NHK 20min. マエストロの白熱教室~指揮者・広上淳一の音楽道場~

「マエストロの白熱教室~指揮者・広上淳一の音楽道場~」
2012年3月4日深夜 NHK

東京音楽大学の指揮科で、ユニークな指揮者養成カリキュラムが行われている。指導するのは、奇才・広上淳一教授。世界のマエストロは、イマドキの学生をどう鍛えるのか?

ひと振りでオーケストラを動かし、極上の音楽に仕上げる指揮者。今、東京音楽大学の指揮科が、ユニークな指揮者養成カリキュラムで注目を集めている。指導するのは、奇才・広上淳一教授。欧米の主要なオーケストラの指揮台に上がった広上が、何より重視するのは、指揮者本人の「人間力」。学生に実際のオーケストラを指揮させ、世界のマエストロとイマドキの学生たちが真剣勝負でわたりあう「合同レッスン」に密着する。


・広上教授は、東京音大指揮科卒で母校の指導をしていることになる。

今回は同科に学ぶ4年生の卒業試験に密着し、指揮の技術や本質をどのように伝えていくのかという課題をとらえる。学部4年生ということで、その限界は明らかであるが、それでも何か一つでもつかんでほしいという気持ちは分かる。

それを言葉で伝えられても伝わりにくいし、若者らしいアタマ一杯の状態で意図したことを学生オーケストラではなかなか上手く表現することができないもどかしさ。課題曲はベートーヴェンの運命交響曲を、指示された箇所を振ることだった。

さて、企画自体は面白いのだが、どのレベルの音楽を目指しているのかが分かりにくく、主観の多い演奏評に対して何が適格なのかは分からない。つまり、広上教授の意表をつくような解釈・指揮ができればOKなのだろうが、学生はまだ基本的なところを押えることしかできない。

指揮者に求められるのは、単に指揮が上手ではいけないだろうし、オーケストラとの関係性や自身のたゆまぬ勉強に負うところが多い。世界的なコンクールに居残る強者たちは、基本しっかり+応用たっぷりを要求されて体力・精神力とも強靭でなければいけないのだ。

4年生の彼は、未消化の指示を考えながら、ふと指揮者を志した時代を振り返り自信を深めていく。このあたりはNHKらしい展開であり、決して絶望したり酒に飲まれたり失踪したりはしない。

若手ディレクターは、自分自身の仕事に重ねて考えているようだ。特に人間相手の仕事であることも同じかもしれない。自己満足に終わらずに、お客さんである聴衆に良い気持ちを感じてもらえ、演奏家たちに多少のやる気を感じさせ食べさせていく、過酷な仕事が指揮者なのだろう。

人間力は総合力だから、常に学ぶこと、謙虚になることが大事だろう。もし指揮者の道で生きていくならば、音大を卒業した後の学びこそ全てであると感じる。


まるで自分に問われているようでした
2012年03月05日 NHK「20min.」ディレクター裏話

私は普段は、音楽・伝統芸能番組部という部署でクラシック音楽の番組を作っています。
広上淳一さんは以前から注目の指揮者で、これからの日本のクラシック界の先頭を走る指揮者の1人と目されています。

広上さんの指揮は、躍動感と内より発せられるエネルギーに満ちあふれ(彼の言うとおり、光を放射しているような)、音楽をそのまま指揮にしたかのように見えます。しかも、時として笑ってしまうくらいコミカルな所作があるにも関わらず、決して音楽が軽薄になることがない、というとても希有で不思議な才能を持っていらっしゃる指揮者です。

その広上さんが指揮科で指揮を教えている、と最初に耳にしたのは5年前のことでした。しかも調べてみると、指揮科の学生は10人程度なのに対し、教官は20人以上いるというのです。

私立大学でこの状況はそもそも経済的にpayしないだろう、一体どういう授業・仕組みになっているのだろうか?という疑問が、取材をしたいと思ったきっかけでした。

実際に取材を始めたのは一昨年の秋。「何の番組になるかはまだわからないですが、是非レッスンの様子を取材させて欲しい」という私の勝手な申し出を、広上さんは快諾してくださいました。

「人間力を鍛える道場を目指しています」と見せてくださった広上さんのレッスンは、音楽を教えるものでもなく、指揮の技術を教えるものでもありませんでした。

指揮者として、音楽家として、人間としてどうあるかを問う、ある種の答えのない問答が繰り広げられる「人間修行の場」だったのです。

レッスンを通して自分自身と向き合う学生を見て、果たして自分が学生のころ、「これほど真剣に自分自身と向き合っていただろうか?」「そして今はどうか?」と私自身に突きつけられたように思いました。

事実、今回の番組はテロップを「指揮者は」を「ディレクターは」に、「曲を」を「取材先を」に変えれば、ほぼディレクターの仕事にも当てはまって通じてしまうと思うのです。

広上さんが、ある時に「オーケストラの前に立って放出してばかりでは磨滅して消滅してしまうので、充電が必要なんです。楽譜と向き合い、ピアノなどで音にして、ここはこういう音楽、と響きを確認しながら体の中に音楽を入れていく。それが指揮者の大切な充電時間です」とおっしゃっていました。

充電をして放出する、当たり前に聞こえますが、そのように考えたことはありませんでした。
私たちディレクターの充電とはなんだろう?と考えましたが、それはやはり「取材」であろう思います。取材の対象者としっかり・じっくりと向き合い、伝えたいという思いを膨らませて番組作りをする。このディレクターとしての「原点」を大切にしたいと、改めて決意する現場となりました。

撮影のために色々とご協力をいただいた広上淳一先生、東京音楽大学の皆さまにこの場を借りて心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

ディレクター:宮崎将一郎



【追記】

心を鍛える音楽道場~指揮者・広上淳一と弟子たち~
2012年5月4日 NHK

カラヤン、バーンスタイン等、天才がひしめく指揮者の世界。指揮者は何を見て、何を感じ、どうオーケストラをまとめ上げるのか?奇才・広上淳一の若手指導の現場に密着する

1振りでオーケストラを動かし、極上の音楽に仕上げる指揮者。今、東京音楽大学の指揮科が、ユニークな指揮者養成カリキュラムで注目されている。指導するのは、世界の舞台で活躍する広上淳一。広上が何より重視するのは、指揮者本人の「人間力」。学生に実際のオケを指揮させる「合同レッスン」では、「どんな音楽にしたいのか」「指揮とは何か」を徹底的に考えさせる。世界のマエストロと若き指揮者との真剣勝負に密着!

出演
東京音楽大学教授…広上淳一
N響第一コンサートマスター…篠崎史紀
名古屋フィル指揮者…川瀬賢太郎
東京音楽大学指揮科学生…鈴木衛,喜古恵理香
京都市交響楽団

語り:三宅淳一


・19分番組を43分にまで延長させて再構成した。この合同レッスンは6年前から始まったという。

2倍近い延長であり、新たにインタビューを追加し説明の映像を加えた。今までの取材で撮りためてある映像もあれば、新たに加えたと思われる映像もあった。特に新たにナレーションを付け加えたことで、音楽の知識のない視聴者に向けた配慮をした。

中核となった部分は、そのままなので結論も同じになる。印象としては、19分構成の方がリズム感があり分かりやすかった。

特に芸術分野の大学教育で何ができるかという疑問はある。音楽界には、正規の音楽教育を受けていない人たちが少なからずいて成功している例もある。日本では、東京芸大と桐朋音大というブランドあるのだが、最近では名前も知らない音大出身者であっても世界の一流楽団に入ったりしている。

広上さんも、指揮者の役割を伝えようとしているのがよく分かった。それは年齢・経験を重ねての発言なので、分かる人には分かる。芸術では、言葉で表現できないもどかしさから身体全体で表現することが一つの方法としてある。

広上さんは別の番組で、若い時代の失敗を語っていた。それは彼が今、若い人たちに伝えていることなのだ。オーケストラのとのぎくしゃくした関係を経験したことで大きく自分を変えたということだ。それが成功の秘訣なのだ。

いわゆる怖い指揮者がいなくなり楽団員と友達付き合いできる指揮者が好まれる時代になってしまった。 そこで一緒に音楽を作っていこうというスタンスが現代的なのだ。それが本当に良い音楽作りになるのかは分からない。音楽マネージメント業界とは無縁でも地方で良い音楽作りをしている無名の音楽家は多い。

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コメント

たれプーさん♪ #-

再放送のお尋ねに・・・

java さま

NHK 20min. マエストロの白熱教室~指揮者・広上淳一の音楽道場~

再放送のお尋ねですが、NHKのオンデマンド放送(有料)か、

海外動画サイト Youtoku (期限未定)にアップされています。

http://v.youku.com/v_show/id_XMzYyODEwMTA4.html

2012年04月01日(日) 06時38分 | URL | 編集


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