NHKスペシャル 職場を襲う "新型うつ"

NHKスペシャル
職場を襲う "新型うつ"
2012年4月29日

今、企業にとってうつ病を中心としたメンタルヘルスの問題は緊急の課題となっている。特に最近、大きな注目を集めているのが「現代型うつ」とも呼ばれる、新しいタイプのうつだ。現代型うつは、若者に多いとされ、従来型のうつ病と同様、不眠や気分の落ち込みなどの症状を呈する一方、常にうつ症状に陥っているわけではないのが特徴だ。職場を離れると気分が回復し、趣味や旅行など好きなことには活動的になり、うつになった原因は自分ではなく、職場など他人にあると考える自己中心的な性格がよく見られるという。さらに現代型うつは一見、“怠け”や性格の問題と捉えられることも多く、従来の抗うつ薬が効きにくいとされ、対応が難しいのが現状だ。また精神科医療の現場でも、現代型うつの患者は急増しており、日本うつ病学会でも対応策を模索し始めている。

今回、NHKが独自に実施した企業へのアンケート調査でも、現代型うつと見られる社員を抱える企業は65%に上り、対応に苦慮する企業の実態が浮かび上がってきた。番組では、大規模なアンケート調査を通してメンタルヘルス問題の全体像を把握するとともに、メンタルヘルス問題に積極的に取り組む企業や医療の最前線を取材。さらに現代型うつに悩む若者と企業の実態をドラマで描くという演出も取り入れながら、メンタルヘルスの問題にどう立ち向かっていけばいいのか、そのヒントを探っていく。

出演:江川紹子(ジャーナリスト)斎藤環(精神科医)
    尾木直樹(法政大学教授)古市憲寿(社会学者)
ドラマ出演:成河 鶴見辰吾 入山法子 南沢奈央

語り:高橋美鈴
朗読:松岡洋子

取材協力:日本リーダーズ協会 一倉美津子

ディレクター:真野修一 小林倫太郎



・NHKスペシャルのウツ病関連であるが、このところのシリーズとは一線をかくしていた。新型ウツと言われる病態をどのように一般人にも分かるようにするかに工夫がいり、実録ドラマやグループディスカッションを採用した。

新型ウツの特徴は、上記の番宣に書かれた通りである。従来型のウツと比べて違いが大きく、未成熟な人格と関連性があるとも思える。だから薬の効きも悪く改善に結びつける方法が模索されている。

特に今回NHKは、上場企業2200社に対してアンケートを実施し65%から、こうしたケースを問題視している旨の回答を得たという。具体的にどのような内容の調査かは分からないが、人事担当者にとって理解しにくいといった感想のようである。

さて、まず気になった点を述べると、実録ドラマということで3つのパートに分けて俳優の登場するドラマを作成。これが典型例ではないしても、傷つきやすい上に責任転嫁をするといった特徴がよく表れていた。最後はハッピーエンドになるので・・・やはりドラマだ。

加えて企業の取組みとして、家庭訪問し家族も視野に入れた働きかけをしている例、育て直しと捉える例、特殊能力として人事配置を工夫する例などが取材された。また、同病で悩んでいた女性が親子関係の改善を含めて自分と社会の関わりを洞察したケースを紹介した。また江川紹子さんを中心として、専門家や評論家、市民を交えた討論を通して原因と対策を語り合った。

番組では、これらのことを含めたために、かなり分かりにくくなってしまった感じがした。視聴者に同病のことを広く知らせるのか、患者に対処法をレクチャーするかに視点があるのだが、前者に重点を置いていたために治療については曖昧になっていた。

専門家や評論家のことばを聴いていると、相変わらず○○症候群とか教育制度、社会変化のことを主眼に置く主張が多い。それぞれ思い当たることもあるが、それは誰もが感じている時代の雰囲気だから敢えて言うべきことでもないだろう。

私の立場としては、特に精神疾患についての長年の動きを見ていて、社会との関連性が高いことは事実であっても、根本的には人間関係の病という側面で考えれば良いことだろうと思う。それを、○○症候群のようなネーミングにして売り出す精神科医や心理カウンセラーには耳をかさないようにしている。

人間関係能力を育てるという視点では、教育制度や雇用制度、子育て環境など多岐にわたるトピックスがある。何らかの脳機能の疾患がないとすれば、人間関係能力をどのように発達させていくのかという問題になる。

ウツという症状は、結果なのであって原因ではない。ウツウツとするのは何が原因かを究明することは、実は自己探求がなかなか果たせないという人間の弱点に他ならず、その問題になる。自己が分からないければ他人も分からず社会の仕組みも分からない。

その意味で、育て直しなのであり、「人薬(斎藤環)」という叔父さん的役割の構築、思い通りには人生はならないという哲学の想起なのだ。従来型のウツ病は、心的エネルギーの枯渇という構図で考えれば良い。また新型ウツは、未熟な人格の社会的葛藤の教育的改善という視点で見ていけば間違いはないだろう。

精神疾患は社会との相関が大きく、時代の病ということもいえる。その病を通して、時代の風潮を知ることで自分たちの社会に欠けているものを知り、新たなバランスを取るように図ることが求められる。

番組に関しては、50分番組×2本として、実録ドラマ⇒専門家による文化的考察⇒市民や企業人事担当者のディスカッションというようなスッキリとした方が良かったのではないだろうか。服薬などの治療効果が期待されないので、最新の脳科学は使えなかったのがNHKには幸いした。ドラマは画一的な印象を与えてしまうので痛し痒しの部分もあるが、分かりやすいのかもしれない。
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