スコットランドの大司教が辞職─性的虐待の報道後に

スコットランドの大司教が辞職─性的虐待の報道後に
2013年 2月 26日 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 ローマ法王庁のキース・オブライエン枢機卿が25日、スコットランド・セントアンドリュースとエディンバラの大司教を辞職し、ローマ法王ベネディクト16世の後継者を決める選挙「コンクラーベ」に出席しない意向を明らかにした。オブライエン枢機卿が数十年前に神学生たちと不適切な関係を持っていた疑いが公に表面化してから1日後の出来事だ。

 ローマ法王庁とスコットランド・カトリック教会は25日、法王が18日にオブライン枢機卿の辞職を受け入れ、それが25日付で有効になったことを明らかにした。

 事情に詳しい関係筋によると、ローマ法王庁当局は、今回の決断を下す前、神学校でオブライン枢機卿の配下にあった複数の男性が枢機卿と不適切な関係があったと相次いで申し立てた件について調査していた。

 オブライエン枢機卿によって「不適切な関係」を要求された、と匿名の司祭3人と元司祭1人がローマ法王庁に申し立てたことについて、英紙オブザーバーが24日に報じていた。

 オブライエン枢機卿は、辞職を発表する文書で、「ローマのメディアの注目がベネディクト16世やその後継者ではなく、自身に向けられることは本意ではない」と述べた。

 オブライン枢機卿は申し立てに異議を唱(とな)えているが、文書ではそのことについては言及していない。

 オブライン枢機卿は辞職にあたって、セントアンドリュースとエディンバラの大司教区の管轄権を放棄する。同職はスコットランド・カトリック教会で最高位の行政職に当たる。ただし、スコットランド・カトリック教会の広報担当者、ピーター・カーニー氏によると、枢機卿の位は「法王から授けられる個人的名誉であり、辞職することはできない」ため、枢機卿にはとどまることになるという。

 オブライエン枢機卿の辞職は、ベネディクト16世の2月末での退位に向けて既に態勢を整えつつあったカトリックの聖職者たちに衝撃を与えている。

 ローマ法王庁は数日前から、ローマ・カトリック教会枢機卿委員会によって、当局者の広範な性的・財政的に不適切な行為が発覚したとするイタリアメディアの報道を断固として否認してきた。ローマ法王庁当局は25日の記者会見で、枢機卿委員会が作成した膨大な報告書は法王の後継者が精査するために封印されたと述べた。

 ローマ法王ベネディクト16世は25日、自らの退任後に枢機卿たちがコンクラーベを迅速に開催できるよう、コンクラーベに関する規定を改正した。それにより、コンクラーベの日程は枢機卿たちによって3月上旬に設定されることになるだろう、と当局は説明している。

 アナリストらは、オブライエン枢機卿のコンクラーベ欠席の決定は極めて異例の措置だと話す。オブライエン枢機卿は投票年齢に達している英国唯一の枢機卿であり、しかも3月17日に教会の退職年齢である75歳になるため、それまで退任する予定はなかった。

 ローマ・カトリック教会の投票規定では、「病気またはその他何らかの重度の身体的障害によって出席を妨げられている場合でない限り」枢機卿がコンクラーベに出席することを義務付けており、欠席する場合も「枢機卿会議によってそれを認知してもらわなければならない」と定めている。

 オブザーバー紙の報道を受けて、スコットランドのローマ・カトリック教会の広報担当者は週末にかけて文書を発表し、オブライエン枢機卿は「それら申し立てに異議を唱(とな)えており、法的助言を受けている」と述べた。エディンバラにある枢機卿の住居で電話に応じた女性は、枢機卿は話すことはできないと述べ、スコットランドのローマ・カトリック教会の広報担当者に電話を回した。

 一部のアナリストは、オブライエン枢機卿のコンクラーベ出席辞退によって、世間の圧力が高まり他の枢機卿も辞退を迫られる可能性があるとみている。ここ数日、司祭による性的虐待の犠牲者らが、性的虐待問題の扱いに不手際があったことを認めた枢機卿に対して、コンクラーベへの出席を辞退するよう要求している。枢機卿らは辞退を拒否し、投票への参加を表明している。

 オブライエン枢機卿の辞職によって、「教会の利益のために辞退したほうがいいのではないか」と自問し始める枢機卿が出てくる可能性もある、と教会歴史家でコンクラーベに詳しいアルベルト・メローニ氏は話す。


・バチカンのセックススキャンダルは止まるところがない。高位の聖職者による行為は信者らの不信と反発を招きカトリックの地位を揺るがす。新法王がメスを入れられるのか・・・。


司祭らに「関係」迫る?英枢機卿が大司教職辞任
2013年2月26日 読売新聞

 英カトリック教会最高位のキース・オブライエン枢機卿(74)は25日、スコットランドのセントアンドルーズ、エディンバラ大司教職を辞任した。

 理由は明らかにされていないが、1980年代に複数の司祭らに「不適切な関係」を迫った疑いなどが浮上していた。

 オブライエン枢機卿は、ローマ法王ベネディクト16世の後任を選ぶバチカンでの法王選出会議(コンクラーベ)に英国からただ一人、出席する予定だったが、辞任声明で「メディアの注目が次期法王より、私に集まるのは望ましくない」として、出席見送りを表明した。

 英国は、16世紀に国王ヘンリー8世がカトリック教会に反発して創設した英国国教会を国教としており、カトリック教徒は全人口の9%前後とされる。【ロンドン=佐藤昌宏】


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