お金で買える満足感、7万5000ドルで頭打ち=米調査

お金で買える満足感、7万5000ドルで頭打ち=米調査
2010年9月8日 ロイター

 米プリンストン大の研究チームは7日、収入が増えるにつれて生活の満足度も向上するが、その相関性は年収7万5000ドル(約630万円)でほぼ頭打ちになるとの調査結果を米国科学アカデミー紀要で発表した。

 同大のダニエル・カーネマン氏とアンガス・ディートン氏は、収入や生活の満足感、感情やストレスなど、「ギャラップ・ヘルスウェイズ幸福指数」を基にした450項目に対する電話調査の回答を分析。

 「お金で必ずしも幸福は買えないが、低い収入には感情的な苦痛が伴う」と指摘した上で、収入に伴って生活満足度が上がるのは年収約7万5000ドルまでとし、「高収入で満足は買えるが、幸福は買えない」としている。



・ダニエル・カーネマン米プリンストン大教授は、ノーベル経済学賞受賞者で経済学と心理学を融合させた理論家である。経済学は、人間の経済行為を数理モデルで考えるのだが、それだけで説明のつかないこともある。加えて心理学のモデルを加えることで、より人間心理の実態に即した経済学のモデルを考えることができるのだろう。

実感として感じることが、説明できれば普遍性を持つのかもしれない。「幸福は金で買えない」とは、当たり前に言われている。収入が上がるほど満足感はあがるが、幸福ではないとのこと。

キイポイントは、こころの余裕ということではないだろうか。忙しすぎることは、健康を害し家族を顧みる時間を失くし自己を省みることができない。

例えば、お腹が空いていれば、どんなものでも美味しい。反対に満腹していれば、美味珍味も食べたいという気持ちはおきない。下世話であるが、性欲も同じことである。いわゆる変態行為とは、満腹しても食べ続ける行為でありエスカレートこそすれ、満足が得られないのである。満足とは、欲求の一時的な充足状況に過ぎない。

宗教では、足るを知ることだと教える。中庸ということである。欧米流の勝つか負けるか、リッチかプアかではない生き方を求めたい。

キリストは、明日のことは思い煩うなと言った。あなたが所有するものからは命は発生しないし、今日取り去られてしまうかもしれないはかないものなのだ。

そして、多少飢餓状態があるときにこそ、人間は持てる力以上のものを発揮できるようだ。満ち足りていてはハングリー精神は生まれないことは明白である。


カーネマン,ダニエル  Daniel Kahneman
心理学者。プリストン大学名誉教授。2002年ノーベル経済学賞受賞(心理学的研究から得られた洞察を経済学に統合した功績による)。1934年、テル・アビブ(現イスラエル)に生まれ、フランスで育つ。1948年、英国委任統治領パレスチナ(現イスラエル)へ移住。ヘブライ大学で学ぶ。専攻は心理学、副専攻は数学。イスラエル軍での兵役を務めたのち、米国へ留学。カリフォルニア大学バークレー校で博士号(心理学)取得。その後、人間が不確実な状況下で下す判断・意思決定に関する研究を行い、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞受賞につながる

幸せ気分 年収630万円で頭打ち
2010年9月7日 読売新聞

「幸福は金で買えない」裏づけ 米学者ら分析

 収入が上がるにつれ生活の満足度は上がるものの、必ずしも幸福感が増すとは限らない、とする調査結果をダニエル・カーネマン米プリンストン大教授らがまとめ、米科学アカデミー紀要で7日発表する。「幸福は金で買えない」という通説を裏づける報告と言えそうだ。

 カーネマン教授は、米国人45万人以上を対象に調査会社が実施した電話調査のデータを基に、年収と幸福の関係を統計的に分析した。暮らしに対する満足度を10段階で自己評価してもらう「生活評価」の数値は、年収が増えるにつれ、一貫して上昇した。

 しかし、「昨日笑ったか」などの質問で測る「感情的幸福」の度合いは、年収7万5000ドル(約630万円)前後で頭打ちになっていた。教授は「高収入で満足は得られるが、幸せになれるとは限らない」と結論している。



9月8日付 編集手帳
2010年9月8日 読売新聞

 娘が父親に尋ねる。「お父さんは幸せなの?」。父親が答える。「そんなこと分からないさ。胃袋に、おいしいかと聞くようなもんだ…」
◆30年ほど前のテレビドラマ『さよならインバネス』(作・早坂暁)の一場面を『テレビドラマ代表作選集』から引いた。幸せを玩味する舌を、人は持ち合わせていない。幸福とは何か? 金で幸せになれるか? 昔に問い、今もなお問いつづけているのは、舌なき身の宿命だろう
◆収入が上がるにつれて生活の満足感は上昇するものの、幸せな気分は年収7万5000ドル(約630万円)前後のところで頭打ちになる――
◆米プリンストン大学の教授らが年収と幸福の関係を統計的に分析した。米国人45万人以上を対象にした電話調査をもとに、笑う頻度などに表れる感情の起伏を考察したという。「高収入で幸せになれるとは限らない」。まあ、想定内の結論ではある
◆歌人、安立(あんりゅう)スハルの一首を。〈金にては幸福は齎(もたら)されぬといふならばその金をここに差し出し給(たま)へ〉。年収630万円で幸福感が頭打ちになるのならば、一度、その天井に頭をぶつけてみたい人は多かろう。


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