テレビ東京 カンブリア宮殿 長谷川裕一(はせがわ 会長)

時代を捉える変革力とぶれない信念だけが勝利を生む
2012年2月16日 テレビ東京

長谷川 裕一(はせがわ・ひろかず)(はせがわ 会長)

震災による“家族”への回帰、そして“写経ブーム”など、いま、心の安らぎを強く求め始めている日本人。
そんな中…仏壇業界で唯一の上場企業、しあわせ少女の「なーむー」のCMで有名な「はせがわ」は、増収増益を叩きだしている。
かつて、死者450人の大惨事の現場に飛び込み、遺族に仏壇の必要性を説いて回ったという、信念の男・長谷川裕一は、不可能といわれた仏壇店のチェーン化と工業化を達成。
そして、それまで仏壇作りの独壇場だった本場・京都に挑み、国宝修復の仕事をするまでに育て上げた。その時代を捉え続ける変革力と、一方でぶれない商いへの信念が、勝利を生んだ。激変の時代に、成長を続ける、驚きの経営論を聞く。

必要な人々に仏壇を!炭鉱事故からの攻勢
遺族が生きるためにも手を合わせる“場所”が必要だ…会長の長谷川裕一には、そんな信念がある。長谷川にとって大きな転機となったのは、福岡県の実家近くで起きた1963年の三井三池炭鉱爆発事故。500人近い死者を出した大惨事だった。だが3日後、長谷川は現場へ赴き「遺族に仏壇は必要だ」と訴え、遺族から感謝されたという。一方で、当時は高級車並みだったという仏壇の価格。これを何とか下げたいと自社での大量生産を目指したのが、福岡発で最強の仏壇チェーンとなった、はせがわの原点だ。

知られざる仏壇の世界…超保守的業界に革命!
仏壇づくりの“本場”とされてきた京都。その技術を研究し尽くしたはせがわは、1984年、京都本願寺の須弥壇(国の重文)修復を受注。京都の独壇場だった分野を切り崩す。信仰や伝統を重んじる仏壇業界だけに、それはまさに革命的なことだったという。一方、会長の長谷川が社内で繰り返し語るのは、「脱皮し変革しないものは滅ぶ」ということ。超保守的な業界における企業の変革とは?

究極の接客術!売らずに売れ!
昨今、多くの仏壇屋が価格競争を商売の中心に据える中、はせがわは徹底的に“客の心に寄り添う”接客で、絶大な信用を得ている。はせがわの接客は、仏壇購入なら平均2時間。その間、仏具の1つ1つまで、故人にはどういうものが相応しいのか、豊富な商品知識と共に、時間をかけて決めて行くのだ。そこに息づくのは、先代の創業者より受け継いだ「モノじゃなく、真心を売れ」という理念。毎年1回、はせがわでは、そんな理念に磨きをかけるため、接客コンテストを行う。問われるのは「いかに売らずして、売るか」。究極の商いの術とは。

【ゲストプロフィール】
1940年福岡生まれ。父は直方(のおがた)市で仏壇屋を営む。
63年龍谷大卒、長谷川仏具店に入社。三井三池炭鉱事故に遭遇。
その後、仏壇販売のチェーン化と、製造の効率化に取り組む。
78年、東京の仏壇普及率の低さに注目、九州から一気に関東進出。82年社長就任。94年大阪に上場。仏壇業界唯一の上場企業に。90年代後半には、墓石の販売にも乗り出し、今では年間5800の墓所を売る。仏壇は全国116店舗で年間2万5千基を販売。業界2位(年商50億円)を大きく引き離す、最強の企業である。

村上龍の編集後記

仏壇をバックにゲストと話すのははじめてだったが、不思議に気持ちが落ちついた。
なぜわたしたちは故人や祖先を祀る祭壇を必要とするのだろうか。キリスト教など他の宗教を除いて、わたしたち日本人は、仏壇を通し、故人や祖先と向かい合い、あるときは対話をして、亡くなった人の思い出を心に刻みつける。また、生命と、大いなるものへの畏怖の念を育てる。
長谷川さんは、異様に元気な方だった。明るいオーラに充ちていた。他者に感謝し、その恩に報いるという理念が、エネルギーの源泉なのだろう。



・成功している経営者との対談を通して考える番組だが、ほとんど見たことがない。今回、見てみようと思ったのは、仏壇業界で知られた会社であり、たれプーさん♪も近くの支店に入って仏具を買ったことがあるから身近に感じていた。

長谷川氏が何を考えてどのように行動してきたかということは上記の説明を読めば番組内容は理解できるものと思う。我々は分からないけれど、仏壇の普及に大きくかかわってきているということだ。仏壇は釘を使わない手法であるので、手間と技能が必要であるという。特に伝統工芸とされて設計図面もなく職人の頭にだけあった仏壇作りを、工場でもできるまでにしたことが安価で良い製品を作る礎となったという。

これは頭の下がることだが、東日本大震災後から無料で小型の仏壇を被災者に提供し、その数は2000を超えるという。それは小さな本箱くらいの大きさであり、燭台など最低限必要なもののセットである。これを売名行為と言えばそれまでだが、家族を失い家を失い財産を失っている方には大きな支えになっているという。

日本人にとっては鎮魂というテーマがあり、それに関連して自分自身の生き方を考えるという習慣がある。仏壇に前に座り祈りを捧げることや対話することは、暮らしの中で最重要なことかもしれない。

この会社の最近のヒット商品は、都市部でも良いようにコンパクトであるが故人にいろいろな供物を捧げるためのスペースを大きくした商品であるという。時代により仏壇の形態も変わっていくのだろう。

番組では、値引き競争しかできていない同業他社と比べて、はせがわは接客を重要視しているとして仏壇を購入する人には平均2時間の接客時間を要するという数字や社内で開催される接客コンテストの様子を映しだした。

長谷川氏は言う。社会に役立つことをすれば利益が生まれる。脱皮しなければ生き残れないとは、諸行無常を説いたブッダの思想であるということだと語った。村上龍氏の書かれているように、不思議にエネルギッシュな雰囲気を持っている方であると感じた。

なお、以下の公式ページで、【動画配信】をしばらく見られるようなので興味のある方は覗いてみてください。


カンブリア宮殿:テレビ東京  http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
関連記事
スポンサーサイト

コメント


トラックバック

↑