NNNドキュメント'12 「心なき福祉 札幌・姉妹孤立死を追う」

NNNドキュメント'12
「心なき福祉 札幌・姉妹孤立死を追う」
2012年6月10日深夜 日本テレビ系列

ナレーター:仮屋昌伸
制作:札幌テレビ
30分枠

1月、厳寒の札幌のアパートで、40代の姉妹が遺体で見つかった。姉が病死したあと知的障害がある妹が凍死したとみられている。料金滞納を理由にガスが止まった部屋…生活困窮の果ての死だ。姉は生前、生活保護窓口を3回訪ねたが、申請書をもらうことすら叶わなかった。市は「生活保護の押し売りはできない」と弁明。だが、姉の面接記録などから、市の積極的な姿勢は感じられない。孤立死を防ぐために相談者宅を訪問するなど、踏み込んだ対応はできないのか。上田市長は「行政の力量が足りない」とその限界を口にする。3回助けを求めても救われない現実。市民の命を守るはずの福祉行政に、弱者を思いやる心は見えない。

ディレクター:横内郁磨 田村峻一郎



・この問題に関しては、NHKが積極的な報道をしており、NHKとの視点の違いと新たな事実確認の意味を込めて見た。新たな事実としては、5月に全国調査団なるグループが札幌市白石区側と交渉を行っていたこと。そして姉妹の遺骨は先祖の墓に納骨された。

番組の最後に(生活保護制度など福祉の支援が)「本当に助けを必要としているたちに届いていない」と締めくくられていた。

道外に住んでいる者にとっては、その動向を把握することは困難であり、この問題に対して行政がどう対応をしているかが分かりにくいことだ。個人的には、北海道や厚労省の対応を把握しているが、個人情報保護の問題が大きくあり実現が難しい状態である。この点については、この番組では触れていなかった。

論点は極めてはっきりとしており、保護申請時の対応にもっと配慮を持っても良かったという結果論になる。それを巡っての水掛け論はずいぶんと聞いてきたので、立場の違いだと感じる。保護申請者の立場、役所の立場は当然違うと考えてよい。それを申請書を渡す渡さないといった問題にしては本質を見失うだろう。

番組構成上の疑問に感じたことは、元職員の証言であり理由をつけて申請させないことになっている、とか、役所は保護したくないということだというものだ。この元職員という人が、どのような立場で働いていたのかは不明だ。そのような上司からの指示があったのだろうか。むろんないだろう。

それから、これは個人的に納骨シーンを入れることは感情的にさせるので好まない。骨壺からお骨を出して入れるところは撮影しなくても良いのではないだろうか。ナレーションで十分だ。

NHKの取材でも、このブログに書いた通りであるが、妹の障がい程度が不明であること。そして、その生活実態が家計簿では分からないのだ。NHKでは、姉の趣味まで追跡してくれたが、本当にどのような暮らしをしていたのだろうか。また、姉の病状についても依然として不明だ。

例えはよくないが、悪徳商法に騙されてしまった人がいるとして、その人が泣き寝入りするのか警察に相談するのか、弁護士を立てるのか・・・さまざまな反応がある。病死した姉が、きちんと相談できる人がいたら随分と結果は違っていただろう。

妹も障がい者団体にも接点がなくなっているようであり、姉妹が孤立を深めるのは、恐らく両親との死別であり親類との疎遠がある。もっと他人に頼っても良かったのではないか、自己完結をしなくても良かったのではないだろうかというのが率直な感想だ。

現在、メディア報道は、孤立死問題と生活保護不正受給問題が並立して語られている。これは極めて簡単なことで、厳しく運用すれば排除される人で溢れるが不正受給は減る、緩く運用すれば増加に拍車をかけ財政困難に陥り、不正受給者も増えるということだ。

どちらかの視点で見ることで解決できるわけではない。「心なき福祉」と題したが、福祉制度にココロがあるわけではない。それを運用し支える様々な人々にココロがあるか否かだろう。いくら立派な制度を作っても、本人のやる気を引き出すことは難しい。やはり福祉制度を運用する、行政や施設、近隣住民の意識の問題になってしまう。

この姉妹の場合は極端な結果に終わったゆえに反響を呼んだことは間違いない。いろいろと改善できる点があることは事実なので、身の回りからできることを各人がする。そして福祉に携わる人たちには、こうした不況下で孤立した時代であるからこそできる仕事を精一杯行ってもらいたい。

*MEMO*

・姉の相談期日
  第一回 2010年6月
  第二回 2011年4月1日 非常食用のパン支給
  第三回 2011年6月30日

・全国調査団メンバー
  尾藤廣喜 弁護士
   現在: 日弁連・貧困問題対策本部 副本部長
       生活保護問題対策全国会議 代表幹事
       全国生活保護裁判連絡会 代表委員
  吉永純 花園大学教授(公的扶助論)
       全国公的扶助研究会会長、元京都市役所職員
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