末意識があったということだ。いろいろな事柄の原因、いやもっと自分が気に入らない人間を陥れるためにも魔女狩りは利用されて暗黒時代という言い方も間違いではないだろう。

聖書では、アダムとイブ物語にあるように女性が男性をそそのかして神に反抗させたという女性蔑視の思想が色濃い。また異端審問官ハインリヒ・クラマーは、何らか女性に対する大きなコンプレックスがあったものと推測されている。

現代人は拷問方法などが興味の対象となるだろうし集団ヒステリー研究のお手本としても注目されている。ただ人間は大義のためには平気で同じ人間にレッテルを貼って殺害することも厭わないことを証明したものだ。戦後吹き荒れた「アカ狩り」なども同様な集団心理だろう。

もともとは異端者を発見するために行ってきた教会の活動の一端であったことは間違いないだろうが、その異端の範囲を限定できなかったことと、教会生活よりも個人の感情により恣意的に運用されていったことで魔女なる存在を作り上げてしまったことだ。

最初は宗教異端者を探すためであったものが、最後には何か不吉なことが起これば誰かのせいにして憂さ晴らしをするための装置に成り下がってしまったことで、歴史に残る汚点となったのだろう。

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