團伊玖磨:歌劇「夕鶴」 若杉弘/読売日本so. 伊藤京子(S)

團伊玖磨:歌劇「夕鶴」 若杉弘/読売日本so. 伊藤京子(S)丹羽勝海(T)他

「歌劇“夕鶴”第1部」 團伊玖磨・作曲 (1時間21分43秒)
「歌劇“夕鶴”第2部」 團伊玖磨・作曲 (29分39秒)

 つう…(ソプラノ)伊藤京子
 与ひょう…(テノール)丹羽勝海
 運づ…(バリトン)栗林義信
 惣ど…(バリトン)平野忠彦
 子どもたち…ビクター少年合唱隊、杉並児童合唱団
 (管弦楽)読売日本交響楽団
 (指揮)若杉弘

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発売日 :1997/04/23
発売元 :ビクターエンタテインメント(株)
商品番号:VICC-60001/2



・山本安英が演じた舞台での録画をNHK教育で放映していたことを思い出す。

このCDは、團伊玖磨が作曲したオペラ版でありスタジオ録音されたもの。海外のオペラというと言語の問題があるが、ここでは日本語で楽しむことができた。オペラ版の初演は1952年。

夕鶴そのものが日本人の心象風景に合致し、恩返しというテーマに金銭の誘惑ということが重なり感情移入しやすいものだ。

予ひょうは、最初から最後まで純朴な青年として描かれ、お金の誘惑にも屈しているが、その怖さについて感づいているということもない。母親のように逞しいつうに比較すると、幼子ような描かれ方だ。

作中で、つうが予ひょうに、「私よりもお金や都に行くことの方が大事なの!?」と尋ねる部分がある。つうにとっては貧しくても二人で暖かい家庭を築くことが大事だという思いがある。

最後に機を織る姿を見ないようにということを予ひょうが破ってしまうのだが、これはアダムとエバの時代から同じことの繰り返し。破ってはいけないこと、見てはいけないことなどは、簡単に破ってしまうのが人間の常らしい。

この物語は、役柄がはっきりと分かれており強欲な者はその通りに描かれている。この話の元となった「鶴女房」は、しごく簡単な話であり、つうと予ひょうの話。そちらの方が単純に分かりやすいとも思える。

日本を代表する作品といことも言えるだろう。


登場人物
 つう…与ひょうの女房、実は鶴の化身(S)
 与ひょう…百姓(T)
 惣ど…ずる賢い村の男(B)
 運ず…惣どの相棒(Br)

あらすじ
全1幕 夕焼けに染まる雪景色にぽつんと建つ一軒家

与ひょうはいろり端で眠りこけている。子どもたちがわらべうたを歌いながらやって来て、「おばさん、おばさん、歌をうとうてけれ、遊んでけれ」と声を合わせる。つうが出かけているので与ひょうは代わりに子どもたちの相手をする。つうが戻り皆一緒に遊び始める。

物陰で強欲な惣どと運ずが密談をしている。二人はつうの織る珍しい織物で金儲けをしようと企んでいるのだ。しかし、つうには彼らの話す「お金」や「儲け」という言葉が理解できない。ただ鳥のように首を傾けて部屋の中に入ってしまう。二人はつうの仕草や機織り部屋に鶴の羽根が落ちていたことを思い出し、つうが鶴の化身なのではないかと思い始める。

与ひょうが戻ると、二人は彼につうの織る布を買いたいと申し出る。しかし、与ひょうは、布を織るとつうは痩せるし、もうこれきりと告げられたと言って断る。惣どと運ずは、いつか鶴を助けたことはないかと与ひょうに尋ねる。与ひょうは、矢に当たった鶴を確かに助けたことがあると答える。

鶴の千羽織りと呼ばれるその布は、都で何百両もの値がつくと言われていた。惣どと運ずは与ひょうを説得して布を織らせる約束をさせる。

何も知らないつうは夕飯の仕度をし、夫婦は仲良く食べ始める。与ひょうはおずおずとつうに布を織るよう頼むが、つうは約束を忘れたのかとあきれて断る。しかし、与ひょうは人が変わったように頑なに金が欲しい、都に行きたいと言い張ってつうを困らせる。ついに、出て行くとまで言う与ひょうを引き止めるため、つうは仕方なくもう1枚だけ布を織ると約束する。

つうは眠っていた与ひょうを起こし、もう1度だけ布を織るが決して機屋をのぞかないようにと念を押す。惣どと運ずが来て機屋をのぞき、そこに鶴を見つけて驚く。その様子を見た与ひょうも我慢ができずについに機屋をのぞいてしまう。そこには鶴が1羽いるだけだった。つうがいなくなってしまったと思った与ひょうは、ひとり雪の中にさまよい出る。

惣どと運ずが行き倒れていた与ひょうを助けて家に連れ戻る。機の音が止み、やつれ果てたつうが2枚の布を抱えて現れる。与ひょうはつうを見つけて大喜びする。だが、つうは与ひょうが約束を破って機屋をのぞいたことを知る。つうは泣きながら別れを告げ、2枚の布のうち1枚は決して売らずに側に置いてくれと頼む。化身は人に見られると人間の姿を保っていられないのだった。

子どもたちが訪れてつうを呼ぶが、もうその姿はない。子どもが空を行く鶴を見つけて指さす。与ひょうは残された布を抱きしめてつうの名を呼ぶ。しかし、飛ぶ鶴は次第に夕焼けの空に消えて行くのであった。

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