NHKスぺシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第2回巨大組織“陸軍” 暴走のメカニズム

NHKスペシャル シリーズ 日本人はなぜ戦争へと向かったのか
第2回 巨大組織“陸軍” 暴走のメカニズム
2011年1月16日 総合テレビ

世界の表舞台に躍り出た日本が、なぜわずかの間に世界の趨勢から脱落し、太平洋戦争への道を進むようになるのか。太平洋戦争70年の年に問いかける大型シリーズの第2回。
戦争を引き起こした戦犯とされる日本陸軍は、なぜ、いつから暴走したのか。人事記録や幹部の発言を子細に追う最新の調査の結果、浮かび上がってくるのは、エリート官僚集団が徐々に変質し、中心なきまま迷走していく姿だ。当初、世界から遅れぬよう“改革”を叫んだ若手の軍官僚たちは、軍の枢要なポストを独占し思い切った机上のプランを実行に移すようになる。そして軍事戦略の違いから派閥抗争を繰り返し、やがて、現地が東京の軍中央の統制が効かないまでに混乱が広がる。
巨大エリート組織が暴走した“錯誤のメカニズム”を、まさにその組織の最前線にいた当事者が赤裸々に語る。



・昨年、放送された海軍の首脳による反省会に続くもので、今度は陸軍の首脳の肉声テープを発掘した。

その内容は、上記の番組内容の通りである。第一次世界大戦を目の当たりにした、陸軍の駐在武官らが日本の軍隊の近代化を痛切に感じて、新たな動きを起こそうと決めた。それには、陸軍の人事を詳細に検討することで、どのポストを牛耳ると、陸軍省や参謀本部を掌握できるかという実にきめ細やかな方法であった。

この40人の将校グループは、陸軍省の人事課長ポストに人材を送り込み、主要ポストにグループの軍人を配置する。陸軍の新しい動きとなったグループだが、中核となる考えはなく、ただ組織を一新したいという思いで一致していたに過ぎなかった。そのために、保守的なグループと先鋭的なグループに分かれていく。

また、勢い余った先鋭的な人たちが、関東軍の実権を握り満州事変や日中戦争のきっかけとなる事件を起こし、軍中央の意向を無視して単独行動に走っていく。保守的なグループの筆頭が、暗殺されるとまとまりがなくなり、その後は組織の論理で戦線拡大という方向で日米戦争に向かっていく。

さて、番組制作者は当然として、現代日本の状況と重ね合わせて過去を検証しようという意図がある。海軍反省会の時にも同じ感想に至ったが、組織というものを守ることが第一となること、また、自分が所属する部署の利益を第一とすること、自分自身の立身出世が第一という共通項があるように思える。

日本人の言う、大義とは誰それのために国家のために・・・という体裁をとりつつも、実は身近なことの利益を減らさないことを基本に自分自身と組織の利益を最大化しようとする動きに他ならない。

番組の肉声の中で、暗殺された軍人が生きていたなら、その後の日本の針路は大きく変化したし日米戦争回避に動いたかもしれないという声があった。

陸軍は一枚岩というイメージが吹っ飛んだ、とても内容のある番組だった。番組で紹介されていた資料は膨大なものなので、今後とも陸海軍の組織研究はシリーズとして別枠で報道を続けてほしい。それは、現在の日本の組織の弱点そのものを提示し局面における判断を的確に行うためには必要だからである。

大義に関しては一切言及がなかったが、それが空しい飾りのようなもので軍人らの行動原則にはなっていなかったと感じた。
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