ヒューマンドキュメンタリー「あなたが心の道しるべ~小山内美智子と浅野史郎~」

ヒューマンドキュメンタリー「あなたが心の道しるべ~小山内美智子と浅野史郎~」
2011年7月20日 NHK総合

重度の脳性まひを抱えながら、当たり前の幸せを求めて“行政の壁”を壊してきた小山内美智子さん。今から26年前、小山内さんの陳情を受け止めた相手が厚生省から北海道庁に出向したばかりの浅野史郎さん(元宮城県知事)だった。時に熱く議論し、信頼関係を築いた2人が今、命に関わる病と闘っている。番組では互いの身を案じながら必死に生きる2人の交流をたどり、痛みを抱える人がよく生きられる社会とは何かを見つめていく。

【出演】作家・札幌いちご会代表…小山内美智子
     元宮城県知事・慶応義塾大学教授…浅野史郎
【語り】黒柳徹子



・48分番組構成

この二人の交流は25年になるという。浅野が37歳で北海道庁福祉課長に出向していた時に、子どもを抱えた小山内がケア付き住宅につながる障がい者の支援を陳情していたという。浅野も官僚にしては積極的な方なので、意気投合していった。

障がい者をどう描くかは難しい問題だ。できるだけ自然な姿を意識せずに撮影し編集する。小山内のような個性の強い女性を、どう描くのだろうか。

まず、小山内語録「障がいのない人の弱さ」「楽しく戦う」「新しい友だちを作らないと広がらない」と印象的な言葉を残していた。それは、彼女の生き方で経験してきたものだろう。彼女自身が、強気で社会・人と関わりながら新たな障がい者の生きる道を模索したことが分かる。

また、彼女が施設長を務める社会福祉法人アンビシャスの職員採用面接の場面で、二人の女性が尊敬する人はだれ?と聞かれて「母です」と答えた。面接後に「ダメダメダメ」と言って、尊敬する人が母親ということに、もっと世の中には尊敬できる人がいるし出会っていないことへの貧しさを語った。むろん面接者は不合格になったはずだ。

番組では、小山内と浅野のメールでのやり取りなどを紹介しつつ、小山内の日頃の生活(プライベート風景はなかった)、浅野の慶大復帰までを追う。その狭間に、障がい者福祉の流れや施設での利用者の交流、震災応援の活動などを挟んでいた。

小山内は2008年に悪性リンパ腫、浅野も成人T細胞白血病を患って骨髄移植を受けた。幸い二人とも元気を回復している。

ドキュメンタリーは魅力的な人物がいて初めて成り立つような気がする。何かを切り開いてきた人には、感じるものが多い。それと、同時代に生きてきたわけであり、自分自身にはできないことを成していることは羨ましいと感じる。

ディレクター:大野兼司
編集:樫山恭子

【追記】
やはり面接場面が気になった。尊敬できる人が「父」「母」では、ダメと言い放つことに違和感を覚える。彼女らの社会福祉法人だから何を聞いてもいいのでしょうが・・・。なお、特に差別(同和)問題解消のために、面接時には聞いてはならない質問があります。その中に、尊敬する人物、愛読書などがあります。厳格に運用することはないにしても、もし面接者が労働基準監督署に相談すれば指導を受けることはありましょうし、民法上の問題(映像で、母親を尊敬できないことが不採用の主な理由なっていることが分かるから)も発生するかもしれません。

加えて、最終的に尊敬すべき人が父母兄弟であることは間違っていないように感じます。面接した彼女らが、いわゆる面接Q&A本を使用していないのは、もっとましな答えをしなかったことから感じ取れます。福祉を志す彼女らが勉強・実習を通して親のありがたさを感じていたのなら出発点としては良いのかもしれません。文脈で言うならば、尊敬できる人は大勢いるし見いだせていない人生観の貧困さを問うているのだろうとは感じます。ただ、小山内さんのように行政を問いただす姿勢を普通の生き方としている人は極めて稀です。労働運動をしてきた人ならばできるかもしれませんが、ただの医療系・福祉系の学生に多くを求めるのは非常に困難です。


≪参考≫
Q.採用時の面接で聞いていけないこと?
A.法律での規定は雇用機会均等法などです。

厚生労働省から採用面接時に、以下のことを聞いてはいけないという指針が出ています。

1.本人に責任のない事項
  本籍・出生地に関すること
  家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
  住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
  生活環境・家庭環境に関すること

2.本来自由であるべき事項
  宗教に関すること
  支持政党に関すること
  人生観・生活信条に関すること
  尊敬する人物に関すること
  思想に関すること
  労働組合・学生運動など社会運動に関すること
  購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

さらに、職業安定法(法に基づく指針)では、募集を行う際、原則として収集してはならない個人情報が以下のように規定されています。(職業安定法違反の場合は罰則として6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)

  ・人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項(家族の職業、収入、本人の資産等など)
  ・思想及び信条(人生観、生活信条、支持政党、購読新聞、雑誌、愛読書)
  ・労働組合への加入状況(労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報)

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