ナビゲーション 誰にも言えない ~精神疾患の親を持つ子どもたち~

ナビゲーション 誰にも言えない ~精神疾患の親を持つ子どもたち~
2012年5月18日 NHK名古屋(中部7県向け)

妄想や幻聴などにより理解できない行動をとる統合失調症。100人に1人が発症する可能性のある脳の病気です。その統合失調症を患う親と暮らす子どもは、これまで偏見から病気の正しい知識を教えてもらえず、サポートもないまま孤立してきました。そんな中、三重県で精神疾患の親を持つ子どもを支援するグループが立ち上がりました。番組では、親の病と向き合う子どもたちの姿とその奥底に抱える悩み、その取り組みについて伝えます。



*MEMO*
制作:NHK津放送局

キャスター:長野 亮
ゲスト:西田寿美(児童精神科医、三重県立小児心療センターあすなろ学園長)

VTR出演:中村ユキ(漫画家)、土田幸子(三重大学医学部看護学科助教)

悩みの特徴
 1.自信がもてない
 2.対人関係が築けない
 3.自立へのためらい


精神障がい者の親と暮らす 親&子どものサポートを考える会 (土田幸子代表)
  http://www.oyakono-support.com/

NPO法人 多摩在宅支援センター円(えん)  http://zaitakuen.or.jp/


・新しい視点で考えさせられて興味深かった。精神障がい者の運動の中心は、その親であり本人の代弁をすることで権利の拡張を推進してきた。精神障がいとなった親を持つ子どもたちへの心情を考えることは今までなかったと思う。

漫画家・中村ユキさんの本は10万部の売り上げをあげているという。彼女の母親に対する思いが全国的にも共感を得ているという。

精神障がいは人間関係の病であるので、その家庭に育った子どもたちも影響を受けることは理解できる。また親の症状についての了解可能性やサポートができるだけの力がない以上は、受け身の立場で生きていくことになる。

この問題とは関連はないが、親や肉親に自殺された子どもたちも深い傷をおっているということに対して当事者たちが声を上げている。この場合も誰かに話すこともためらわれることになるだろう。問題となるのは、こうした生育環境で成人した場合に何らかのダメージを受けるか否かだろう。

多摩市の事例は、訪問看護ステーションが利用者だけでなく家族にまでサポートの手を差し伸べている例である。調べたところ、このNPO法人は総合的に取り組める基盤があり成功している例なのかもしれない。単に訪問看護師だけの努力ではない。

土田さんの取組みは、自助運動になるのだろう。こうした取り組みは、ネット社会になり可能性が増しているように思える。三重県に住んでいなくても、やり取りができることは大事なことだ。

ゲストの児童精神科医は、サポートの鍵は行政にあるという発言をしていた。彼女は調べると県立施設の園長という立場でもあるが、特に保健所の役割が期待されていながらも十分に機能できていないことや専ら自殺対策のみに重点が置かれている現状をどのように考えるのだろうか。

加えて、放送では主に統合失調症の話になっているのだが、他の精神疾患の親を持つ子どもの環境も似たようなものかもしれない。それを家族ぐるみでサポートするには、理想的にはネットワークを作り支援しようということになるのだが期待はできないのが現状である。


わが家の母はビョーキです

20120518

中村 ユキ (著)
単行本(ソフトカバー): 167ページ
出版社: サンマーク出版 (2008/11/18)



学校と連携へ 親が精神障害の子を支える三重のグループ
2012年1月20日 朝日新聞

 精神障害の親を持つ子どもを支援する三重県の「親&子どものサポートを考える会」が、学校現場との連携に取り組み始めた。これまでは成人した子どもに親の障害について対話し情報交換する場を提供してきたが、中高生など未成年の支援のあり方を模索する。

 「思春期の子がいる親子にアプローチしていくため、今後も連携させていただきたい」。1月17日、津市役所で、同会を立ち上げた三重大医学部看護学科の土田幸子助教(47)がスクールカウンセラーら約20人に会の活動内容を説明し、協力を呼びかけた。

 これに対し、参加したスクールカウンセラーからは質問や意見が相次いだ。津市立橋北中と高茶屋小を受け持つ米田奈緒子さん(47)は「子どもと接していて、はっきり『お母さんは病気では』とは言えないが、『お母さんのお手伝いをしているの?』などと声をかけることはできる」と提案した。

 土田助教はこれまで、精神障害を持つ親と暮らしてきた成人同士が思いを語り合うサロンを12回開くとともに、佐賀県や関東など全国の成人26人にインタビューしてきた。

 その結果、親の病気について説明されないまま疑問や自責の念にさいなまれた体験や、周囲が無関心だったり親ばかりが優先して支援されたりする中で、孤独感を抱えていた体験を持つ人が多いことがわかったという。

 ある女性の母親は統合失調症で、妄想があったり何度も同じことを言ったりなどの症状があり、いつも横になっていた。女性は中学生のころから、父親に「我慢しろ」と言われ、母親のケアで休む暇がないなどの負担があった体験から、30代になった現在も病気で起き上がれないこともあり、引きこもりがちだという。

 こうした研究をもとに、土田助教は実際に家庭内で孤立している中高生らに支援を広げようと、市町教育委員会や学校など関係機関に会の趣旨を周知する活動を始めた。スクールカウンセラーへの説明会は、この一環だ。今後は、学校教員の学習会や研修会にも参加するなど、さらに説明の機会を持ちたい考えだ。

 土田助教は「学齢期の子は、支援が必要でもなかなか手を挙げにくい。まずは学校の先生や地域の人など身近な大人に相談に乗ってもらえるよう、現状を知ってほしい」と話している。(高浜行人)

〈親&子どものサポートを考える会〉
 統合失調症などを患う精神障害者の子どもは、劣等感や絶望感など発達上の問題を抱えて社会から孤立しがちで、精神障害者本人に比べると、支援が行き届かない現状がある。そこで、こうした子どもたちを支援しようと、土田幸子助教が2009年9月、会を立ち上げた。精神障害者の子どもに焦点を当てた取り組みは、全国的にも珍しい。



追記

精神障害の親助け、孤立防ごう 支援団体が意見交換
2014/6/7 中日新聞 朝刊

 子育てをする精神障害者の支援や、精神障害の親がいる子の支援をしている団体のメンバーが先月、名古屋市内で集まり、支援の課題などを話し合った。呼び掛け人の鈴鹿医療科学大看護学部准教授土田幸子さん(精神看護学)によると、精神障害者の子の支援に絡む団体が一堂に会するのは、おそらく全国初という。土田さんは「何らかの形で二回目を開きたい」と話す。

 「情報交換会」には、北海道から広島県まで、全国十五団体の四十四人が参加した。

 会に出席し、精神科訪問看護などのサービスを提供している東京都立川市のNPO法人、多摩在宅支援センター「円」理事長の寺田悦子さんによると、精神疾患のある親は、病気ゆえに対人関係がうまくいかず、子育てで苦労する人が少なくない。「自分のせいで子どもがつらい思いをしている」と自分を責める親と、親の病気に振り回される大変さを他の人に言えず、孤立する子。双方に目を配った支援が必要という。

 会場では、各団体が取り組みを紹介した。

 精神障害者らが昆布の加工・販売などをし、一緒に生活している北海道浦河町の地域活動拠点「べてるの家」の創始者、向谷地生良(むかいやちいくよし)さんも駆けつけ、べてるの家などが取り組む子育て支援を説明した。

 べてるの家では精神障害者同士の恋愛も活発で、子をもうける当事者は多い。精神疾患で自虐的に自分を追い込み、子育てに苦労するメンバーもいる。そうした人を支援するため、浦河町では、べてるの家や病院、保健所、学校の連携が緊密になった。個別のケースごとに関係機関が集まる「応援ミーティング」が月一度あり、障害者本人も同席して解決策を探る。

 子育て経験のある地域の主婦を交え、子育てに苦労する障害者らが集まる定期的なミーティングもある。親として社会参加する難しさなどを話し合い、より良い物事のとらえ方や意思疎通の方法を考え、練習する。いずれも、親を助けることで、子どもを間接的に支援しようという考えだ。

 円も、子育てで苦労する精神障害の親を対象に、ミーティングを開いている。専門職を交えて、悩みを打ち明け合うことで、苦労しているのは自分だけでないと孤立感が和らぐ。同時に、子どもは別室で遊び、心の負担を軽くする。ミーティングで出た課題を訪問看護に生かすため、スタッフによる会議も開いている。

 土田さんが世話人代表を務める「親&子どものサポートを考える会」は、津市で、精神障害の親のいる成人が集う交流会を毎月開いている。親の病状に合わせて生活するうちに、自分を大事に思えなくなったなど、子の立場ゆえの経験を話し合う。類似の体験談を聞くことで、心のわだかまりを解消する人もいる。

 意見交換では、行政や一般市民との連携が課題といった意見が出された。子を支援する児童養護の部門と精神保健の部門など、行政機関内での連携もないといった指摘もあった。

 土田さんによると、参加者からは「同じ問題意識を持つ人がたくさんいると知り勇気づけられた」「親子の支援という切り口でネットワークができれば」との感想が寄せられた。

 土田さんが昨年九月に視察したドイツでは、精神障害の人の子の支援に関わる百近くの機関がネットワークを形成。年に一度集まり情報交換をしている。国内でも、親や子の支援をする団体があり、それらが情報を共有することが有効と考え、会の開催を呼び掛けた。土田さんは「これをきっかけに、精神障害の親とその子の支援が必要という認識が、社会に広がれば」と話した。 (佐橋大)


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2012年05月20日(日) 06時42分 |

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