介護主夫日記:「にやり・ほっと」、生活記録の勧め

† 村田幸子さん(福祉ジャーナリスト/元NHK解説委員)が、NHKラジオ第一「日曜あさいちばん」の日曜コラムというコーナーで、「にやり・ほっと」という取り組みを紹介された。関東のある特養で行われているそうだ。一般的な事故防止法である「ヒヤリ・ハット法」は、小さなミスが大きな事故につながるという経験則から、小さな気づきを集めることで職員らが分析し事故防止に役立てようとする看護・介護現場の大きな取組みだ。一方で、「にやり・ほっと」は職員と入所者の間にあった事柄で、思わず「にやり・ほっと」する内容を記録し生活の一部をとどめることとプラス発想で施設生活の楽しさを見つめようという意図があるのだろう。この実施している施設では、入所者が亡くなった時に遺族に、その記録を渡すことで施設でどのような生活をしていたのかを知ってもらう取り組みをしているという。

‡ 施設の生活は極めて変化が乏しい。リハビリや娯楽の時間もあるだろうが、オーダーメイドでなく集団生活の一部に過ぎない。職員らの関心は、まず事故防止に力点が置かれている。つまり日常の生活を向上いていくというベクトルには向かないようになっている。そして事故防止を前提にして、あれもこれもダメという判断をすることが日課となっている。これでは毎日の生活が窮屈になるのも無理はないだろう。この「にやり・ほっと」の取り組みは、入所者がどんな時に心を開き笑い喜ぶかを職員が観察する動機を与えてくれる。つまり利用者の目線に立った気づきが生まれる可能性を秘めているという点で、一つの運動として看護・介護現場でも取り組んでほしいものだと思う。ただ現場は記録をする量が責任の明確化とともに増えてきており、やる気のない施設ではできないと思われる。マイナス面ばかり記録するよりはプラス面を見つめるという発想は素晴らしいことだ。


村田 幸子 (むらたさちこ)
立教大学文学部英米文学科卒業後、1963年NHKにアナウンサーとして入局。アナウンサー時代は主として、スタジオ102、NHKニュースワイド、NHKニュース(午後7時)など報道番組のキャスター・リポーターなどを歴任。1990年からNHK解説委員(厚生行政担当)に転向し、福祉・厚生問題を中心に取材。2003年退局。以後は福祉ジャーナリストとして福祉問題を専門に取材活動を続け、放送や講演などを行う。

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