ナビゲーション コンピューターは人間を超えられるか~将棋最強ソフトVS米長永世棋聖~

ナビゲーション コンピューターは人間を超えられるか~将棋最強ソフトVS米長永世棋聖~
2012年 1月27 NHK名古屋放送局(中部7県向け)

今月、世界最強のコンピューター将棋のソフトウェアとプロ棋士の対局が実現した。将棋ソフト「ボンクラーズ」対、米長邦雄日本将棋連盟会長の対局だ。北陸先端科学技術大学院大学では、この対局の分析を通して、人間とコンピューターの思考の違いを明らかにし、人工知能の開発に役立てようとしている。コンピューターは、人間の知性にどこまで近づくことができるのか。歴史的な対局を通して探る。

【キャスター】長野亮
ゲスト:伊藤 毅志(電気通信大学 助教)計算機応用学

VTR出演:飯田 弘之(北陸先端科学技術大学院大学 教授)人工知能



・マスコミでも大きく報道されたプロ棋士と将棋コンピューターソフトとの決戦を追ったもの。

長野キャスターの趣味は将棋、また飯田教授はプロ棋士(六段)でもある。将棋を知っている人たちが、人工知能のプロジェクトをしていることが面白い。

将棋は、チェスなどに比べると手数が多くより複雑な計算を必要とするという。チェスでは、すでに人工知能が人間に勝っている。将棋ソフトの転換点は2007年にプロ棋士にかった「ボザンナ」、そして、今回は「ボンクラーズ」というソフトを使った。このボンクラーズは、ボザンナの7倍の威力があるという。学習機能に加えて、クラスタ並列という処理をするのだそうだ。一秒間に2400万手先を読む能力があるという。

人工知能と人間の思考というテーマを、将棋ソフト開発を通じて進めていくのが大きな狙い。プロ棋士には「大局観」というものがあり、流れを直観的に把握し勝負をするという。一方で、人工知能は、その場その場ごとに探索しながら最善を判断するという特徴がある。過去のデータを収集している人工知能は、それに基づいて攻めることには長けているが、新しい局面において、それが全体の中でどういう意味を持つのかを理解できているわけではない。

今回、米長将棋連盟会長が将棋ソフトに敗れたということばかり報道されていたが、実は、米長会長自身が人工知能開発に協力している。そして、このソフトを使って事前から作戦を練って挑んでいた。プロ棋士が通常しない攻めをして、人工知能を混乱させようという作戦だった。たた差し手のミスを突かれて敗退することになった。

わたしの好きなSFドラマ「スタートレック ネクストゼネレーション」シリーズの中でも、同様の主題を扱ったエピソードがあった。銀河連邦最高の戦略家と人工知能の乗組員データ少佐との戦いであった。結局、人工知能には機械であるゆえに疲れるを知ることがない。一方で生命体は、ミスや気の緩み、また休息を必要とする違いがある。

この人工知能プロジェクトは、人間を超える知能を開発することでもあるが、人間の思考や理解とは何かを深く知ることなのだ。機械はあくまでも道具であろう。その先あるのは、人工知能が自ら思考を始めた時に、それを新たな生命と認定できるか如何であるとSFの世界では考えられている。

大変面白い内容であっただけに、全国放送でも放映されてもいいだろうしNHKスペシャルで深めても良い内容である。

会長の面目が…米長永世棋聖 世界一将棋ソフトに負けちゃった
2012年1月14日 スポニチ

 日本将棋連盟の米長邦雄会長(68)=永世棋聖=と将棋コンピューターソフト「ボンクラーズ」の特別対局が14日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、後手の米長会長が113手で敗れた。

 対局は、平手で持ち時間は各3時間。米長会長は2手目に玉を上げる研究手を用いたが、ソフトの鋭い攻めが決まり、押し切られた。

 完敗を喫した米長会長は「見落としがあった」と無念そうに話した。ボンクラーズの開発者、伊藤英紀さん(49)は「今後も実力をつけて、いずれトップ棋士に挑戦したい」と語った。

 米長会長は、名人1期などタイトル計19期を獲得し、2003年に現役を引退。勝ったボンクラーズは、昨年の「世界コンピュータ将棋選手権」で優勝した実績を持つ。

 過去、公の場でプロがコンピューターと対戦した例では、07年に渡辺明竜王が勝ち、10年の清水市代女流六段は敗れている。

 この対局は「将棋電王戦」の名称で開催され、第2回は、新鋭の船江恒平四段を含めプロ棋士とコンピューターが5対5で対戦する。



われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る
米長 邦雄 (著)

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単行本: 189ページ
出版社: 中央公論新社; 初版版 (2012/02)



訃報:米長邦雄さん69歳=将棋連盟会長、初の50代名人
2012年12月18日 毎日新聞

 日本将棋連盟会長で、史上最年長の50歳名人となった、永世棋聖の米長邦雄(よねなが・くにお)さんが、18日午前7時18分、前立腺がんのため東京都内の病院で死去した。69歳だった。通夜・葬儀の日程などは未定。

 山梨県富士川町(旧増穂町)生まれ。佐瀬勇次名誉九段に入門、1963年四段となってプロ入り。73年、第22期棋聖戦で初タイトルを獲得した。79年九段に昇段。85年に王将、棋聖、十段、棋王の4冠を達成した。棋聖は計7期獲得し、永世棋聖を名乗る資格(通算5期)を得た。

 最高棋戦である名人戦では、挑戦すること計7度。最後の第51期七番勝負(93年)で、宿敵の中原誠名人を4連勝で破り、実力制名人になってから史上最高齢49歳11カ月で初の名人に就いた。翌年50歳になって、羽生善治王位に2勝4敗で敗れたものの、挑戦者を決めるA級リーグ戦には、連続で26期在籍(名人在位を含む)した。

 03年12月、引退。以降、将棋普及を中心に幅広く活動。同年日本将棋連盟専務理事、05年からは会長を務めていた。99年から07年まで、東京都の教育委員を務めた。12年1月には、最強の将棋ソフト「ボンクラーズ」と平手(ハンディなし)で対局。接戦となったが、中盤のミスで敗れた。

 09年1月に、前立腺がんで治療を受けていることを公表。ホームページ上で、「癌(がん)ノート」と題して、状況を報告していた。日本将棋連盟などによると、前立腺がんが見つかったのは08年。今年初めのコンピューターとの対戦後に体調を崩して以来、一進一退を繰り返していた。約1週間前に東京都内の病院に入院したが、容体が急変したという。タイトル獲得は名人1、十段2など計19期(歴代5位)、優勝回数16回。通算成績は1103勝800敗1持将棋。弟子に、先崎学八段、中川大輔八段ら。「人間における勝負の研究−さわやかに勝ちたい人へ」など著書多数。



米長邦雄さん死去:ライバル中原氏ら、哀悼の意
2012年12月18日 毎日新聞

 18日、69歳で亡くなった日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖。同一カード歴代最多の187局を戦い、タイトル戦で名勝負を繰り広げた中原誠十六世名人(65)は「容体が悪いとは聞いてましたが、こんなに早く亡くなるとは」と驚き、「ライバルと言われ、ずいぶんタイトル戦で戦いました。その頃を思い出しながら、哀悼の意を表したいと思います」としのぶ。

 日本将棋連盟専務理事の谷川浩司九段(50)は「公式戦で60局以上教わりました。名著『米長の将棋』シリーズは十代の私のバイブルでした」と振り返り、「1年半、役員としてもご一緒しましたが、行動力と発想の柔軟さにはいつも感心させられました。もっと教わりたかった、と残念でなりません」。

 94年、自身初の名人位を争った羽生善治王位(42)は「『相手にとって重要で自分にとって無関係な一局こそ全力を尽くす』という哲学は将棋界の要。いつも周囲を明るくし、対局や連盟の運営に打ち込まれていました。鬼気迫る姿からたくさんのことを教えていただきました」とコメントした。【最上聡】



追記

プロ棋士の直観、「尾状核」訓練すれば素人も
2013年3月6日 読売新聞

 素人でも訓練すれば、プロ棋士と同じような「直観」的な思考回路が持てるという研究結果を理化学研究所(埼玉県和光市)の脳科学総合研究センターが確認し、米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に発表した。

 直観的な思考は他者に伝えるのが難しく、仕組みの解明が期待される。

 プロ棋士は、将棋の盤面を見た途端に直観が働き、「次の一手」が浮かぶとされる。医師が診断画像を見てどこに異常があるかを見つけたり、システムエンジニアが膨大なデータの中から、故障の原因を探すのも同じ能力だとされている。

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 同センターでは、プロ棋士の直観が働いている時に、脳のどこが活発に働くかを調べ、習慣行動の形成に関連があるといわれている「尾状核(びじょうかく)」と呼ばれる部分が働くことを突き止めて2011年に発表した。

 今回は電気通信大の協力で将棋をやったことがない20~22歳の男子学生20人に毎日約1時間、4か月にわたってコンピューターで詰め将棋に挑戦してもらい、訓練直後と4か月後で脳の活動にどんな変化があるかを調べた。

 その結果、訓練直後には見られなかった、尾状核が活発に働いている様子が4か月後に確認できたという。盤面を見た後に頭に浮かんだ複数の「次の一手」から尾状核が働くことでふさわしい手を選んでいるとみられる。最初はほとんど解けなかった学生も訓練をするうちに正答率が上がったという。

 答えを選択する時間が短いほど正答率が高かったが、これまでの研究でプロ棋士は時間に関係なく、尾状核が活動していることが分かっている。尾状核が活発に活動するには長年の訓練が関連しているとみられる。

 研究に携わった同センターの田中啓治副センター長は「尾状核の訓練方法が確立すれば、医療やコンピューターエンジニアなど、(直観が働く)熟達者の効果的な育成方法が提案できる」と話している。

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