登校月イチ練習週2~通信制高校・吹奏楽部の奮闘記~

登校月イチ練習週2~通信制高校・吹奏楽部の奮闘記~
2012年12月30日 NHKEテレ

東京・国立市のNHK学園には、在宅学習中心の通信制高校がある。登校日は月に1回だが、週に2回熱心に練習に集まるのが吹奏楽部。部員はわずか7人。編成は小規模でも、吹奏楽コンクールを目指すほど意気込みは高い。

メンバーのほとんどが全日制の学校になじめず不登校を経験したり、家庭の事情で学齢期に進学できなかったり、人間関係や生活に様々な事情を抱えてきた。今、通信制で学び続けることにも人知れぬ苦労や悩みがある。

楽器演奏の経験もなかった生徒が半数。入部しても結局、足が遠のいてしまうこともある。

しかし、仲間やOBに支えられて練習に励み、やがてその楽しさに目覚めていく生徒は少なくない。なぜ彼らは吹奏楽の部活に打ち込むのか?吹奏楽部は彼らにとってどんな「居場所」なのか?

番組では、コンクールを目指す初夏から今年最大の晴れ舞台となる創立記念コンサートまで、通信制高校の吹奏楽部で繰り広げられる部員たちの青春の喜怒哀楽の日々を追う。一度は断たれた自分の可能性を通信制教育でつかもうとする若者たち。音楽を通して自分の力で立ち上がり、仲間たちと一緒に、生きることに真正面から向き合う若者たちの姿を描いていく。

ナレーション:川島海荷(女優)
ディレクター:伊藤小枝
制作:NHKグローバルメディアサービス



・内容は上記の通りであり、昨年の夏上旬から学園祭のあった9/30までの記録である。

民放でも吹奏楽人気が続いており、そちらはいわゆるコンクール強豪校と言われる学校を焦点に当てている。一方で、コンクールとは無縁ともいえるが、50周年という節目を迎えた通信制高校の存在をアピールすることが最大の狙いだろう。

栃本浩規(東京藝大准教授、トランペット)を、特別コーチに迎えて数回のレッスンをすることで技術の向上を図った。なお、部活には顧問の先生もいる。元NHK交響楽団員であった栃本先生が急に出てくることで、いささか番組のためなのかとも思ってしまう。

まず、この番組に登場した生徒らの心情に何かの変化が起きたのは当然かもしれない。栃本先生に対しても、反発心があったのだが、徐々に慣れていく様子が見られる。どちらかと言えば、集団で何かを成し遂げるという気質よりも自分を大事にする優しい生徒たちであり、厳しい指導で鍛え上げるということは不得手であろう。

栃本先生も指摘されていたが、ほとんど合奏という経験を踏んでいないので、ただ自分の楽器を吹くことになってしまう。合奏の醍醐味を通しての音楽作りが、人間作りや生き甲斐といった普遍的なものになるには、まだまだ足りないところがある。ただ、それが彼らの良さではないのかと思ってしまう。

残念なことは長期に渡っての取材でもなく、NHKのお祭り的な内容であることにある。むろん爽やかな感動を与えられるように構成されているから後味が悪かろうことはない。

彼らがいくつかの転機を迎える、例えば、栃本先生のアドバイスにより練習の最後に1日の反省を入れてから全員で声を上げるといったもの。ところが、それをやらずに迎えたレッスンで指摘されてしまう。その後、できるようになるのだが経緯が不明。彼らが自発的になったのか、それとも顧問教師の指導、番組スタッフのアドバイス等々よく分からない。

彼らの目標は吹奏楽コンクールに上位入賞することなのだが、それが叶うとは誰も思っていないだろう。週2回の練習では無理なのは分かっている。また、女性の部長がしゃべっていたように、通信制の学校に通う生徒の背景は複雑であり、まとまることに期待を抱いていない。

それでも、この3か月間はプロの指導を受けたことで技術的な向上と、音楽の持つ意味をも考えたことや、若い彼らが自分の練習の足りなさを自覚し、部外指導者への反発心も作用したことは容易に想像できる。

なお楽器経験者がほとんどいうのは疑問で、中学校などで吹奏楽をやっていた人も多い。それから夏からの取材というのも中途半端な感じであるとともに、放送が年末ということでよく分からない。できれば1年間は取材し今春、彼らの卒業に合わせて追加取材し、彼らの今後の生き方とリンクさせることで通信制高校のあり方を示すことができたのではないだろうか。

番組内容としては、25分程度で十分な内容であるが60分に構成されたのは、上記の理由だからだろう。番組では学校外の日常も一部分ではあったが取材していた。バイトで働く部長の姿、買い物をする部員たち、自宅での風景など、今どきの子どもたちという印象である。コミュニケーションが苦手という側面は感じられるが、それは珍しくなくなっている。

制作しているのは、NHKの子会社なのだが調べてみると、スポーツ番組他に手話ニュースや海外番組制作などの実績がある。ドキュメンタリーは、これからも取り組んでほしいものだ。


参考

株式会社NHKグローバルメディアサービスは、平成21年(2009)4月1日、株式会社NHK情報ネットワーク(平成元年9月設立)と、株式会社日本文字放送(昭和60年11月設立)との合併により発足。

創立50周年記念 NHK学園高等学校 東京本校学園祭

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9月29日(土)、30日(日)に創立50周年を記念した学園祭を東京本校で行います。
学園祭は飲食物を販売する模擬店や各種文化系クラブの作品発表などを行う予定です。
生徒が生き生きと活動をする姿をぜひ、ご覧ください。

【日時】:9月29日(土)10:00~17:00
      ・生徒、協力校の展示
      ・模擬店
      ・クラブ発表
      ・介護疑似体験 など

     9月30日(日)10:00~16:00
      ・「学ぶ力」シンポジウム
      ・吹奏楽部記念演奏 など
      (16:00~後夜祭)

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【会場】:NHK学園 東京本校
     国立市富士見台2-36-2



・栃本 浩規 Hiroki TOCHIMOTO(トランペット)

岐阜県高山市出身。名古屋芸術大学音楽学部器楽科弦管打専攻卒業。トランペットを和久田照彦、津堅直弘の両氏に師事。
 1985年東京フィルハーモニー交響楽団に入団。91年NHK交響楽団に移籍。96年国際ロータリークラブのスカラシップを得てシュトゥットガルト音楽演劇大学に留学し、H.ロイビン、H.ヴォルフの両氏に師事。89 年と2005 年ITG(国際トランペット協会)にゲスト・アーティストとして参加。リサイタルを04年と10年に開催。
 12年4月、東京藝術大学音楽学部准教授に就任。東京音楽大学、名古屋芸術大学および聖徳大学音楽学部、尚美ミュージック・カレッジ専門学校コンセルヴァトアールディプロマ科各非常勤講師。N-crafts、東京ブラスシンフォニー各メンバー。
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